No. 2020 カザフスタンでの文明の衝突

Clash of Civilizations in Kazakhstan

by Pepe Escobar

アスタナクラブ(カザフスタンの首都アスタナで開催される会合。2023年12月14日のテーマは「平和のための新しい方式:変革を遂げつつある世界(A new formula for peace: the world on the verge of transformation)」)はハートランドで毎年開催される東西交流の場としてすっかり定着した。カザフスタンの首都でマイナス32度の寒さで行われる今年のフォーラムは、これ以上ないほどの輝かしい地政学的な転換点で行われる。

複数のラウンドテーブルでは、我々すべてがその渦中にある「激動のメガサイクル」の全スペクトラムを検証する。巨大な挑戦が生まれている統合を続けるユーラシアは世界人口の4分の3と世界GDPの60%以上を擁している。

スターウォーズ風のラウンドテーブルには、米国人とイギリス人を中心とする大西洋主義者と、中国、ロシア、インド、トルコ、アゼルバイジャンからユーラシア全体の専門家が集まっている。ではさっそく本題に入ろう。

「我々は今どこにいて、どこへ向かっているのか」ということになると、ロシアが生存空間を獲得するとか、トゥキディデスの罠といった西側の戯言を回避するのは難しかった。さらに「脱グローバル化」という誇大広告の中で、シンガポールが事実上の独裁国家であるにもかかわらず、欧米エリートたちにとって魅力的であり続けているという事実もテーブルには正確に反映されていなかった。

いつも楽しませてくれるエドワード・ラットワックは、米国のディープ・ステートに助言をし続け、”ターボ資本主義”といった言葉を生み出し、地政学の概念を刷り込み、ボリビアのジャングルで牛を飼っている。そして彼は再び中国への執着を露わにした。彼は、「国連安全保障理事会は時間の無駄だ。中国の近くにあるすべての国は反中だ」と言ったが、これは明らかに誤りである。そして米中間は対称性がない。

「深刻な危機にある世界」について議論する際、外交関係評議会のチャールズ・カプチャンはビデオ会議で、ロシアの「戦略的な敗北」について熟考した後、「流血を止める」ことを呼びかけた。これは高く評価されたが、ウクライナの反転攻勢以前にこのような呼びかけはなかった。

上海国際問題研究所のZhao Longは、中国の「戦略的忍耐」に焦点を当てることを好み、また中国がウクライナの代理戦争の主要な犠牲者の一人であると主張した。復旦大学のZhao Huashengは、「国境を越えた戦争」は「国境を越えた不安」を増大させるだけだと付け加えた。

世界経済の分断の脅威についてロシア科学アカデミーのセルゲイ・アフォンツェフは、モスクワが6ヶ月足らずで対外貿易の再構築を行い、また、インドへの石油輸出の全メカニズムがわずか数ヶ月で整えられたことを強調した。

全ての議論において鍵となるテーマは「あらゆるものの安全保障化」であり、この危険な相互依存が安全保障のリスクを悪化させているという点であった。国際平和協会カーネギー国際平和財団のエヴァン・ファイゲンバウムは、我々は経済統合と安全保障の分断との間で深刻な対立に突入していると提唱している。

制裁のリアリティ・チェック

バクーにあるADA大学のDamjan Krnjevic-Miskovicは、大中央アジアとアフガニスタンの相互接続について、ゆっくりと、しかし確実に、事実上シルクロード空間を横断する接続性に焦点を当てた素晴らしいプレゼンテーションを行った。

大陸間の架け橋は事実上完成している。中国はカザフスタン、キルギス、ウズベキスタンに鉄道を敷設している。

マルチモーダルな中間回廊、またはトランス・カスピアンと呼ばれるものの利点は中国とヨーロッパを中央アジア、カスピ海、および南カフカーズを結ぶもので、ロシア、イラン、およびインドが主要なプレーヤーとなる国際的な北-南輸送回廊(INSTC)と重複する可能性がある。

これにより理想的には南コーカサス、西アジア、中央アジア、および南アジアが協力して統合され、SCOからBRIまでの主要なプレーヤーが集まり、アフガニスタンが中心となる。クルニェビッチ=ミシュコビッチは、この全体の空間が「国際秩序において自律的なアクターになりつつある」と強調した。

制裁に関する「リアリティ・チェック」は、米ドルの武器化についての議論を引き起こした。アフォンツェフは、ロシアの対外貿易の再構築とマクロ経済の安定における成功を再評価し、「国内の圧力を高めないようにした」と述べた。その結果モスクワは「ロシア市民を西側諸国に抵抗させることに成功し」、そして「ロシア連邦への労働力供給が増加した」のだった。

私がフォーラムの合間に魅力的なやり取りをしたZhou Buは、米国にとって、隣国である中国とロシアの友好関係は「限定的でなければならない」と再度強調した。

デカップリング、デリスク騒ぎの中で、西側諸国と対立しないよう中国を説得するというフィクションに米国人はいまだにしがみついている。しかし北京はそのような意図を抱いたことは一度もない。中国は何よりも、非西洋的な組織で、自国通貨での取引に力を入れているBRICSの拡大に注力するグローバル・サウスの一員であることを自負している。

結局のところ、例えば南シナ海で起きている米国の継続的な挑発行為により、中国共産党はますます強くなっているということなのだ。

AIに関するかなり活発な討論の中、ブッシュジュニアの政権とオバマ政権で科学技術の商業化に関する重要なアドバイザーを務めたトーマス・セルッチは「倫理的なAI」を強調した。そして何よりも、科学技術は政治に関与すべきではないということを強調した。

Zhou Boは、清華大学はブルッキングス研究所と共同で軍事AIと核の指揮統制の重要な側面に関する研究を行っているが、米国が中国のAIに対して制限していることを強調した。EUに関しては、Boは、EUがいかに「AIの創造」よりも「AIの規制」に関心を持っていることを強調した。

「ブロック化の時代」についての討論会で私はモデレーターを務めた。これはかなり生産的だった。というのも外交問題評議会のジェームズ・リンゼイと、再びZhou Boという二人の専門家のプレゼンだけだったからだ。その分フロアの時間がたっぷりあった。基本的に第三次世界大戦はまだ起きない、米中による二極化はワシントンがあらゆる手段を使って抵抗するだろう、ユーラシア大陸で人民元が米ドルに取って代わるには長い道のりが必要だ、ということで意見が一致した。

今年のアスタナクラブで問題があったとすれば、特にハートランドと中央アジアの「スタン諸国」に焦点を当てた十分な議論がなかったこと、そしてまもなくEAEU(ユーラシア経済連合)/BRICSがユーラシア全域での取引における脱ドル化のための実現可能なロードマップを打ち出す結果に関する議論が不足していたことである。

緊張がついに表面化

最終本会議は、「平和のための新しい方式」に焦点を当て、カザフスタンの初代大統領ヌルスルタン・ナザルバエフ(彼の回顧録がロシア語で出版され、まもなく英語版も出る)によって開会した。

ナザルバエフは、カザフスタンを非核化した責任者であるという重要なポイントを皆に思い出させた。彼は、当時世界で4番目に大きな核兵器を解体し、1995年までにロシアに移譲したのだ。

彼は「かつての世界秩序の崩壊」を強調し、持続可能な開発への支持を新たにし、ユーラシアの「この100年で最も急激な変革」を賞賛した。

これが最終討論の舞台となった。スペインのホセ・ルイス・サパテロ元首相は、ガザでの人道的停戦を熱烈に訴えた。そしてもうすぐ90歳になる伝説的なロシア人ジャーナリスト、ウラジーミル・ポズネルも登場し(彼は14年間チャンネル・ワンの人気政治番組の司会を務めた)ウクライナ紛争について彼自身の解釈を述べた。

そしてその時、フォーラムでかろうじて抑えられていた緊張感がついに爆発した。きっかけはウクライナだった。

ある大西洋主義者が、ポズネルを安っぽい名誉毀損で攻撃したため、私は皆の前で仲裁に入らなければならなかった。その後の討論は鮮明だった。2人のロシア人と私。もう一方は英米の覇権主義者。

そこで再確認されたのは、継続中の米国/NATOのウクライナの代理戦争における宇宙的な屈辱は、大西洋主義者にとって決して癒えることのない痛手であるということだ。アスタナクラブの功績は、現在の毒毒しい地政学的な状況に関して、文明的な議論の中でかなり具体的なものにしたことである。

そして、私たちは「平和のための新しい方程式」を見つけることはできなかった。

https://www.unz.com/pescobar/clash-of-civilizations-in-kazakhstan/