No. 2333 トランプショック

Trumpquake

シートベルトを締めて:何が起こるにせよ、トランプショックは波乱の展開となる。

by Pepe Escobar

政治的な震度で言えば、それは文字通り「大地震」だった。リベラルな全体主義のショーとなるはずだったものが、あらゆる公園から、容赦なく、無残に一掃された。投票日前においても、批判的思考を持つ人々はその重大性を認識していた。不正があればカマラが勝つ。不正がなければトランプが勝つ。少なくとも不正(未遂)の試みはあった。依然として残る重要な疑問は、米国のディープ・ステートは本当に何を望んでいるのか?ということだ。

私の受信トレイには、米国シンクタンク界から、なぜカマラが負けるのか、と信じられない様子で嘆くレポートが大量に送られてきている。 彼女の無能さと大きな笑い声は別としても、その理由は明らかだ。

彼女が関わった政権がやってきたことは恐ろしいものだった。バイデンからブリンケンまで。

神話のような存在である「アメリカ国民」に関する、あらゆるレベルでの悲惨な現状を気にかける代わりに、彼らはネオコンが仕掛けた代理戦争にすべてを賭け、ロシアに「戦略的敗北」を強いることを選択した。ロシアの資産を奪い、いくつもの制裁を行い、さまざまな武器を送り込んだ。ウクライナの軍事化は無数のウクライナ人死者を出し、黒土のノヴォロシアでは刻一刻と迫るNATOの屈辱的な敗北につながった。

彼らは米国製兵器によるガザでの大量虐殺を支援するために、あらゆるものを投じた。それは、タルムード狂信者たちによって指揮された、生存圏を掲げた民族浄化と絶滅作戦であり、殺し屋ブリンケンが二国間または多国間のさまざまな会合で口にした「ルールに基づく国際秩序」という名目で売り込まれた。

西アジアやその他のグローバル・サウスが、米国の「利益」に逆らう者には何が起こり得るかというメッセージを受け取ったとしても不思議ではない。こうして繰り広げられたカウンターパンチが、BRICSとBRICS+が2週間前にカザンで開催したサミットだった{1}。

少なくともバイデン政権には功績がある。米国にとっての大きな「実存的脅威」であるBRICSの3国(ロシア、中国、イラン)の絆を強めたこと、そしてさらに不屈の北朝鮮も加わったことだ。それとは対照的にわずかな戦術的勝利は、長続きしないかもしれないがヨーロッパの絶対的従属である。

ウクライナをヨーロッパの首に吊るす

もちろん、外交政策が米国の選挙で勝利をもたらすわけではない。米国人自身がジレンマを解決するか、内戦に突入するしかないだろう。グローバル・マジョリティの大半は幻想を抱いていない。トランプショックという暗号化されたメッセージは、シオニスト・ロビーが勝利したということだ。おそらく、ネオコンとシオコンのすべての糸を考慮すると、それほど全会一致ではないだろう。ウォール街はまたしても勝つ(ブラックロックのラリー・フィンクは選挙日前からそう発言していた)。そしてディープ・ステートを代表する著名な機関も勝つ。ここで修正した質問を投げかけたい。もしトランプが1月25日以降、ディープ・ステートに対するスターリン的な粛清を開始するほど自信を深めたとしたらどうだろうか?

大統領選挙とほぼ同じ時に、ソチでバルダイ・クラブの年次総会が開かれた{2}。そこでのスーパースターは、もちろん著名な地政学者セルゲイ・カラガノフであった。彼は『帝国の永遠の戦争』について直接言及した。「我々は聖書的な時代に生きている」

そしてトランプショックが起こる前からカラガノフは冷静にこう言っていた。「ウクライナでは、最終手段に訴えることなく、我々(ロシア)は西側を打ち負かすだろう」。そして、それによって「米国は平和的に撤退する道筋をつけ、米国は普通の超大国になるだろう」。一方でヨーロッパは「歴史の傍観者となるだろう」。

そのすべてが的を射ている。しかしカラガノフは驚くべき概念を提示した。「ウクライナでの戦争は第三次世界大戦に代わるものである。その後で我々は、ユーラシアにおける何らかの秩序について合意することができるだろう」

これは、2021年12月にプーチンがワシントンに提案し、拒否された「安全保障の不可分性」であり、カラガノフ自身が構想した「大ユーラシア・パートナーシップ」の一部である。

しかし問題は、「ウクライナ戦争を21世紀最後の主要な戦争にしよう」という彼の結論である。

そう、問題はそこだ。実際には、本当の主要な戦争は西アジアにおけるイスラエルと抵抗の枢軸の戦いなのだ。

この問題の本題に入る前に、ヨーロッパについて話そう。トランプショックはヨーロッパの首に巨大なアホウドリのようにウクライナをぶら下げる準備ができている。簡潔に言うと、負け犬プロジェクトであるウクライナを米国の資金で支えるのはやめ、レイ・マクガバンが名付けたMICIMATT(軍産議会情報メディア学術シンクタンク複合体)内の武器ロビーの資金源となっているドイツのお金が入っていく、ということだ。

米国財務省は、トランプがすでに大統領になっているであろう2025年4月30日まで有効な内部メモをだした。このメモは、石油、天然ガス、木材、およびあらゆる形態のウランに関連するものについてロシアの銀行との取引を許可するとしている。

騙されやすいブリュッセルが運営するEUは、ウクライナに武器を提供するために多額の負担を強いられる一方で、次々と押し寄せる新たな難民を受け入れ、すでにその巨大なブラックホールに投資した資金とはお別れすることになるだろう。

トニー・ソプラノになりたい人に注意

トランプショックを額面通りになれば、米ドルはさらに武器として使われるだろう。トランプは国際貿易に他の通貨を使用する国をブラックリストに載せると公式に脅迫している。BRICSおよびBRICS+のパートナーはリストに載っている。それは多層的な代替貿易決済システムにつながるBRICSラボにおけるすべてのモデルのテストを加速させるだろう。

BRICSとグローバル・マジョリティは、トランプが実際にはノルドストリーム制裁に署名したことも知っている。{3} 最近「ノルドストリームを殺す」と発言したときのことだ。また、ウクライナにおける代理戦争の解決策を見つけることも、トランプ政権の1期ではまったく成果しか上げなかったことも知っている。

さて、本題だ。トランプは、P5+1(国連安全保障理事会の常任理事国5カ国とドイツ)が仲介したイラン核合意(JCPOA)を自ら破棄した。モスクワと北京はこれが西アジア全体のさらなる不安定化につながることをよく理解している。また、トランプが命じたソレイマニ司令官暗殺により、私が「狂乱の20年代」と呼んだ時代が始まったことも彼らは理解している。{4}

最後に、トランプは「世紀の取引」という仰々しい名前の取引を仲介した。アブラハム協定と呼ばれるこの取引が実施されれば、イスラエル・パレスチナ間の2国家解決策の可能性は永遠に葬り去られることになる。

この取引は、1917年のバルフォア宣言と同様に悪辣なものとみなされる可能性があるが、現在は休眠状態にあるかもしれない。しかしMbS(サウジの王子)のWhatsAppの友人であるジャレッド・クシュナー(トランプの娘婿)が復帰したため、圧力が再開されることは確実である。MbSはBRICSに関してはまだ決断を下していない。MbSがますますペトロユアン路線を歩み始めれば、トランプは発狂するだろう。

そして、最高に極悪な人物、トニー・ソプラノになりたいマイク・ポンペオが国防総省長官になる可能性が現実味を帯びてくる。それは今後、大きな問題を引き起こすだろう。ポンペオは、トランプ1.0政権下でCIA長官と国務長官を務めた。彼はロシア、中国、特にイランに対して超タカ派的な姿勢を取っている。

今後、差し迫った問題となるのは、自分は神によって命を救われたと思っているトランプが、超富裕層の献金者たちから期待されている通りの行動を取り、ポンペオや同様のギャングたちを主要ポストに任命し、イスラエルのイランおよび抵抗の枢軸に対する戦争に投資するのか、ということである。

もしそうであれば、(暗殺に失敗した)狙撃手を心配をする必要はなくなるだろう。しかし、もし彼が本当に独自の政策を実行しようとするのであれば、間違いなく彼は死を覚悟することになるだろう。

だからグローバル・マジョリティは固唾を呑んで見守っている。トランプショックは、地政学的なMAGAの領域にどのような影響をもたらすのか?確実視されているのは、外交政策上の「任務」や、厳選された標的に対する軍事的な「介入」において、民間軍事会社(PMC)が大々的に利用されることである。標的にはメキシコ(「国境の安全確保」)、ベネズエラ(モンロー主義に基づく「石油の確保」)、イエメン(「紅海の安全確保」)、そしてもちろんイラン(「イスラエルの安全確保」のための大規模な空爆作戦)など、グローバル・サウスのあらゆる国々が含まれる可能性がある。

つまり新たな戦争は起こらない(トランプが公約したように)、ただ少数の標的を絞った侵攻があるだけだ。それに加えて、ハイブリッド戦争が最大出力で進む。ブラジルは注意したほうがいい。トランプショックは、西半球におけるグローバル・サウスの影響力を高める真の主権国家であるBRICSメンバーを許さないだろう。

シートベルトを締めて。何が起ころうともトランプショックで波乱の展開になることは確実である。

Links:

{1} https://strategic-culture.su/news/2024/10/31/roadblocks-ahead-for-sovereign-harmonious-multi-nodal-world/

{2} https://valdaiclub.com/events/announcements/the-21st-annual-meeting-lasting-peace/

{3} https://www.atlanticcouncil.org/blogs/ukrainealert/us-sanctions-block-putins-pipeline/

{4} https://www.amazon.com/gp/product/B08WHKK3XN?ref_=dbs_p_pwh_rwt_anx_cl_0&storeType=ebooks

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