No. 2468 バルト海と黒海のパワーゲームとレッドラインが「奇妙な戦争」で交差

Baltic/Black Sea power games and red lines intersect in a “strange war”

by Pepe Escobar

バルト海の小国が繰り広げる狂気じみた「政策」に賭ける者はいない。彼らの最新の駆け引きはバルト海をNATOの湖に変えることだ。

ロシア恐怖症の小国がバルト海からロシアという大国を追い出してサンクトペテルブルクに脅威をもたらすという考えは漫画にもならない。しかしそれは戦争を煽る「急進派」が、ロンドン、ワルシャワ、バルト小国、ウクライナ枢軸へと移ったNATOが再構成した強迫観念の一部なのだ。

2025年には実現しない可能性もある戦争終了後に、「ウクライナ」がどのようなブラックホールの残骸となるかはまだわからない。確かなことは、どのような形であれウクライナが消滅した場合、ルーマニアに編入されるということだ。

ルーマニアにおける選挙の茶番劇全体(選挙のトップ候補者であるカリン・ジョルジェスクに対する中傷も含む)は、欧州最大のNATO軍事基地となるであろうミハイール・コガルニセアヌ基地のアップグレードを巡るものである。

つまりこれは、すべて黒海に関するものなのだ。NATOが黒海で混乱を引き起こすことは、NATOがチワワを使ってバルト海を独占することよりもはるかに美味しい展開をもたらす。

ロシアの外交・国防政策評議会のメンバーであるイリヤ・ファブリチニコフは、黒海に焦点を当てた注目すべき論文を発表している(これは、日刊紙「コメルサント」に掲載された短縮版である)。

ファブリチニコフは、欧州(EU/NATO)の観点からウクライナにおいて本当に重要なのは、「軍事、政治、経済のインフラとともに国境をロシアに近づけ、オデッサ-グダニスクルートに沿ってさらに北へと容易に伸びる戦略的な黒海貿易回廊を完全に掌握し、アジアや北アフリカの経済圏をより便利に、より迅速に開拓し、 そして、ヨーロッパ経済が必要な石油、ガス、その他の資源を供給する条件をロシアに押し付け始めることである」としている。

ウクライナを利用したこの権力闘争がリアルタイムで展開される中、戦争を煽る欧州官僚たちが、オーウェル的な「平和は戦争である」という痴呆を延々と売り込み続け、制裁の津波とキエフへの武器の雪崩のような新たな約束を繰り返しているにもかかわらず、後任者が必要である。

これは典型的なブリュッセルの属国の問題である。EUのトップ、フォン・デア・ライエンやNATOの新総長のルッティ・フルッティは、本質的にはワシントンとロンドンによって任命された人物だ。ヨーロッパはアメリカよりもはるかに多くの軍事・政治的資金をブラックホールのようなウクライナに注ぎ込んできた。

理由は単純である。ヨーロッパには、ロシアの「戦略的敗北」という奇跡的なプランB以外に選択肢がないからだ。

EU/NATOによる黒海での勢力争いは、ロシアがトランスニストリアとつながることをさらに不可欠なものにするだろう。これが現在の計画の一部であるかどうかを答えることができるのは、もちろんプーチン大統領だけである。

ネオナチによるパイプラインの爆撃

ロシア情報機関は、ヨーロッパがすでにウクライナの港湾から鉱山に至るまで、ある程度自らの勢力範囲を確保していることを認識している。当然のことながらMI6を通じて英国はドイツを中心とする「大陸」諸国よりも先を行っている。

これらすべてが、2期目のトランプがゼレンスキーと結んだ極めて曖昧な武器と金属の取引と絡み合っている。トランプにとって重要なのは米国の金を回収することだけだ。総額が5000億ドルになるか、それ以下になるか(実際には、もっと少なくなる)は問題ではない。

この舞台に戒厳令が布告された後、キエフの真の権力者として登場したのがウクライナの国家安全保障会議である。選挙で選ばれていない実際には違法なこの機関は、ここしばらくは重要な決定を何も下していない。決定を下しているのは、元外務省秘密情報部部長のオレクサンドル・リトヴィネンコである。

2月17日、この評議会がカザフスタンとノボロシースクを結ぶカスピ海パイプライン・コンソーシアム(CPC)の重要なパイプラインを爆撃するよう命じた。このパイプラインは、カザフスタンとロシアの石油を輸出している。

重要なのは、CPCの株主にはイタリアのENI(2%)と、エクソン・モービルの子会社であるカスピ海パイプライン・カンパニー(7.5%)、そしてシェブロン子会社のカスピ海パイプライン・コンソーシアム・カンパニー(15%)が含まれていることだ。

つまりそれは賢明ではなかった。キエフのネオナチを暗に意味する「統合ナショナリスト」たちは、アメリカが部分的に所有する資産を爆撃することを決めたのだ。トランプ2.0による反撃がおきるだろうし、それはすでに始まっている。

同じく不透明なレアアースの分野では、プーチンが最近行ったロシア国営テレビのインタビューは、誰もが意表を突かれたようだ。ロシアにはウクライナよりもはるかに多くのレアアースがあり、これらの鉱床の開発に向けて「米国を含む外国のパートナーと協力する用意がある」と彼は述べた。これは典型的な孫子流のプーチンのやり方だ。アメリカ人は、今後残されたウクライナで採掘できるレアアースを手に入れることはない。なぜならそれは存在しないからだ。しかし、彼らはノヴォロシアにおけるロシアのパートナーとなることができるのだ。

もちろん、これらすべては、ウクライナに関する米露間のしっかりとした交渉を前提としている。しかし、それでもなお、チーム・トランプ2.0は、ロシアの本当のレッドラインを理解していないように見える。

1「前線に沿って」一時的な停戦は認めない。

2 戦場で新たに獲得した領土の取引は認めない。

3 ロシアの西側国境にNATOや欧州の「平和維持部隊」を配置することを認めない。

プーチンがトランプを狼狽させる

現状では、ワシントンとモスクワの間には依然として深い溝がある。

トランプは重大な譲歩をすることはできないし、事実上、米国の戦略的敗北を認めることもできない。なぜなら、それは一方的な覇権の終焉を決定づけることになるからだ。

プーチンも、戦場で苦労して勝ち取った勝利を手放すつもりはない。ロシア世論もそれ以下を期待していない。結局のところ、交渉の可能性につながるすべてのカードをロシアは握っている。

EU/NATOは、自ら招いた戦略的敗北を絶対に認めないだろう。そのためバルト海/黒海の夢は、ロシアを「孤立させる」ことと同じくらい、中国の「新シルクロード」を混乱させるという幻想をさらに抱いている。

プーチンは、実際には常識を植え付けるためにバーチャルな宙返りをしている。トランプに対して「この第一歩は、両国間の信頼レベルを高めることに焦点を当てるべきである。米露関係については、これはまさに、リヤドで我々がこれまで行ってきたことである。そして、これは我々の次のハイレベル接触が専念するものである。これなしには、ウクライナ危機のような複雑かつ深刻な問題を含む、いかなる問題の解決も不可能である」と言った。

特に、ラヴロフが言う「合意不能」なカオスの帝国(米国)は、もはや世界的な信頼はボロボロである。それに加えて、24時間365日ニュースサイクルをコントロールするために次々と繰り出される大げさな発言がある。トランプ2.0の好むやり方だ。これらはどれも外交の根本的な原則である「信頼の醸成」にはつながらない。

ロシア世論が、11年間にわたって「カオスの帝国」と悪辣な代理戦争を繰り広げてきた後、プーチン自身がロシアの国家安全保障に不可欠と定義した戦略的産業部門でその米国とパートナーとなる可能性があるという事実を突きつけられた場合、事態はさらに混迷を極め、はるかに危険な状況となるだろう。

まさに、そうなのだ。あるいは、それはプーチンがトランプを混乱させるために仕掛けた予期せぬ孫子の計略なのかもしれない。

今週初め、私はユーラシア経済連合(EAEU)の元メンバーで、現在は連合国家(ロシア・ベラルーシ)の統合を主導するセルゲイ・グラズィエフと素晴らしいオフレコの会話を交わした。グラズィエフは、私たちの目の前で展開していることのすべてを明確に要約した。「これは非常に奇妙な戦争だ」と。

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