No. 2594 包括的な中東和平実現の時が来た

The Time Has Arrived for a Comprehensive Middle East Peace

by Jeffrey D Sachs and Sybil Fares

イスラエルと米国によるイランへの攻撃は2つの重大な影響をもたらした。1つは、この攻撃は地域混乱の根本原因を再び浮き彫りにした。すなわちイスラエルが「中東の再編」を目的とした政権交代戦略を通じて、自らの支配を維持し、パレスチナ国家の成立を阻止しようとする計画である。そして2つ目はこの戦略の無意味さと無謀さが浮き彫りになった。平和への唯一の道は、パレスチナの国家建設、イスラエルの安全保障、イランの平和的な核開発、そしてこの地域の経済回復を扱う包括的な合意である。

イスラエルは、イランがパレスチナと提携する代理勢力や非国家主体を支援してきたため、イラン政府を転覆させたいと考えている。イスラエルはまた、イランの核開発に関する米国とイランの外交交渉を一貫して妨害してきた。

イスラエルの安全保障は終わりのない戦争ではなく2つの重要な外交措置によって確保できる。すなわち、国連安全保障理事会の保証に基づくパレスチナ国家の設立によって過激主義を終わらせ、イランの平和的で検証可能な核プログラムを条件に制裁を解除することだ。

極右のイスラエル政府がパレスチナ国家の承認を拒否していることが問題の根本原因なのだ。

1917年に大英帝国がユダヤ人国家をパレスチナ委任統治領に作る約束した際、パレスチナのアラブ人は人口の90%を占め、ユダヤ人は10%未満だった。1947年、米国の激しいロビー活動により、国連総会はパレスチナの56%を新たなシオニスト国家に付与する決議を採択したが、この時点でユダヤ人は人口の33%に過ぎなかった。パレスチナ人はこれを自決権の侵害として拒否した。1948年の戦争後、イスラエルはパレスチナの78%に拡大し、1967年には残りの22%(ガザ、西岸、東エルサレム、ゴラン高原)を占領した。

平和と引き換えに占領地を返還する代わりに、イスラエルの右派政治家は土地の100%の永久支配を主張し、リクード党の設立憲章は1977年に「海とヨルダン川の間」にのみイスラエルの主権が存在すると宣言した。

ネタニヤフはこの支配政策を体現し、1996年以来合計17年間首相を務めてきた。彼が権力を握った際、彼と米国のネオコン同盟は「クリーン・ブレイク」戦略を策定し、パレスチナ国家の設立を阻止した。土地と平和を追求する代わりに、イスラエルはパレスチナ支持の政府を打倒することで中東を再編する方針を採った。米国はこの戦略の実施パートナーとなることになった。

これがまさに911以降に起こったことだ。米国が主導、またはスポンサーとして行われた戦争である:イラク(2003年の侵攻)、 レバノン(米国の資金提供とイスラエルの侵略への武器供与)、リビア(2011年のNATO空爆)、シリア(2010年代のCIA作戦)、スーダン(2011年のスーダン分裂を支援する反政府勢力への支援)、ソマリア(2006年のエチオピアの侵攻を支援)。

2002年にネタニヤフが米国議会に対して「イラクでの政権交代が中東に新たな時代をもたらす」と軽率に約束したのとは対照的に、2003年のイラク戦争は地域全体で起こる出来事の前兆となった。イラクは混乱に陥り、以降、新たな戦争ごとに死、破壊、経済的混乱がもたらされてきた。

今月、イスラエルは、イランと米国の間でイランの核プログラムの平和利用を確保するための交渉が進む中、イランを攻撃した。これはネタニヤフがイラク戦争を正当化するために用いた「大量破壊兵器(WMD)」のプロパガンダを繰り返し用いたものだ。

イスラエルはイランが核兵器の取得寸前だと30年以上にわたり主張してきた。しかし2025年6月18日、国際原子力機関(IAEA)の事務局長は、イランが核兵器開発のための「体系的な努力をした」証拠はないと述べた。さらに重要なのは、イランと米国は、IAEAがイランの核プログラムの平和的な性質を監視・検証する交渉を積極的に進めていたことだ。

イランへの攻撃は、ネタニヤフのアプローチの無意味さとニヒリズムを再び証明するものだ。イスラエルと米国の攻撃は何の成果も上げなかった。ほとんどのアナリストは、イランの濃縮ウランは依然として無傷だが、現在はIAEAの監視下ではなく秘密の場所に保管されているという。一方、イスラエルのガザでのジェノサイドが続く中、平和も安全も実現されていない。

イスラエルは、リビアからイランまでの4,000キロメートルに及ぶ地域を、無謀で法無視の戦争挑発的な行動により暴力の渦に巻き込んだ。その最終的な目的は、中東を「再編」することでパレスチナ国家の成立を阻止することにある。

解決策は明確だ:今こそ米国は自国の戦略的利益が、イスラエルの破壊的な戦略への関与から断固とした決別を必要としていることを認識すべきだ。

中東の真の平和を優先することは道徳的義務であるだけでなく、米国の根本的な利益でもあり、それは包括的な和平協定によってのみ達成できる。この協定の重要な柱は、米国が 1967 年 6 月 4 日の国境に基づくパレスチナ国家の設立に対する拒否権を、実際にはやってこない漠然とした遠い将来ではなく最初から放棄することだ。

20 年以上にわたり、アラブ諸国は現実的な和平計画を支持してきた。同じく、57 カ国が加盟するイスラム協力機構(OIC)や 22 カ国が加盟するアラブ連盟(LAS)もだ。国連総会に参加するほぼすべての国も同様だ。2024 年の判決で、イスラエルの占領は違法であると判断した国際司法裁判所もそうである。米国の拒否権による支援を受けたイスラエルだけがその妨げとなっている。

以下は、すべての当事者に利益をもたらす 7 項目の和平計画である。イスラエルは平和と安全を得る。パレスチナは国家の独立を達成する。イランは経済制裁の解除を得る。米国はイスラエルに代わって戦ってきた、費用のかかる違法な戦争を終結し、現在の暴力が続けば生じる核拡散のリスクの解消を得る。中東は、経済発展、安全、正義を手に入れるのだ。

– まず、地域全体に即時停戦を適用し、停戦にはすべての人質と囚人の即時解放が含まれる。

– 次に国連安全保障理事会は、1967年6月4日の国境線に基づき、東エルサレムを首都とするパレスチナを国連加盟194番目の国として承認する投票を事前に実施する。その後、イスラエルとパレスチナは、相互に望ましい国境調整について合意することができる。

– 第三に、イスラエルは1967年以来占領しているすべての領土から撤退する。国連が委任した国際部隊が、平和的かつ秩序ある移行、パレスチナ領土のパレスチナ当局への移管、およびイスラエルとパレスチナの相互の安全を確保する。

– 第四に、レバノン、シリア、および地域内のすべての国の領土の完全性と主権が保証される。すべての非国家武装集団は非軍事化され、外国軍は撤退する。

– 第五に、国連安全保障理事会はイランとの核合意を改定し、拘束力のある検証を含む内容とし、イランが核プログラムの平和利用に関する合意を履行したことを確認した時点で、イランに対するすべての経済制裁を解除する。

– 第六に、イスラエルとすべてのアラブおよびイスラム諸国は、パレスチナ国家の国連加盟承認後、完全な外交関係を樹立する。

– 第七に、中東諸国はレバノン、シリア、パレスチナの戦災地域再建のための国際基金を設立し、地域内および外部からの拠出金で資金を調達する。

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