No. 2130 明確な政策としてのガザ虐殺

The Gaza genocide as explicit policy

マイケル・ハドソンが名指しで語る

by Pepe Escobar

イスラエル、ガザ、ヨルダン川西岸は、新冷戦の幕開けと見るべきだ。

2024年{1}のこれまでで最も重要なポッドキャストの中で、『超帝国主義』(2021年){2}や『古代の崩壊』(2023年){3}などの著者、マイケル・ハドソン教授は、24時間365日、地球全体に生中継されている21世紀の大虐殺という想像を絶する事態を理解するために不可欠な背景を臨床的に説いている。

ハドソン教授は、電子メールのやりとりの中で、どのように秘密が暴露されたのかを語った:

50年前、私がハドソン研究所でスタンリー・キューブリックの『博士の異常な愛情』(1964年)のモデルとなったハーマン・カーンと一緒に働いていたとき、ウジ・アラッドを含むイスラエルのモサドのメンバーが訓練を受けていた。私は彼と2度海外出張し、現状の概略を説明した。彼はモサドのトップとなり、現在はネタニヤフ首相の顧問である。

ガザの基本的な計画は、カーンがベトナム戦争で設計したような、イスラエル人がパレスチナ人にやっているように運河で各村落を切り離し、セクターごとに分割する方法である。また当時すでに、カーンはイランやその他の地域の混乱を煽る地域としてバローチスタン(パキスタン、イラン、アフガニスタンの境界地域)をピンポイントで狙っていた。 

バローチスタンが何十年もの間CIAにとって価値のある領域であったのは偶然ではなく、最近では、中国・パキスタン経済回廊(CPEC)という中国の一帯一路構想(BRI)の重要な接続ノードをあらゆる手段で混乱させるという誘因も加わっている。

そして、ハドソン教授は主要な点と点を結ぶ:

 私の理解では、米国がイスラエルに対して行っていることはイランと南シナ海に向かうための予行演習である。ご存知のように米国の戦略にはプランBがない。プランAを批判する者はチームプレーヤーではない(あるいはプーチンの操り人形)とみなされるため、批判者は昇進できないとわかると去らざるを得ない。だから米国の戦略家たちは、自分たちがやっていることを立ち止まって考え直そうとしないのだ。

 戦略的な小集落に隔離し、それから殺す

私たちのメール交換で、ハドソン教授はアニア・Kとのポッドキャストについて「これが基本的に私が言ったことだ」と述べた。(トランスクリプト全文{4})注意してほしい。ありのままの真実は極超音速ミサイルの命中弾よりも致命的だ。

ガザにおけるシオニストの軍事戦略について:

私は1970年代にハドソン研究所でウジ・アラッドや他のモサド訓練生と一緒に学んだ。私の専門はBoP(国際収支)だったが、軍事戦略について議論する多くの会議に同席し、ウジと一緒にアジアに2度行き、彼をよく知るようになった。

 ガザにおける米国とイスラエルの戦略は、多くの点で1960年代にベトナムで実行されたハーマン・カーンの計画に基づいている。 

ハーマンはシステム分析に焦点を当てた。全体的な目的を定義することから始め、次に、それをどのように達成するか? 

まず、彼らを戦略的ハムレット(ベトナム戦争中に米国が採用した戦術の一つで、南ベトナムの村落を防衛のために集団化し、共産勢力に対抗するための安全な拠点した)に隔離する。ガザは地区ごとに分断され、ある地区から別の地区への移動や、ユダヤ系イスラエルへの出稼ぎには電子パスが必要になった。 

まず最初にやるのは、彼らを殺すことだ。爆撃が理想的。なぜなら自軍の国内での犠牲者を最小限に抑えられるからだ。 

今日私たちが目にしている大量虐殺は、イスラエル建国者の明確な政策である。「人のいない土地」とは、非ユダヤ人がいない土地を意味する。イスラエルの正式な建国以前から、最初のナクバ(アラブ人によるホロコースト)が始まっていたのだ。

 イスラエルの2人の首相は、テロリストのシュテルン・ギャングのメンバーだった。彼らはイギリスの牢獄から脱獄し、イスラエルを建国するために加わった。

 今日私たちが目にしているのは、この計画の最終解決策である。それはまた、中東とその石油埋蔵量を支配したいという米国の野望ともダブる。米国の外交にとって中東は石油である。そしてISISは、ロシアと戦うためにアフガニスタンで最初に組織されて以来、米国の外国軍団の一部なのだ。 

だからこそ、イスラエルの政策は米国と協調してきた。イスラエルは中東における米国の主要なクライアントである。モサドはシリアとイラクでISISのほとんどを対処している。テロリズムと現在の大量虐殺さえ、米国の地政学の中心なのだ。

 しかし、米国がベトナム戦争で学んだように、国民はこの戦争を監督する大統領に抗議し、反対票を投じる。リンドン・ジョンソンは人々が叫ぶことなしに公の場に出ることはできなかった。彼は演説をするホテルの通用口からこっそり出ていかなければならなかった。

 シーモア・ハーシュがマイ・ライの大虐殺で描いたような恥さらしを防ぐために、ジャーナリストを戦場から遮断する。もし彼らがそこにいたら、殺すのだ。バイデンとネタニヤフのチームは特にジャーナリストを狙っている。(シーモア・ハーシュはベトナム戦争中に米軍が行ったマイ・ライ村での虐殺事件を記事にした。米軍が無辜の市民を殺害したことが明るみに出て米国内で大きな衝撃を引き起こし、戦争の正当性や米国の軍事行動に対する疑問を呼び起こした。)

 つまり、理想は住民を受動的に殺すことであり、目に見える爆撃を最小限に抑えることだ。そして最も抵抗の少ない方法は、住民を飢えさせることだ。これが2008年以降のイスラエルの政策なのだ。

そして、彼らを飢えさせることも忘れてはならない

ハドソン教授は、ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックスのサラ・ロイの記事{5}を直接引用し、2008年11月3日にテルアビブの米国大使館から国務長官に送られた電報を引用している。その公電には、「ガザに対する全体的な禁輸計画の一環として、イスラエル政府高官は、ガザ経済を破綻寸前に追い込むことなく維持するつもりであることを(大使館職員に)何度も確認している」とある。

ハドソン教授によれば、イスラエルは次のようなことを行っている。

ガザの漁船や温室を破壊し、自給自足をできなくする。

 次に、イスラエルは米国と協力して、国連の食糧援助や他の国々の食糧援助を妨害した。米国は、国際司法裁判所(ICJ)が大量虐殺の妥当性を認定した直後、敵対行為が始まるとすぐに国連救済機関から脱退した。米国は、この機関の主要な資金提供者であった。希望はその活動を後退させることにつながるだろうというものだった。

イスラエルは単に食糧援助が入るのと止めた。非常に長い検査列が設けられた。つまり、トラックの進行を事実上107日以前の速度の20%にまで遅らせる口実を作ったのだ。通常の1日あたりの500台からわずか112台にまで減少した。トラックの妨害に加えて、イスラエルは支援活動を行う人々も、1日に一回は標的にした。 

米国は、海上で食料を荷揚げするための埠頭を建設すると見せかけ、非難を避けようとした。埠頭が建設される頃には、ガザの住民は飢え死にするだろうという意図だった。

戦犯としてのバイデンとネタニヤフ

ハドソン教授は、この悲劇全体における重要なつながりを簡潔に描いている:

米国はネタニヤフ一人のせいにしようとしている。しかしそれは1947年以来のイスラエルの政策である。そしてそれは米国の政策でもある。10月2日にアル・アクサ・モスクがイスラエルの入植者によって襲撃され、10月7日のハマスの報復につながった。毎月、毎月、投下されてきたすべての爆弾は、バイデン政権と密接に連携して行われていたのだ。 

米国の狙いは、ガザが米国が敵視する他のイスラム集団の繁栄の資金源となる海上ガス利権を手にするのを阻止することだ。そして米国がガザの直前にリビアに対して行ったように、近隣諸国に何をされるかを見せつけることだ。要するに、バイデンとそのアドバイザーたちは、ネタニヤフ首相と同様に戦争犯罪人なのだ。

 ハドソン教授は次のように強調する。 

ブリンケン国連大使をはじめとする米国政府高官は、ICJの大量虐殺の判決は拘束力がないと言っている。そして、ブリンケンは大量虐殺は行われていないと述べた。

 これらすべての米国の目的は、国連に代表される国際法の支配を終わらせることだ。それをルールが公表されていない米国の『ルールに基づく秩序』に取って代えるのである。 

その意図は、国際法や現地の法律の原則に基づく米国の政策に、いかなる反対もできないようにすることだ。完全な自由裁量力、つまりカオスだ。

 米国の外交官たちは、世界の他の国々が米国とヨーロッパのNATOの軌道から離脱しようとしていることを予見している。 

この不可逆的な動きに対処するため、米国は国連創設の根底にあった国際ルール、さらには1648年当時のウェストファリア的な他国への不干渉原則の痕跡をすべて消し去り、歯止めをかけようとしている。

実際の効果は、例によって米国の意図とは正反対になった。世界の他の国々は、新しいIMF、新しい世界銀行、ハーグの新しい国際裁判所、その他米国が支配する組織とともに、独自の新しい国連を作ることを強いられている。

 したがってガザとヨルダン川西岸(ヨルダン川西岸を忘れてはならない)におけるイスラエルの大量虐殺に対する世界の抗議は、グローバル・マジョリティのための新たな多極化地政学秩序を生み出す感情的・道徳的触媒なのだ。

消えるか、死ぬか

重要な疑問が残る。ガザとパレスチナ人はどうなるのか?ハドソン教授の判断は、不吉なほど現実的である。

アラスター・クルークが説明したように、イスラエルでは現在、二国家解決はありえない。すべてイスラエル人かすべてパレスチナ人のどちらかでなければならない。今の状況を見る限りすべてイスラエル人だ。1947年の始まりからの夢である非ユダヤ人のいない土地である。

 ガザは地理的には地中海のガス利権とともに存在する。しかし、ガザは空っぽになり、イスラエルによって占領されるだろう。

誰がガザの再建を “援助 “するかについては、すでに数人の有力な支援者がいる。

トルコの建設会社、サウジアラビアの開発資金調達、UAE、米国の投資家(おそらくブラックストーン)。外資になるだろう。これらすべての国の外国人投資家が、パレスチナ人に対する大虐殺から得られるものを探しているという事実を見れば、なぜ大虐殺に反対しないのかがわかるだろう。

ハドソン教授の「米国にとっての大きな利益」についての最終判断は次のようになる。

米国がイラン、中国、ロシア、そしてアフリカやラテンアメリカで計画している戦争や政権交代に対して、いかなる請求もできない。

 イスラエル、ガザ、ヨルダン川西岸地区は、新冷戦の幕開けと見るべきだろう。基本的には、大量虐殺と破壊をどのように金融化するかの計画だ。パレスチナ人は移住するか殺されるかのどちらかだ。それが10年以上前から発表されている方針だ。

Links:

{1} https://www.youtube.com/watch?v=gNu_OGbqyWk&t=14s

{2} https://www.amazon.com/Imperialism-Economic-Strategy-American-Empire/dp/3981826086/ref=sr_1_1?crid=1SF3K7HHE2NX&dib=eyJ2IjoiMSJ9.1-uyt80QG1x0ZCjaAdpUQ2ojJa73O0r7bFr5bIvJ2tf8dpRV-giEqfdyUczCus_x0zIZXCbPXxbK1bSkEXxLyr0LIO2DDBl5J0Zcs5EuopQ8ui_SN8ycwIwqTvOe4aVeQYAG24yHLFnIFHeUpcWO_bbsIawWIOXq4r6Bpf9F788cWlRB5ZF9vjYmLHeUNl3NYpmru2q4kgA2D8RyEvGDNxAyUT28OuuB-Ewq_uF4ePg.ZXiZc21DJsPkQGqwaFsfrtrnpH99Xa3TVJhb9bXWPn4&dib_tag=se&keywords=super+imperialism+michael+hudson&qid=1713114926&sprefix=Super+Imperialism%2Caps%2C155&sr=8-1

{3} https://www.amazon.com/Collapse-Antiquity-Michael-Hudson/dp/3949546111/ref=sr_1_1?crid=2PW7IR6YVU4NW&dib=eyJ2IjoiMSJ9.xReGlNRvRdoWxad9YygzymIKENuGXQ8rnqdJLkUz-oHLdnro_5M_gQQz93OTevjoZScRkFfQXoML_m5Bvu054yvU79deTy6fEcnwFxnWQv9Ncm1mX0_CxhP6tUGh81JPtz41Brbw69Sf2UWZLK45_icapJpxDBqSjU-Ox7w_LzC382o-blU_jPIilM6jVhG7v5UAshE4FVOxQuu_WabPnhCedE3XZQ2OppFgWzvuM58.OS6LhalfwZc2LjtDB_ocXkuu2UHr5hqX1XN7s-VPeR8&dib_tag=se&keywords=michael+hudson&qid=1713115132&sprefix=michael+hudson%2Caps%2C174&sr=8-1

{4} https://michael-hudson.com/2024/04/gaza-the-strategic-imperative/

{5} https://www.nybooks.com/online/2023/12/19/the-long-war-on-gaza/

The Gaza genocide as explicit policy: Michael Hudson names all names