No.443 規制緩和がもたらした窮地

今回は、日本の新聞各紙にも大きく取り上げられたカリフォルニアの電力危機が代表する、米国の規制緩和の歪みに関する記事をお送りします。日本でも米国同様、規制緩和が推し進められていますが、その行き着く先はこの記事にあるような状況だということを是非認識していただきたいと思います。皆様からのご意見をお待ちしております。

憎悪の種がもたらす苦い果実

『オーランド・センティネル』紙 2000年11月26日
チャーリー・リース

 ほとんどの米国人は、外交政策において米国政府がどんなに凶悪であるかを理解していない。昨年9月、スコットランドの新聞、『サンデー・ヘラルド』紙は、米国とその同盟国が故意にイラクの上水道を破壊し、さらにその後9年間、必要な装置や薬品の供給を断つことにより、上水道の修復を意図的に阻止していると報道した。

 ジョージタウン大学のある教授は、米国防情報局が作成した7ページの文書を入手した。それにはイラクの水道網の弱点や、必要な装置や薬品を輸入に頼っていること、そしてそれを破壊すればどのような影響があるかについて書かれていた。

 この記事はまったくもって正しく、米国と同盟国はイラクの上水道を破壊した。『サンデー・ヘラルド』紙によれば、8つの多目的ダムが繰り返し爆撃を受け、治水、生活用水および産業用水の貯蔵、灌漑用水、水力発電のためのインフラなどが破壊された。イラクの7つの主要な揚水基地のうち4つが破壊され、同様に31の生活用上下水道設備も破壊された。

 その結果、腸チフス、赤痢、肝炎、コレラ、小児麻痺といった、汚水が媒介する病気によって数千人のイラク民間人が死亡した。しかし、地球上には常に容赦ない裁きがある。『サンデー・ヘラルド』紙は、湾岸戦争で使われた劣化ウラン弾の放射能の影響に苦しむ米英軍の兵士が何万人もいると報道している。米英政府が、湾岸戦争症候群の存在すら否定しようとするのは無理もない。

 攻撃を受けた上水道網は、クウェートのイラク兵士に対する兵站や支援とは何の関係もないことから、これは故意にイラク民間人の生命や健康を脅かすことを狙った冷血な攻撃、すなわち戦争犯罪である。

 法原則を持ち出したがる人々は、自分の政府が法律を遵守しているかどうかを顧みるべきだ。ユーゴスラビアの新大統領は、米国の本質を見透かしている。「ワシントンは、任意、不確実、自由裁量といった、法原則に反するものをすべて採用した」と彼はいう。

 通信塔、橋梁、弾薬集積所への攻撃と違い、市民の上下水道設備は軍隊とは何の関係もない。米政府に影響を与える、軽薄な機械人間や冷酷な弁護士に会ったことがなければ、それらを攻撃するなど、どんな米国人にもできない悪意に満ちた行為に思えるに違いない。彼らは亡霊のように飛び回り、政権に就く者の耳に毒のある悪意をささやく。

 いつの日か、米国は女子供を攻撃しないと世界に明言する政治家を選出できると考えることは、慰めにはなるものの、残念ながら、残虐さや人命と人権の軽視は米国民の態度を反映しているのではないかと思う。犠牲者が「自分たち以外」、すなわち外国人である限り、米国人のほとんどは彼らに何が行われたか気にしないようである。人々は、宗教の普遍的な教えを持ち出すことを嫌うが、自分の播いた種は自分で刈り取ることになる。米国政府は、米国の名のもとに、憎悪の種を播いている。そしていつの日か、我々はその憎悪の実を刈り取ることになる。それは苦い実になるであろう。

 もしある日、誰かが米国の上水道に毒を入れたとしたら、それが米国防情報局のアイデアだということがわかっても、大した慰めにはならないだろう。我々がワシントンに必要なのは、新しい、もっと情け深い皇帝なのである。