No. 2385 トランプは中国をどう管理するのか、あるいは管理を誤るのか?

How Will Trump Manage – or Mismanage – China?

米中間のあらゆる対立において、トランプはより好戦的かつ攻撃的な姿勢と、より現実的で取引的なアプローチの両方に引き寄せられることになるだろう。

by Michael T Klare

ガザ、ハイチ、イラン、イスラエル、レバノン、ロシア、シリア、ウクライナ、ベネズエラ。ドナルド・トランプ次期大統領は、1月に就任するにあたり、外交政策上の課題に事欠くことはないだろう。しかし、その規模、範囲、複雑さにおいて中国に匹敵する国はない。中国ほど、予測されるトランプの敵対姿勢に、同等の強さと粘り強さで抵抗でき、また、MAGA共和党員の間でこれほど多くの敵意と憤激を招く国はないのである。

つまり中国は、2期目のトランプ大統領を必ず苦境に立たせる。トランプは、北京と取引して党内のタカ派から宥和政策をとる人物と烙印を押されるリスクを取るか、あるいは、北京を罰してさらに包囲し、潜在的に暴力的な衝突や核のエスカレーションのリスクを取るかのどちらかを選ぶことになる。この難局をどのように解決するかは、間違いなく、2期目の任期における彼の最も重要な外交上の試金石となるだろう。

誤解のないように言っておくが、外交政策を立案するトランプの側近たちは中国を「ビッグ・ワン(大国)」と見なしている。彼らは「アメリカ・ファースト」戦略に対する多くの国際的な課題を想定しているが、米国が世界を支配し続けることに対して中国だけが真の脅威になると考えている。

トランプは1月に、中国に対する懲罰的措置のツールキットを携えて就任し、それを国内法とすることを強く支持する任命者たちとともにそれらを実行に移す準備ができている。

「中国共産党は米国と冷戦状態に突入し、第二次世界大戦以来続いてきたリベラルで欧米主導の世界秩序を置き換えるという明確な狙いを持っていると強く感じている」と、トランプが国家安全保障顧問に指名したマイケル・ウォルツ下院議員(フロリダ州共和党)は2023年に大西洋評議会が主催したイベントで述べている。「我々は、米国の歴史上かつてないほど、経済力と軍事力を備え、米国を真に追い越し、取って代わる能力を持つ敵対国と、世界規模の軍拡競争を繰り広げている」

ウォルツやトランプ周辺の他の人々によれば、中国は米国の世界的な覇権に対して多面的な脅威をもたらしているという。軍事面では、空軍と海軍の増強、南シナ海の埋め立て島への軍事基地の設置、そしてますます攻撃的な航空および海軍演習による台湾への挑戦により米国の西太平洋における支配の継続を妨害している。外交面では、インド、インドネシア、日本、NATO加盟国など、米国の主要同盟国との関係を強化または修復している。一方、米国の最先端技術、特に先進的なマイクロチップの製造能力をすでにほぼ再現している。また、ワシントンが重要な鉱物や医薬品など、中国製品への依存度を低下させようと努力しているにもかかわらず、中国は依然として、そうした製品を米国に供給する主要なサプライヤーであり続けている。

戦うか、それとも取引するのか?

多くのトランプの側近にとって、中国への対応として唯一正しい愛国的な行動は強硬に反撃することだ。トランプが国家安全保障顧問に指名したウォルツ下院議員と、国務長官に指名したマルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州選出、共和党)は、米国内外における「悪意のある」中国の取り組みを抑制するための法案の提案者または支持者の立場にある。

例えば、ウォルツは「2020年米国重要鉱物探査・革新法」を提出した。同議員によれば、この法案は「米国の重要鉱物の海外依存度を減らし、中国のサプライチェーンを米国に戻す」ことを目的としている。ルビオ上院議員も立法の場では同様に好戦的だ。2021年には、新疆ウイグル自治区の強制労働収容所で生産された商品の米国への輸入を禁止する「ウイグル人強制労働防止法」を起草した。また、米国の技術に対する中国のアクセスを制限することを目的とした複数の法案の提案者でもある。これらの法案や、ウォルツが提出した同様の法案は、必ずしも必要な議会の承認を得ているわけではないが、他の法案にうまく組み込まれることもある。

つまり、トランプは中国と戦うための懲罰的措置のツールキットを携え、それを法律として制定することへの強い支持を任命者から得て1月に就任する。しかし、もちろん、ドナルド・トランプのことだから、確実なことは何もない。一部のアナリストは、取引を好む彼の傾向と、中国の強権者である習近平国家主席に対して公言している称賛から、トランプを取引的なアプローチに導く可能性があると信じている。例えば、フェンタニルのメキシコへの輸出を制限することについて譲歩を引き出すために、北京に対して経済的・軍事的圧力を強め、望むものを手に入れたらそれを放棄させるというアプローチである。トランプが商務長官に選んだ、カントール・フィッツジェラルドの億万長者投資家ハワード・ルトニックは、トランプは実際には「中国と取引をしたい」と考えており、そのための交渉材料として選択的に関税を課すつもりだと主張している。

そのような取引がどのようなものになるかは誰にもわからないが、トランプが側近の中国強硬派が主張する懲罰的措置の一部を放棄せずに、北京から大幅な譲歩を引き出すことができるとは考えにくい。一つだけ確かなことは、この複雑で混乱を招く力学が米中関係における主要な問題領域のそれぞれで展開され、トランプは取引本能と側近の厳格なイデオロギーのどちらかを選ぶという重大な選択を迫られることになるだろう。

トランプ、中国、そして台湾

彼の2期目の任期における中国関連の問題のなかで、台湾の将来の地位ほど困難で重大な課題はないだろう。問題となっているのは、台湾が徐々に完全な独立へと向かっていること、そして中国がそのような結果を阻止するために台湾に侵攻し、ひいては米国の軍事介入を引き起こす可能性があることだ。トランプ大統領が直面する可能性のある危機の中でも、これは核戦争の影を伴う大国間の紛争に最も容易に発展する可能性がある。

1979年にワシントンが中国に外交承認を与えた際、台湾と中国本土の両方が「一つの中国」の一部であり、両者は最終的に統一を選択できると「認めた」のである。米国はまた、台湾との国交を断絶し、台湾における軍事的プレゼンスを終了することにも合意した。しかし、1979年の台湾関係法に基づき、ワシントンは台湾の準政府外交機関である台北経済文化代表処(在米)とも協力し、台湾の防衛に必要な武器を台湾に提供する権限も与えられていた。さらに、米国政府高官は「戦略的あいまいさ」として知られるようになった方針を主張し、中国が武力によって台湾の地位を変更しようとするいかなる試みも「西太平洋地域の平和と安全に対する脅威」を構成し、米国にとって「重大な懸念事項」と見なされるが、必ずしも軍事的対応を必要とするものではないと主張した。

しかし、もし彼が「戦略的明確性」を受け入れ、中国に対する軍事的圧力を強めるという「狂気の」行動に出た場合、多くの支持者から称賛を受ける可能性が高いが、一方で中国との(核戦争の可能性もある)戦争を引き起こすことになるだろう。

何十年もの間、歴代の米国大統領は「一つの中国」政策を再確認する一方で、台湾にますます強力な兵器を提供してきた。中国のほうは、繰り返して台湾は背信的な省で、できれば平和的手段によって本土と再統一すべきだと主張してきた。しかし台湾人は統一を望んだことは一度もなく、むしろ独立宣言に向けて着実に歩みを進めており、北京は武力介入を正当化する理由になると主張している。

こうした脅威が頻繁かつ深刻になるにつれ、ワシントンの指導者たちは「戦略的あいまいさ」の妥当性について議論を続け、一部の者は、中国による侵略があった場合には台湾を断固として支援するという「戦略的明確性」政策に置き換えるべきだと主張した。ジョー・バイデン大統領はこの見解を受け入れているようで、そのような状況下では米国には台湾を守る義務があると繰り返し断言した。しかし、そのたびに側近たちは、米国には法的義務はないと主張し、彼の言葉を否定した。

バイデン政権はまた、台湾への軍事的支援を強化し、同地域における米国の航空機と艦船のパトロールを増加させたが、これは中国が侵攻した場合に米国が介入する可能性を高めるだけである。台湾への武器輸出を迅速化するなどの動きは米国議会における中国強硬派の働きかけに応える形で採用された。しかし、それらはすべて、米国の軍事施設と米国の軍事同盟国やパートナー国を結集して中国を包囲するという、包括的な政府戦略に沿ったものである。

北京からみれば、ワシントンはすでに中国に極端な軍事的・地政学的な圧力をかけている。問題は、トランプ政権がそれらの圧力を強めるのか弱めるのか、特に台湾に関してである。

トランプが台湾への武器売却の増加と軍事協力の強化を承認することは、基本的に言うまでもない(少なくとも、彼が関与するものについては同様である)。中国は過去にも米国の台湾への支援の増加を経験しており、おそらく同じことが繰り返されても耐えられるだろう。しかし、それ以上に不安定な問題が山積している。トランプは「戦略的明確性」を受け入れ、中国が台湾に侵攻した場合に米国が自動的に介入することを保証するだろうか。また、同地域における米軍の存在を大幅に拡大することを承認するだろうか。いずれの動きも、トランプの側近である中国強硬派の一部が主張しているものであり、いずれも北京から激しい、予測困難な反応を引き起こすことは確実である。

実際、トランプの最も親しいアドバイザーの多くは、「戦略的明確性」と台湾との軍事協力の強化を主張している。例えば、マイケル・ウォルツは、米国は「抑止策として台湾を防衛することを明確にするべき」と主張している。また、西太平洋における軍事的プレゼンスの強化も呼びかけている。同様に、2019年から2021年までトランプ大統領の国家安全保障顧問を務めたロバート・C・オブライエンは、昨年6月に、台湾との軍事協力関係を拡大しながら、米国は台湾の「防衛を支援する」という「約束」を「明確にするべき」だと書いている。

トランプ自身はそのような約束はしておらず、むしろより曖昧な姿勢を示唆している。実際、彼はいつもの調子で台湾に自国の防衛費を増やすよう呼びかけ、台湾に先進的なチップ製造が集中していることに怒りを示し、台湾が「我々のチップビジネスを約100%奪っている」と主張した。しかし、中国が台湾に封鎖を課した場合の厳しい経済措置も警告しており、ウォール・ストリート・ジャーナルの編集委員会に「 もし台湾に軍事行動を起こすなら、習主席に、申し訳ないが150%から200%の関税を課すことになるというだろう」と述べた。 またトランプは、「習主席は私を尊重しており、私がいかに狂気じみているかを知っているため、武力行使をちらつかせるまでもなく、封鎖を阻止できるだろう」と付け加えた。

このような発言は、今回台湾問題に関してトランプが直面するであろう問題を明らかにしている。もちろん、米国の関税引き下げと引き換えに、中国が台湾への軍事的圧力を弱めるよう説得することも可能だ。しかし、この手段は太平洋での戦争のリスクを軽減するものの、中国をより強力な経済的地位に置き、多くの側近を失望させることになるだろう。しかし、もし彼が「戦略的明確性」を受け入れ、中国への軍事的圧力を強化するという「狂気じみた」行動に出た場合、多くの支持者から称賛を受ける可能性が高いが、一方で中国との(潜在的に核戦争を含む)戦争を引き起こすことになるだろう。

貿易戦争か、それとも経済的共存か?

関税の問題は、トランプが2期目において、懲罰的な措置と取引上の選択肢のどちらを取るかという重大な選択に直面するもう一つの例である。より正確に言えば、中国に課そうとする関税やその他の経済的苦境をどの程度厳しいものにするかを決定する際に直面する選択である。

2018年1月、トランプ政権は、中国からの輸入品が多いソーラーパネルに30%、洗濯機に20~50%の関税を課した。その2か月後、同政権は輸入鉄鋼(25%)とアルミニウム(10%)に追加関税を課したが、その狙いはやはり中国に向けられたものだった。そして、トランプの外交・経済政策を数多く批判してきたバイデンはそれらの関税を維持し、電気自動車やその他のハイテク製品に新たな関税を課すことを選択した。また、バイデン政権は、中国の技術進歩を遅らせるために、先進的なコンピューターチップとチップ製造技術の中国への輸出を禁止した。

したがって、1月20日にトランプが大統領に再就任した際には中国はすでに米国から厳しい経済的圧力を受けていることになる。しかしトランプとその側近は、それだけでは中国の台頭を抑制するには不十分だと主張している。次期大統領は、就任初日に中国からの輸入品すべてに10%の関税を課し、その後も厳しい措置を講じるつもりだと述べている。トランプ陣営は、中国からの輸入品への関税を60%に引き上げ、中国に対する永久的通常貿易関係(「最恵国待遇」とも呼ばれる)の地位を取り消し、第三国を経由した中国からの輸入品の積み替えを禁止する計画を発表している。

トランプのアドバイザーのほとんどが、このような措置を強く支持している。「トランプは正しい。中国への関税を引き上げるべきだ」と、マルコ・ルビオは昨年5月に書いた。「中国の反競争的な戦術は、中国企業に米国企業に対する不当なコスト優位性をもたらしている」と彼は主張した。「このような戦術に対応する関税は、オフショアリングを阻止または逆転させ、米国の経済力を維持し、国内投資を促進する」

しかし、トランプは、そのような措置が実施された場合、深刻な経済的混乱を警告する他のアドバイザーからの反発に直面する可能性もある。彼らは、中国には米国との貿易戦争で使用できる独自の手段があり、それには米国からの輸入品に対する関税や、中国で事業を行う米国企業への規制が含まれると指摘している。その中には、同国で自動車の半分を生産しているイーロン・マスクのテスラも含まれる。これらの理由やその他の理由から、米中ビジネス評議会は、追加関税やその他の貿易制限は「中国からの報復措置を招き、米国の雇用と生産高のさらなる減少につながる」という悲惨な結果を招く可能性があると警告している。

台湾の場合と同様に、トランプは中国との経済関係において、いくつかの真に困難な決断を迫られることになるだろう。もし、トランプが自身の周囲にいる理論家の助言に従い、中国の成長を妨げ、その地政学的な野望を抑制することを目的とした最大限の圧力を北京に与える戦略を追求するならば、世界経済の崩壊を招き、多くの支持者たちの生活に悪影響を及ぼすだけでなく、米国の地政学的な影響力も大幅に低下させることになるだろう。そのため、移行チームのリーダーであるハワード・ルトニックのような、より現実的でビジネスライクな中国との関係を望む一部の主要経済アドバイザーの意向に従う可能性もある。トランプがこの問題にどう対処するかによって、将来、経済的な混乱と不確実性が拡大するのか、それとも相対的な安定が保たれるのかが決まる可能性が高い。そして、経済面で中国に対して強硬策を取るという決定は、全面戦争、さらには第3次世界大戦につながる軍事的対立のリスクを高める可能性があることを常に念頭に置くべきである。

そして、台湾と貿易は、間違いなくトランプが今後数年間で米中関係を管理する(または管理を誤る)上で直面する最も明白で困難な問題であるが、それだけではない。南シナ海における中国の主張の高まり、ウクライナとの戦争におけるロシアへの中国の経済的・軍事技術的支援の継続、そしてアフリカ、中南米、その他の地域における中国の投資の増加にどう対処するかも、トランプは決定しなければならない。

これらの点やその他の米中対立の側面において、トランプはより好戦的かつ攻撃的になるか、より現実的で取引的なアプローチを取るかという両極に引きずられることになるだろう。選挙運動中、彼は両方のアプローチを支持し、時にはまったく同じ感情的な言葉を吐いた。しかし、政権を握った後は、そのいずれかを選択しなければならない。そして彼の決断は、米国、中国、そして地球上のすべての人々に多大な影響を及ぼすことになるだろう。

https://www.commondreams.org/opinion/trump-china-policy