No. 2306 パレスチナはイスラム・ルネッサンスのきっかけとなるだろうか?

Could Palestine be the catalyst for an Islamic Renaissance?

ガザ大虐殺を止めるのに、腐敗した繋がりの弱いアラブ諸国は頼りにできない

by Pepe Escobar

イスタンブール –  2023年10月7日の運命的なアル・トゥーファン(アル・アクサ洪水)の持つ深い意味について、イスラム諸国で数えきれないほど行われている分析の中で際立っていたのは、今週(10月7日を含む)イスタンブールで開かれた「パレスチナ:文明ルネサンスの要」と題する一連の会議である。これはクアラルンプール思想文明フォーラムと関連している。

マレーシアとトルコのパートナーシップだ。東南アジアと西アジアが出会う多極化する世界の図式は、2週間後にはロシアのイスラム教国である首都カザンでロシアが議長国の待望のBRICSサミットが開催される。重要なのは、ガザの問題がこのような議論を開催する資金が無限にあるはずのドーハ、リヤド、アブダビで議論されなかったことだ。

イスタンブールは、パレスチナの抵抗運動全体を代表するオサマ・ハムダン、トルコ議会のヌマン・クルトゥルムス議長、ハマス外交トップのハレド・メシャールが、抵抗運動の「戦略的勝利」についてドーハから発言するなど、洞察を比較するユニークな機会となった。そして、マレーシアの元首相でクアラルンプール・フォーラム議長のマハティール・ビン・モハマドによる力強いメッセージがこれに加わった。

マハティール博士は、健全な解決策は「ガザ地区に国連平和維持軍を派遣し、彼らを守ること」だと強調した。主な問題は、ウンマ(イスラム諸国)が「国連の拒否権に代わる手段を持たないこと」である。したがって、「イスラエルに圧力をかける手段がないため、イスラム諸国は手を組まなければならない」のだ。

マハティールの呼びかけを例示すると、イスラム教徒が多数派を占める国々は、世界のGDPの6%、投資の6%だが、世界人口の25%を抱えている。

マハティールは大胆にも「石油を世界に供給しないこともできる」と提案し、「ドル債に投資された資金を引き揚げ、欧米にガザでの行動を強いる」ことを主張した。今こそ、リヤドのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子とアブダビのムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン皇太子にそのことを納得させるのだ。

「焦点を当てるのは民衆組織だ。政府ではない」

クウェート生まれのパレスチナ人で、イスタンブールにあるサバハティン・ザイム大学のイスラム・グローバル・アフェアーズ・センター(CIGA)の所長を務めるサミ・アル・アリアンは、米国で「テロ容疑者」として迫害され独房に投獄された経験を持つという驚くべき人生を送っている。彼はパレスチナ問題に関して、アラブの政治エリートたちの無力さを次のように要約した。「結局のところ、世界的にみるとアラブ世界はもっとも繋がりが弱い。西アジアには米中央軍(CENTCOM)の管轄下の軍事基地が63もある。しかしそれでも、パレスチナ問題ほど世界全体を動員できる大義名分はない」

アル・アリアンは、アル・アクサの洪水は「アラブ世界をさらけ出した」と強調し、パレスチナの破壊は「イスラエルを地域覇権国とするために行われた」と語った。しかし希望の光もある。「私たちを分断するすべてのものを見てみよう。私たちが焦点を当てるべきは民衆組織だ。政府ではない」

イスタンブールに住み、働いているアル・アリアンは、会議の主要なテーマのひとつに正面から取り組んだ。トルコと西側の複雑な関係である。「トルコは基本的に西側にいる。パレスチナ人への100%の支持はない。多くの人々は依然としてオリエンタリズムの概念に支配されている」。彼はまた、当時将来の国家となる35カ国が3500万平方キロメートルに及ぶオスマン帝国の領土内で平和に暮らしていた様子を呼び起こした。

パレスチナでは今後3つのシナリオが考えられるとアル・アリアンは見ている:

1.「ネタニヤフの妄想」の継続。米国がそれらに反対しているという「証拠は何も無い」。「抵抗の枢軸」以外に抑止力はない。

2.「イスラエルにはアラブの同盟国がいる。しかしイスラエルはあらゆる方面で関与しなければならない」という妄想を否定するのは難しい。パレスチナは「正義の象徴」であり、「パレスチナ人だけの象徴ではない。」シオニストの構造を解体することが不可欠であり、パレスチナは単独ではそれを成し遂げることができない。

3.3つ目のシナリオは、迫り来る米国大統領選挙を考慮するともはやそれほど突飛なものではない。「米国はネタニヤフを罷免する可能性がある」というシナリオだ。ネタニヤフ内閣の戦争スパイラルにより民主党は敗北を恐れている。

制御不能なユダヤ国家

エジプト、スーダン、パキスタン、マレーシア、モーリタニア、ボスニアの学者や研究者たちとのいくつかの会話から、ある程度のコンセンサスが浮かび上がってきた。

* イスラエルが他国を「アマレク」または劣った国とみなす場合、他のボーダーラインの可能性はない。

* イスラエルの崩壊は西アジアのすべての人々にとって良いことである。分割統治の道具がなくなるからだ。

そして、イスラエル国内の分裂もある。英国在住のイスラエル人歴史学者イラン・パペは、2006年に出版された画期的な著書『パレスチナの民族浄化』の著者であり、ユダヤ人国家とイスラエル国家の衝突について驚くほど簡潔な分析を提示している。そこではパレスチナ人は、入植植民地主義のイデオロギーを極限まで推し進める新シオニストの救世主連合の邪魔者と見なされているのだ。

パペは、2022年11月の選挙でユダヤ国が成功を収めたのは、彼らがネタニヤフと足並みを揃えたからであり、それは「進歩的な占領者」であり「リベラルな」民族浄化者であるというイスラエルの神話を打ち砕いたと主張する。それらすべてとジェノサイドを調停することは不可能である。

パペは、「彼らは合法的な体裁を一切取り払って、自分たちの考えを迅速に実行に移そうとしている」と強調した。その中には、「民族浄化を強化するためのヨルダン川西岸地区のための新省」の創設も含まれている。

そして事態はさらに悪化するだろう。危険な狂人である財務大臣のベザレル・スモトリッチは、独仏共同出資のテレビ局ARTEの番組で「私はヨルダン、レバノン、そしてエジプト、シリア、イラク、サウジアラビアの一部を含むユダヤ人国家を望んでいる。我々の偉大な賢者たちによれば、エルサレムはダマスカスまで延びる運命にある」と述べた。

パペによれば、アル・アクサの後のイスラエル社会では、「ユダヤ国家が軍隊、治安部隊、警察を掌握している」というのが結論だ。彼らの選挙基盤は地域紛争を支持している。パペ氏は断固としてこう主張する:

     イスラエル国家はすでになくなった。そしてユダヤ人国家は自滅的な国家である。すでに50万人以上のイスラエル人が出国しており、その数は70万人に達する可能性もある。ジェノサイドと民族浄化は今や確かな事実となっている。

「深く分断された社会」における「社会の結束の欠如」は、最終的にはイスラエルの「暴力的な崩壊」を指し示している。

残虐Inc.に立ち向かう

テヘラン大学のモハメド・マランディ教授は、会議での発言やいくつかの非公式な会話の中で、パレスチナ、レバノン、イランを結びつけるすべての事柄の本質的な統合を提示した。以下は、彼の洞察の要点である。

抵抗と個人の責任について:

     ある意味で最大の英雄は、自ら進んで危険に身をさらすレバノン人である。もちろん、イエメンのアンサラー(イスラム教シーア派の武装組織)もそうだ。彼らはイスラエル政権との貿易を断ち、多大な犠牲を払った。イエメンとヒズボラはアメリカから多大な譲歩を提示されたが、それを拒否した。イスラエル政権は同時にシリアも爆撃している。シリアはレジスタンスを支援しているからだ。イスラエル政権は単独でこれだけのことを行うことができるだろうか?もちろん、そんなことはありえない。西側諸国が支援しているからだ。情報収集であれ、技術援助であれ、政治的庇護であれ、武器であれ。西側諸国の支援がなければイスラエル政権はすることはできない。私は、個人として、西側諸国で生産された商品の購入を止めるよう人々に呼びかけている。個人として、私たちにも責任があるのだ。

イランの戦略的忍耐について:

     イランはイスラエルが攻撃を仕掛けるのを待っている。そしてイランはより強力に反撃するだろう。イスラエルがダマスカスのイラン領事館を爆撃したとき、シリアがなければ、ハマス、イスラム聖戦、ヒズボラへの支援は非常に困難になるだろうと我々は理解した。そして、2007年10月の余波は、今日我々が目にしているものよりもはるかに深刻なものになるだろう。ダマスカスでの爆撃の後、イランは反撃した。一部の人々は、これは不十分だと言った。しかし、イランの狙いは対空およびミサイル防衛能力に関する情報を収集することだったことが今では明らかになっている。そして先週その結果を目にした。もし体制がテヘランを攻撃すれば、はるかに深刻な事態を招くだろう。今後数日、数ヶ月は苦しいものになるだろうが、私は未来に対して楽観的だ。 

サイード・ナスララ暗殺について:

     私は「衝撃と畏怖」爆撃が始まると同時にレバノンに向かった。そして抵抗運動の偉大な殉教者ハサン・ナスララが暗殺される前に現地に到着していた。文字通り、彼らが攻撃したとき、私は1000メートル離れた場所にいた。彼らは数百人の人々を殺害し、6棟のアパートの塔を崩壊させてハサン・ナスララを殺害した。これがイスラエル政権が喜んでやることだ。それは残忍であり、非合法であり、非合法な政権と取引を行うことはできない。欧米メディアは、信じがたく、不誠実な報道を行っている。

ザイム大学のイスラム・グローバル・アフェアーズ・センター(CIGA)では、会議で取り上げられた白熱したテーマのいくつかが、The Grayzoneのマックス・ブルーメンソールが新作ドキュメンタリーを上映した際に議論された。

「アトロシティ・インク(残虐Inc.):イスラエルによるガザ地区破壊の売り込み方」と題されたこの長編ルポルタージュは、10月7日以降のイスラエルと米国の主要な物語を徹底的に描き、ガザ地区での大量虐殺を西側諸国に容認させるために不可欠であった「首を切られた赤ん坊」のデマを暴いた。

イスタンブールの会議では、いくつかのことがはっきり示された。繋がりの弱い腐敗したアラブ諸国には、レバノンへの連続爆撃に拡大しつつあるガザ大虐殺を止めさせることは不可能である。テルアビブのタルムード的サイコパスの過激派と外交をすることは不可能である。軍事力以外には。

しかし、グローバル・マジョリティーの世論が盛り上がり、残虐Inc.に厳しい現実的な制約を課すことは可能かもしれない。例えば、経済的な締め付けなどだ。そして最終的には、パレスチナの主権確立が、イスラム文明のルネサンスの実現可能な要となることに貢献するだろう。

Could Palestine be the catalyst for an Islamic Renaissance?