No. 2338 孤立する米国とイスラエル

US/Israel Stand Alone

ジェフリー・サックス教授のインタビュー

by Judge Andrew P Napolitano

文字おこし:

ナポリターノ:サックス教授、ようこそ。イスラエルについてお話を伺う前に、いくつか質問をさせてほしい。その一つはあなたの国連に対する見解についてだ。あなたが国連に敬意を抱いていることは知っているし、長年あなたが国連と仕事をしてきたことも知っている。週末、次期トランプ大統領は元国連大使のニッキー・ヘイリーと 元CIA長官で国務長官のマイク・ポンペオは次期政権では役割を担わないと発表し、ほぼ同時に熱心なネオコン・シオニストのエリス・ステファニック下院議員を国連大使に任命すると発表した。この件について、どう思うか?

サックス:エリス・ステファニックはトランプを熱心に支持しており、イスラエルの支持者でもある。トランプが彼女を任命するのはごく自然なことだ。特に驚くようなことではない。

ナポリターノ:基本的に彼女は国務長官や大統領から投票方法を指示される。安全保障理事会で議論される問題について、安保理に提出される問題について、彼女は事前に投票を指示されるだろうし、彼女のボスに忖度した投票をするだろう。

サックス:もちろん場合によっては、米国連大使が行政部門の審議において政策決定の役割を果たすこともあるので、彼女がそうする可能性もある。しかし一般的には、決定はワシントンで下され、投票はニューヨークで評決される。

ナポリターノ:ドナルド・トランプの当選について、ロシア政府はどう考えていると思うか?

サックス:おそらく、ウクライナ戦争を終わらせる余地があると感じているだろう。それは良いことだ。より一般的に言えば、多くの問題についてロシアは米国に多くを期待していないと思う。だから、浮かれ騒ぐことはないだろう。しかし、トランプやヴァンス、そしてトランプの周囲の多くの人々は、ウクライナ戦争は終わらせるべきだと本当に信じている。彼らはこの紛争の根本的な原因となっているNATOの拡大にはコミットしていない。これが30年以上にわたって続いている米国とロシアの緊張関係の根本的な原因である。トランプはNATO拡大論者ではないので、私は、彼らがこれを気にしているとは思わない。私はこれが少なくとも1つの問題の解決につながる可能性が高いと考えるが、トランプとの関係は、控え目に言っても最初の任期では複雑だったし、今期も複雑になるだろう。

ナポリターノ:EUとNATOのエリート層がドナルド・トランプの当選にどう反応しているか、サックス教授は何か把握しているのか。

サックス:ヨーロッパは少しばかりパニック状態にある。なぜなら、ヨーロッパはアメリカに魂を売ったとまではいわないが、外交政策を売ったというか、過去4年間、外交政策をアメリカに委ねてきた。ブリュッセル、つまり欧州連合(EU)のあらゆることは、ヨーロッパのほぼすべての指導者の言葉によると、アメリカに屈従し、アメリカの主張に従ってきた。ドイツ首相に至っては米国がエネルギー供給を爆破した後、バイデンの隣に立った。ドイツ首相も含めて米国の物語に従ってきた。つまり文字通り、ドイツの産業に低コストのエネルギーを供給していたパイプラインを爆破したのだ。言い換えれば、欧州は米国のネオコンの政策のために独自の外交政策を放棄した。それは欧州にとって非常に悪い取引だったようだ。そして今、これらの政治家たちは慌てふためいている。欧州連合の元委員の一人、つまりフランスの委員がメディアで述べたように、ウクライナの平和について何かを言うことは厳しく禁じられていたが、トランプが選出された今、彼らは以前は言えなかったことを話し始めることができる。本当に、ヨーロッパにおける独立した外交政策の沈黙はまったく驚くべきものであり、また憂慮すべきことだ。トランプの当選がヨーロッパに何をもたらすかというと、ヨーロッパは独自の外交政策を進めるべきだと認識するようになるだろう。

ナポリターノ:あなたはノルドストリーム・パイプラインについて言及し、10日前のシュルツ首相の決定についてほのめかした。その結果、シュルツの政権は少数派となり、私が理解しているところでは、早春に総選挙が必要になる。野党は彼に対して、我々は冷夏を過ごしたばかりで、シュルツがバイデンに許可した不潔な石炭を燃やしていると反対するだろうか、汚い石炭を燃やしていると。

サックス:左派と右派の野党が基本的にこう言っている。つまり主要野党であるCDUが首相の座を狙っているということだ。CDUは基本的にこう言っている。今の政府は失敗した。次は我々の出番だ。その理由は現職の失敗以外の何ものでもないと思う。ところで、言っておく価値があると思うが、選挙とは概ねそういうものだ。私の見解では、トランプの勝利は、実際の得票数では2020年よりも得票数は少なく、トランプの勝利というよりも国民は「この状態を継続したくない」と表明したのだ。ドナルド・トランプが言うことすべてに喝采を送ったというより、今の政府への拒絶だった。そしてドイツのシュルツは失脚するだろう。なぜなら、ドイツ人もドイツの基本的な利益を守っていない無能な政府にうんざりしているから。

ナポリターノ:同じ週に、イスラエルのネタニヤフ首相が国防大臣のガラントを解任した。もし違っていたら教えてほしいのだが、ガラントはイスラエル国防軍の指導者や一般兵士たちともかなり良好な関係を築いていた。またネタニヤフは新しい駐米大使も任命した。この2つの決定、また、それらがどのような影響を及ぼす可能性があるかのだろうか。

サックス:ネタニヤフは今、より自由な裁量で全く過激な政策を実行できるようになったと思っている。

ナポリターノ:トランプが大統領選で勝利した後ということ?

サックス:そうだ。そして、これは非常に暗い事実なのだが、米国政府は20年間、ほとんど何も言わずにイスラエルの言いなりになってきたと思う。基本的にネタニヤフが言ったことをすべてバイデンが承諾し、実行に移してきた。ネタニヤフは、トランプはさらにその傾向が強いと考えており、彼が選んだどんな戦争でも政策でもトランプは「青信号」を出すだろうと思っている。事実、今日、あなたが言及した絶対的過激派の一人スモトリッチが、今こそヨルダン川西岸地区を併合する時だと発言した。それは彼の夢でもある。しかし世界は急速に変化している。スモトリッチが言ったことは、すべてのアラブの指導者がサウジアラビアのリヤドで会合を開き、イスラエルと正常な関係を築くことは一切できないと述べた。パレスチナ国家が樹立されるまでは和平はありえないと、非常に明確に述べられた。ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が述べたもので、これは中東全域の明確な声明であり、トランプはこれを無視できない。ゲームは、サウジアラビアを我々のやり方に従わせるというものだった。米国は中東地域を動かすことができると。しかし米国は影響力を持っておらず、トランプは自分が考えているほど影響力を持っていない。数年前よりもはるかに影響力が低下している。米国は政治を動かす力はない。イスラエルは誤算だった。ウクライナ政府の誤算を見てほしい。米国が我々の味方だと、すべてうまくいくと、計算違いをした。60万人が死亡した今、彼らは自分たちが惨事に直面していることに気がついた。そしてトランプはこの惨事を終わらせるつもりだ。つまり、ロシアと取引して、この血みどろの起こるべきでなかった混乱を止めるつもりだ。つまりこれはバイデンの無謀な愚行であり、NATO拡大を押し進めないという単純な理解と合意をせずに、実際この戦争にまで至ってしまったのだ。しかし、私の言いたいのは、ウクライナはアメリカに賭け、ネタニヤフとスモトリッチはアメリカに賭けているということだ。それは良い賭けではない。イスラエルにとって残念なことに、それはひどい賭けだ。

ナポリターノ:そして、新しいイスラエル駐米大使はまたもや問題を起こすような人物だ。

サックス:そうだ、次から次へと過激派が現れる。イスラエル政治において最も過激で、分裂的で、致命的な人物の弟子の一人だ。基本的にイスラエルは狂気じみており、残酷で、右も左も関係なく人々を殺し、戦争を拡大しようとしている。そしてトランプがすべてを支援してくれると思っている。たとえトランプがそうしたとしても、イスラエルにとっては最悪な結末を迎えるだろう。しかしトランプがネタニヤフの思うような行動に出るとは思えない。トランプはネタニヤフにゴーサインを出すだけだと思う。

ナポリターノ::28日前にバイデン政権がネタニヤフ政府に人道的な要請に従うよう30日間の猶予を与えたが、彼らは従っていない。現実的に適用すれば安全保障理事会での拒否権を失う結果になる可能性がある。また、軍事供給の損失にもつながる可能性がある。2日のうちに非遵守の証明がされるのか、あるいは、私の甘い考え通り、何が起こるのか。

サックス:バイデンは任期満了まで何もしないだろう。鋭い決断は何もできないだろう。なぜなら、彼は4年間の政権期間中、そのようなことは何もしてこなかったからだ。そして、彼らが技術的に何かに合意できるとしたら私はとても驚くだろう。私は内部の人間ではないが、彼らは今、イスラエルの動きを妨げるようなことは本当に何もしていない。これは時間切れを招き、その後新政権が誕生する。ところで、おそらく現政権は戦争拡大という戦略をしばらく継続するだろう。しかし、トランプとトランプ政権はアラブ世界を分裂させて征服するという古い策略は、もはや通用しないということに気づくだろう。その地域におけるロシアや中国の役割は、米国の主張とは裏腹にはるかに大きい。この地域では、1年以上にわたるジェノサイド的な行動により、イスラエルに対する嫌悪感と軽蔑が急速に広がっている。だから、私は、おそらくすでに、あるいはそう遠くない将来に、トランプ政権は自分たちの古い考え方がすでに機能していないことに気づくだろうと思う。そしてアラブ人の言うことを聞くようになるだろう。それが私の考えだ。アラブ連盟の意見に耳を傾けるだろう。しかし、ほとんどのアメリカ人はそれを知らないと思う。ニューヨーク・タイムズ紙はそう報じないからだ。アラブ和平イニシアティブはすでにテーブルの上にある。それは完璧に理にかなっている。1967年6月4日の合法的な国境線に沿って、国際司法裁判所が定めた国境線に沿った2つの国家が平和裏に並存する、それがアラブの提案だ。主流メディアは、アラブがそのような提案をしているという事実を隠すためにあらゆることをしている。今日もまた同じことを言っていた。彼らはまた、パレスチナ国家を持つ以外に選択肢はないとも言っていた。それがトランプ政権にとっての新たな現実なのだ。それは、トランプとバイデンの切り札のすべてだった。サウジアラビアはそれに立ち向かわないだろうし、他のアラブ諸国は、この誘因やあの誘因によって切り崩される可能性がある、そのゲームは終わったのだ。

ナポリターノ:あなたが今述べたことは、ムハンマド・ビン・サル王子が公に述べたことだ。彼はさらに踏み込んで、これが実現するまではサウジアラビアとイスラエルの間に政治的な関係は一切ない、と述べた。1967年6月の国境線についても述べた。いつネタニヤフは考え直すだろうか?

サックス:いや、ネタニヤフは考え直さない。

ナポリターノ:彼は傲慢で、過激な考えに固執している。アラブ連合が自分を脅かすことなど気にも留めていない。

サックス:本当に重要なのは、ネタニヤフには30年も前から戦略があり、それは同じ戦略だということだ。その戦略は大惨事だったが、それはネタニヤフにとっては大惨事ではなかった。ネタニヤフの戦略を説明しよう。30年前、イスラエルはすべての土地を所有し、彼らが「大イスラエル」と呼ぶ地域を支配しようとしていた。それはヨルダン川西岸地区を含むすべての占領地域を意味する。スモトリッチは今すぐにでも併合したがっており、今トランプが選出されたのでそれをやるつもりだ。そして反対勢力が出てくるだろう。反対勢力はハマスやヒズボラ、その他の軍事反対勢力や準軍事組織となるだろう。そして、ネタニヤフの考えは非常にシンプルだ。ハマスやヒズボラと戦うつもりはない。彼らを支援する政府を倒すのだ。つまり、ネタニヤフの30年前の考えは、中東全域にわたる大規模な政権転覆作戦であり、この考えが米国をイラク戦争に駆り立てた理由であり、シリア戦争に駆り立てた理由であり、リビア戦争に駆り立てた理由でもある。信じられないかもしれないし奇妙に聞こえるかもしれないが、米国は何十年にもわたってイスラエルの戦争を戦ってきた。それは米国にとって災難だった。ちなみに、イスラエル・ロビーは数十億ドルを投入し、その何兆倍もの額が他方で出ていく。まったくひどく、無意味で無謀な戦争がイスラエルのために戦われたのだ。ネタニヤフはそれを失敗とは見ていない。なぜなら、米国はそれに従い、それに付き合い続けているからだ。2003年に、あなた方は私たちを破滅させると言わなかった。サダム・フセインを追い出すと約束し、すべてうまくいくと言った。サダム・フセインを追い出せばすべてうまくいくはずだった。アサドを追い出すよう言われたので、それを試みたが、それは2011年のことで、それから13年経ってもまだ戦争中だ。カダフィを追い出すよう言われたので13年前にそれを実行したが、今も混乱が続いている。ネタニヤフ、もうやめてくれ。しかし我々がノーと言わないので、彼はそれを続けている。おそらく、そして私は確信しているが、ネタニヤフはこう考えている。ドナルド・トランプがいれば、今こそ本当にイランと戦争ができる。その裏側には、シリア、リビア、イラク、イランに対して、アメリカはそれをすると思っていた。サウジアラビアはただでついてくるだろう。我々は彼らにいくつかの武器システム、おそらく防衛パックを彼らに与え、彼らはそれに署名するだろう。それがトランプとバイデンの考えでもあった。2人の考えに違いはない。アプローチに違いはない。しかし、それは終わったのだ。完全に終わった。それが今日の皇太子の声明だ。彼はここ数か月間、繰り返しそれを主張してきた。もう終わったのだ。トランプの側近たちがこれを理解しているかどうかはわからない。しかしいずれわかるだろう。ネタニヤフもわかるだろう。すべてが非常に無謀な行動であり、ネタニヤフは長い間、世界政治における最も破壊的な力のひとつだった。そして彼はアメリカに多くの損害を与えてきた。しかしもう彼が黙る時が来た。アメリカを戦争に巻き込もうとするのをやめる時が来たのだ。ネタニヤフの最新の試みは、イランとの戦争にアメリカを巻き込むことだが、トランプ政権は世界はすでにこの件について理解しているということに気づくだろう。世界的なコンセンサスがある。世界とは米国とイスラエル以外の国々だ。我々はパレスチナ国家を必要としている。平和が必要だ。戦争の拡大を止めなければならない。アラブ世界を分割統治することはできない。過去に何度もそうだったように、今日もこの会議とメッセージはワシントンに再び送られた。だから誰かが耳を傾けてくれることを願う。なぜなら、私たちは長い間、多くの愚かなことをしてきたからだ。ウクライナ戦争のように、完全に愚かで、完全に予測可能な、悲惨な結果になる戦争だ。それは悲惨な結果になる。なぜならそれは悲惨なほど間違った行為だったからだ。そして、私たちは今、中東でも同じように、悲惨な結果を終わらせることができる。正しいことを行うことで、2つの国家が国際法に従って並んで共存する。それは、国連で多くの決議の一部となってきたことだ。そして、世界的な支持を得ている。国連で多くの決議がなされ、世界的な支持を得ているように、国際法に従って2つの国家が並存するというのが、最も単純明快な解決策だ。

ナポリターノ:もう一つお聞きしたいことがある。ロン・ダーマーはネタニヤフの最も近いアドバイザーであり、フロリダで生まれたが成人してからアメリカ国籍を放棄し、イスラエル戦時内閣のメンバーとなったが、先週秘密裡にモスクワを訪問した。スコット・リッターや他の人々は、イスラエルの経済状態は非常に悪いという意見を述べている。彼はロシアから何らかの救いの手を求めているのかもしれないが、この件について何かご存知だろうか?

サックス:いいや、今初めて聞いたが、かなり突飛な話に聞こえる。イスラエルがロシアから救いの手を求めることはないだろう。いまアメリカは依然としてロシアに対して戦争を仕掛けており、ロシアの資産3000億ドルがアメリカによって凍結されている。そんなことは起こりえない。私はその話を聞いたことがないが、私の見解では、ロシアからの支援はないだろう。ロシアは数週間前にカザンでBRICS会議を主催した。36カ国が参加し、世界の人口の57%を代表する会議が開催された。そのグループは中東での戦争の終結と2国家による解決を求める非常に強い声明を発表した。だから、その訪問が何を意味するのかはわからないが、ロシアの援助はないだろう。まず中東の現実を変える必要がある。つまり、パレスチナ国家が国連で承認されることだ。そうすれば、国連でパレスチナ国家が承認され、2つの国家が並存できる状態になる必要がある。

ナポリターノ:あなたの専門分野である経済について話そう。ベンジャミン・ネタニヤフの指導の下、イスラエルはどれほど経済的に不安定になったか。

サックス:もちろん、イスラエル経済は信用力を失い、崩壊しつつある。いずれはジャンク債の地位に確実に転落するだろう。戦争は非常に血みどろでコストのかかるビジネスであり、多くの企業が閉鎖され、多くの投資家が逃げ出し、多くの人がイスラエルを去った。労働者は仕事には行かず、イスラエル国防軍に入隊した。つまり、これは非常に高い代償となった。ところで、不安定な状態はかなり広範囲に及んでいる。ヨーロッパは経済的に非常に厳しい状況にある。そして、アメリカは我々の経済は素晴らしい、と言っている。循環的に強い経済だからだ。経済は、少し景気が悪化して税収が少し落ち込むまで待つという、まったくのフィクションの財政政策を掲げている。そして、次期トランプ政権は、これらすべてに加えて減税を公約している。つまりこれはまったくの作り話なのだ。だから、私たちがやっていることのすべてにおいて、財政の安定性が疑問視されている。まもなく現実が明らかになるだろう。なぜなら、今、トランプとその支持者たちは、当然のことながら、有頂天になっているが、世界情勢や米国の国内情勢、米国の地政学的な強さ、どこに対しても条件を押し付ける能力は存在しない。また、財務基盤もかなり不安定だ。つまり、今や世界は全く異なる状況になったのだ。

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