Oreshnik – the 3 Kilometer Per Second Plot Twist
by Pepe Escobar
ここで見るべきものは何もない。ただの極超音速(ハイパーソニック)のデモだ。いや、そうでもない。普通のアメリカ人は映画を通してしか世界の意味を理解することができない。だからクラッシクな古典作品に戻ろう:コッポラ監督の『地獄の黙示録』(1979年)の冒頭のシーン。これは、コンゴを舞台にしたジョゼフ・コンラッドの『闇の奥』(1899年)のベトナム戦争版である。
映画の中で、ウィラード大尉(マーティン・シーン)はサイゴンの部屋で一人、酔った勢いで独り言を言うのがやっとの状態である。彼は任務を待っている。それは、暗黒の奥底(映画では、違法なアメリカのカンボジアへの侵攻/無差別爆撃によって象徴されている)まで赴く特別なミッションだ。
ウィラードは、VO(ボイスオーバー?)で、「この部屋に居座っている間、私は弱り、チャーリーは強くなる」と呟く。ジャングルに潜むチャーリーとは、米軍兵士たちがベトコンを呼ぶときの名前である。
ベトナム人が「アメリカ戦争」と呼ぶものから、ウクライナにおける米国とNATOの代理戦争になる。
さらに不吉なのは、今チャーリーはベトコンではないということだ。今のチャーリーは核を持つ極超音速のロシアである。
キャプテン・アメリカは、ディープ・ステートがウクライナにロシア連邦内の標的をATACMSで攻撃する「承認」を与えたことで、ロシアのチャーリーを威嚇できると信じていた。
そのような攻撃はロシアの新たな領土ですでに過去にも起きていた。それでも、「承認」後に、クルスクとブリャンスクに対して、ATACMSによる攻撃とストームシャドウによる2つの新たな攻撃が実行された。
そして、避けられないロシアの対応がきた。それは何だったのか?新たな複数の極超音速兵器か?ゼウスか?スーパーマンか?
安全保障理事会の副議長であるディミトリ・「アンプラグド」・メドベージェフは、簡潔な挑発に抵抗できなかった。{1}「それが君たちの望みだったのか? まあ、君たちはそれを手に入れたんだ!」
最初にRS-26「従来の弾頭パッケージ」のデモンストレーションだと説明されたものを目にした後、予想通り、西側諸国はあらゆる分野で慌ただしく動き回った。
その後、プーチン大統領は公式の場で発言した。{2}
主な要点:西側の長距離兵器がロシアに対して使用されたため、ロシアはドニプロペトロフスク州のユジノマシュ工場に対して新型の中距離弾道極超音速ミサイル「オレシュニク」で報復した。さらに、敵が長距離兵器を使用しても特別軍事作戦(SMO)の進展には影響を与えない。
しかしこれこそが、プーチンがアメリカ、NATO、そして西側諸国に伝えた重要なメッセージだった:
我々はNATOによるロシアに対する攻撃的な行動に対して、オレシュニク・ミサイルシステムの戦闘テストを行う。中距離および短距離ミサイルのさらなる配備の問題は、米国とその衛星国の行動に応じて、我々が決める。我々の最新ミサイルシステムのさらなるテストにおける破壊目標は、ロシア連邦の安全保障に対する脅威に基づいて、我々が決定する。我々の施設に対して武器が使用されることを許している国々の軍事施設に対して、我々は武器を使用する権利があると考える。そして、攻撃的行動がエスカレートした場合には、我々も断固とした対応を同様に実施する。ロシアに対して軍事力を行使する計画を持つ諸国の支配エリート層には、この件について真剣に再考することを勧める。
お客様、ヘーゼルナッツサラダはいかがですか?
この事実上のゲームチェンジとなる動きの当初の解釈は、ロシアが、それぞれ独立した非核弾頭を6つ装備した、ドニエプロペトロフスクのユジノマシュミサイル生産工場に対する単一のRS-26ルベーシュ道路移動式ミサイルを発射し、さらにそれぞれが他の弾頭を配備した(6×6=36とする)というものだ。
それ自体がウクライナでの戦争の「本質」を変えた。プーチン自身も以前、ATACMSによる攻撃の「承認」に関して、そのことを認識していた。{3}
プーチンの演説は、ロシアが実際には全く新しい中距離(1,000~3,000キロ)ミサイル「オレシュニク(ヘーゼルナッツ)」を使用したことを明らかにした。米国政府高官でさえ、これは「実験的」システムであることを認めている。つまり彼らはこのシステムについて何らかの情報を知っていたということだ。
プーチン自身もこれを「実戦テスト」だと言った。プーチン自身の言葉によれば、テストを越えて確立されたことは、「ヘーゼルナッツ」はNATOのどの標的にも「贈り物」として送ることができるということだ。
オレシュニクはミサイルの中で最強の部類に入る。英国には19分、ブリュッセルには14分、ベルリンには11分、ワルシャワには8分で到達する。そしてもちろん、マッハ10以上の速度で飛行するため西側の兵器では迎撃できない。米国も含めてだ。
高い破壊力は既定の事実であり、それはすでに奇襲効果によって保証されている。攻撃を受けるまでは、何が起こるか分からない(たぶん)。潜在的な選択肢の1つとして、オレシュニクがユジノマッシュの秘密地下工場を標的にした可能性がある。そこには、NATOが短距離弾道ミサイル(500キロから1,500キロ)用の装備や部品を送っていた。
アンドレイ・マルティヤノフはその4冊の著書とブログで、「ロシアは米国と比較して通常兵器による圧倒的なエスカレーション優位性を持っている」と明確に述べている。そう、このIRCM(通常ミサイル)に極超音速MIRV(多弾頭再突入体)を搭載した今回の実験は、単なるデモ、つまり今後予定されていることの予告なのかもしれない。
マルティヤノフ:「NATOにはロシアの長距離砲火を止める能力はない」。この「デモ」はまた、戦争を比較的民間的なものにするための新たな試みと組み合わさっている。モスクワは、迫り来るオレシュニク攻撃について民間人に警告するだろう。退去しない者は、自らの危険を承知の上でそうすることになるだろう。
マルティヤノフが述べたように、「これはもはや単なる特別軍事作戦(SMO)ではない。実際、かなり長いこと我々はSMOを遥かに超えた状況にある。これは生き残りを賭けたNATO対ロシアの熱い戦争なのだ。米国の
支配層が本質的にエスカレートを止めることができないという事実によって、状況はさらに悪化している。
オレシュニクのデモ{4}でさえ、エスカレーションを止めることはできないだろう。もっともらしいシナリオは、米国の軍事情報部が差し迫ったロシアの中距離弾道ミサイル攻撃について知り、キエフとNATOに知らせたというものだ。モスクワはその後、攻撃の30分前に米国に警告を発した(核の誤解を防ぐための標準的な手順である)。米国はそれを確認しただけでなく、キエフに対するロシアの核攻撃の危険性は現在も、また近い将来もないと強調した。
実際のところオレシュニクはウクライナの戦域においてロシアが核兵器を必要としないことを暗に示している。
では、エスカレーションはとりあえず抑えられていると仮定しよう。しかし、米国の狂気じみた政権はまだ2か月近く続く。NATOの先天性認知症はエスカレーションが続くことを示唆している。しかし違いは桁外れだ。今、オレシュニクを発射するとき核爆弾を伴っているかいないか分からないのだ。
現在の(退任する)認知症政権、そして映画を通じてしか世界を理解できないアメリカ人たちは、2019年に米国をINF条約(短距離・中距離核戦力全廃条約)から脱退させたのがトランプだったことを忘れているかもしれない。もしアメリカが残っていればロシアはオレシュニクを開発し使用することはできなかっただろう。
しかし、今こそヘーゼルナッツサラダの時間だ。みんな、血圧を下げるのに最適な方法だ。
Links:
{1} https://twitter.com/MedvedevRussiaE/status/1859659775132492036
{2} http://en.kremlin.ru/events/president/news/75614
https://www.unz.com/pescobar/oreshnik-the-3-km-per-second-plot-twist/