No. 1824 政治的展望

The Political Outlook

by Paul Craig Roberts

特別検察官ジョン・ダーラムがFBIの虚偽のロシアゲート容疑からトランプの無実を証明した報告書と、ダーラムの非倫理的で犯罪的なFBIの行動に対する批判が、トランプの再選の可能性を高めたかどうかという質問を何人かの読者から受けた。読者はまた、FBIがジョー・バイデンとハンター・バイデンを露骨に保護し、バイデンたちを犯罪行為で有罪にする文書の公開を下院の召喚状で拒否したこと、そしてバイデンの高齢も相まってバイデンが選挙に負けるかどうかを知りたがっている。

明らかに、FBIの大統領選挙への重大な干渉は事実である。しかしはっきり言って、私の得意分野は政治ではない。私が財務次官補で議会スタッフであったために政治のことは何でも知っていると考える人がいる。政治の運営を見てきたので知っていることはあるが、政府時代、私は、政治的ではなく政策的な役割を担っていた。

議会スタッフとしての私の役割は、スタグフレーションを終わらせる、民主党と共和党の双方に受け入れられるようなサプライサイドの政策を考案することだった。財務省ではレーガン大統領のサプライサイド政策を、妥協の産物として水増しされることなく政権の外に出すことが私の役割だった。その後、私はレーガンが冷戦を終結させるのに貢献する役割を果たした。

もちろん、政治と政策は完全に独立しているわけではない。良い政策が政治によって阻まれることもあれば、特別な利益に資する悪い政策が実行されることもある。政策を成功させるためには、政治に対する認識と強力な政策主張が必要である。

これを明らかにした上で、質問に答えよう。

ダーラムの報告書は明らかにトランプの助けとなる。それはFBIがトランプを捕まえようとしていることを明白にしているからだ。FBIが選挙を覆して有権者の権利を奪うことに積極的に取り組んでいたという事実は、FBIが指揮を執ったことで知られる「1月6日の暴動」や「ドキュメントゲート」の説明も同じ動機であることを強く示唆している。これらの既知のトランプへの復讐は、民主党の2度の弾劾の試みと、ニューヨーク州によるトランプへの曖昧な罪状での起訴に疑念を投げかけている。

言い換えれば、FBI、民主党、マスコミは、トランプ支持者や公正なアメリカ人の心の中で、トランプがこれらの迫害を「魔女狩り」と呼んだことは正しかったことを確認したのだ。

ハンター・バイデンのノートパソコンにある証拠となるものに対するFBIの調査がいまだに行われていないこと、ハンター・バイデンの税金詐欺に対する内国歳入庁(IRS)の調査が突然打ち切られたことで、FBIがバイデン夫妻の保護機関として機能していることをトランプ支持者や公正なアメリカ人は確認したのである。

アメリカ国民の大多数はこのことを気にしているが、Wokeの人々や、そして確実に大学、法学部、メディアは気にしていない。彼らは法律と合衆国憲法を、公平性を妨げる不公平な「白人特権」を支持するものと考えており、それはつまり、異なる価値観を持つ革命的な社会を意味する。トランプ支持者は、アメリカ社会が覆されつつあり、自分たちのリーダーはトランプしかいないことを感じている。

おそらくトランプが現れたのは、革命勢力がすべての司令塔を支配した後だったので、遅すぎたのだろう。 これなら、トランプに対する「ロシアゲート」の陰謀が始まってから7年後のダーラムの報告まで、明らかに組織的に行われたドナルド・トランプの迫害が何の説明責任もなく6回も許されてきた理由も説明できる。

民主党は、ダーラムの報告書からの影響をまだ評価していない。彼らは、ダーラムが暴露した犯罪に対して起訴されなかったことに勇気づけられた。これによりトランプ大統領の数ある不運な人事の1つであるFBIのレイ長官は、現職の米国大統領に対するFBIの陰謀(反逆行為)から、不当な捜査を開始することに対するFBIの「手続き上の安全装置」の不十分さに焦点を移すことができた。FBIはメディアと名前だけの共和党員(RINO)の助けを借りて、このまま逃げ切ろうとしているようだ。

我々は自問する必要がある。もし共和党の指導部が存在するとしたら、現在はどのようなものだろうか?RINO共和党の主張する 「トランプでは分断を引き起こしすぎる、次へ行くべき」だろうか?フロリダ州知事のロン・デサンティスらが野心に屈しトランプに対して指名争いをすることだろうか?それとも、米国民や公共の利益に背を向けた腐敗した支配体制に対し、米国民のために立ち上がったという理由だけで7年間も迫害を受け続けてきた男の周りに結集することだろうか?

トランプの政策ポジションをどう思おうが、答えは明らかだと思う。米国民と共和党がトランプを見捨てれば、憲法の保護、法の支配、説明責任を果たす政府を取り戻すチャンスは二度と訪れないだろう。トランプの破滅は、将来のすべての候補者に対して、公職に就くことが許されるのは体制側に仕える候補者だけだという警告となるであろう。それくらいシンプルなことだ。

では、デサンティスとロバート・F・ケネディ・ジュニアはどうだろう?

デサンティスは優れた知事である。彼はフロリダ州をロックダウンやワクチン接種の義務化から救い、白人の子供たちが学校で批判的人種理論によって自分たちは人種差別主義者で有色人種を抑圧していると教え込まれることやトランスジェンダーの教え込みから救い、性的倒錯の正常化を支持するディズニーなどのWoke企業に対して立ち向かった。

しかし、デサンティスは、そのキャリアが10億ドルに支えられているわけではない若者である。ドナルド・トランプが支配者層エスタブリッシュメントによって排除されるのであれば、デサンティスにチャンスはない。彼は、仲良くやっていくことでしか成功しない大統領になりうる。

ロバート・F・ケネディ・ジュニアについては、おそらく、これ以上素晴らしいアメリカ人は存在しないだろう。しかしCIAに父と伯父を殺されたことを知っていて、それを口にした男を大統領にさせると期待するのは愚の骨頂である。もしRFKジュニアが大統領に選ばれたら、彼は暗殺される3人目、あるいは4人目のケネディとなるだろう。

ドナルド・トランプが再び選挙に勝てば、暗殺がドナルド・トランプの運命になると思う。CIA、FBI、NSA、民主党は、トランプを潰そうとした敵として知られているが、責任を問われることを容認しない。実際、次に賢明なトランプが、米国民への説明責任を回復することを決意した政府のスタッフとして誠実で自覚のある人々を十分に見つけられるかどうかはわからない。そういう人々はどこにいるのだろう?企業の中?メディア?大学か?いや、間違いなくワシントンにはいない。

最終的な問いはこうだ。「アメリカ国民は、自由と憲法に対して十分な関心を持ち、責任ある政府を回復させるという課題に取り組むことを望んでいるのだろうか?」

The Political Outlook