The Japanese government and the Fukushima nuclear disaster
History repeating itself?
by Shaun Burnie https://www.greenpeace.org (November 17 2021)
核廃棄物の海洋投棄に反対する世界的な協定があることを知っていただろうか?それはロンドン条約とロンドン議定書(LC/LP)と呼ばれるもので、国連国際海事機関(IMO)の後援の下、グリーンピース・インターナショナルを含む政府加盟国とオブザーバーによる最新の会合が終了したばかりである。福島第一原発の核廃棄物を太平洋に投棄するという決定を擁護しようとする日本の外交官にとってそれは不愉快な経験だった。しかしそれはまた、日本がIMOで放射能から海洋環境を守る役割を担った30年近く前の、異なる時代と異なる政策の記憶を呼び起こした。
1970年代から1990年代にかけてLC/LP国際条約が制定されたのは、1946年以来、船舶から世界の海に核廃棄物を投棄してきた各国政府と世界の原子力産業に対する、持続的な世論の圧力によるものだった。イギリス、アメリカ、フランス、ロシアなどの国々では、軍事および商業核開発計画によって、さまざまな種類の膨大な量の核廃棄物が生み出されていた。
1950年代から、各国政府は急速に増え続ける廃棄物に対処するため、最もコストのかからない選択肢のひとつである、固形・液体廃棄物の海洋投棄を選択した。廃棄物は深海で人目に触れず、放射能は希釈されるという考え方だった。ドイツや日本など、商業用原子力発電プログラムを開発している他の国々も、放射性廃棄物の海洋投棄を支持していた。商業原子力産業が始まって70年、核廃棄物の危機は悪化するばかりで、いまだに実行可能な安全な解決策はない。
幸いなことに、船舶からの意図的な核廃棄物の海洋投棄は、1993年10月にロシア海軍が900トンの液体および固体の核廃棄物をウラジオストク沖の日韓近海の国際水域に投棄したのが最後だった。モスクワ政府が提示した正当化の理由は、保管スペースが不足していたため緊急の課題であったこと、放射性廃棄物は有害ではないこと、そして投棄は国際規範に従って行われたことであった。
聞き覚えがあるだろうか?
歴史は繰り返される
日本政府は2021年4月、福島第一原発からの核廃棄物を計画的に放出する計画を進めることを決定したと発表した。ロシアが1993年に投棄した900トンの核廃棄物をはるかに超える、少なくとも120万トン以上を、日本は海水と混合し、海底パイプラインを通じて太平洋に放出する計画である。排出には30年かかる予定だが、ほぼ間違いなくもっと長く続くだろう。
1993年、日本政府はロシアによる海洋投棄を極めて遺憾であるとした。今、日本政府は100万トンを超える放射性廃水の排出計画を、貯蔵スペースがないため「必要」であり、汚染水ではなく「処理水」であると正当化している。ソ連とロシアによって完成され、廃棄物投棄を正当化するために使われたデジインフォマツィア(ソビエト情報操作)は、30年近くの時を隔てて東京からのデジインフォマツィアと、同じことをしている。
1993年初頭、国際原子力機関(IAEA)はすでにロシアの核廃棄物投棄計画を知っていたが、介入することはなく、東京には知らせなかった。今日、IAEAは日本政府とパートナーシップを結び、その計画に援護を与え、IAEAが言うように、国際慣行に沿った安全な排出だと保証している。IAEAは、環境や公衆衛生を保護するのではなく、原子力産業の利益を支援・促進するという、1957年の規約で定められた歴史的役割を果たし続けているのだ。
1970年代から、グリーンピースは核廃棄物の海洋投棄に異議を唱えてきた。何年にもわたる調査とキャンペーンの末、ロシア海軍による核廃棄物の海洋投棄の秘密作戦に挑み、1993年10月18日、モーターボート・グリーンピース号の船上で、「核のない海」キャンペーンチームがそれを撮影した。
ロシア軍艦TNT27と他の海軍艦船が新たな核廃棄物の積荷を取りに港に戻った後、モーターボッセル・グリーンピースがロシア沿岸に停泊し、彼らの核廃棄物投棄が世界の目にさらされ、ロシア政府は10月22日、今後の投棄計画を中止すると発表した。TNT27は港にとどまった。
グリーンピースの船が日本の埠頭につく頃、細川護熙政権は政策の変更を発表した。もはや核廃棄物の海洋投棄は提唱しない。その代わりに、1993年11月にIMOで開催される会議で、すべての核廃棄物の海洋投棄を禁止するロンドン条約の改正案を支持する、としたのだ。当時も現在も、グリーンピース・インターナショナルの代表はIMOの会合に出席し、海洋環境の放射能汚染に終止符を打つよう働きかけている。
そのとき私は、核廃棄物投棄計画を知らせるロシア政府からのテレックス(もう30年も前のことだ!)のコピーを持って、当時のIAEAのハンス・ブリックス事務局長をソウルから東京まで追いかけた。IAEAは、なぜか日本政府には知らせなかったのだ。韓国から日本へ移動中、グリーンピースの仲間であるジョン・スプレンジ、トゥイリー・キャノン、ディマ・リトビノフ、トーマス・シュルツ、ピート・ウィルコックス船長らモーターボート・グリーンピース号の乗組員たちがロシア海軍と対峙する姿をNHKの番組で見て感動したことを、今でも昨日のことのように覚えている。
グリーンピース・インターナショナル、グリーンピース・ドイツ、そしてグリーンピース・ジャパンがロシアの核廃棄物投棄を暴露した結果、日本政府はロシア極東における核廃棄物の保管・処理施設の増設を財政的に支援することを決定した。この点は、グリーンピース・インターナショナルが長年にわたってIMOの会合で強調してきたことであり、福島の汚染水問題と類似している。
失敗した議論と合意
ロンドン条約とロンドン議定書の主な目的は、人工放射能を含む、汚染から海洋環境を守ることである。しかし日本政府は福島の汚染水対策は条約とは無関係だと主張している。実際、2021年10月26日の最新の会議では、日本は福島の汚染水問題のさらなる議論を止めようとし、そのような問題を議論するのはIAEAが適切であり、LC/LP国連主催の会議で政府が問題を検討するのは適切ではないと主張した。パイプラインから排出される放射能が、船舶による深海投棄よりも沿岸の海洋環境に大きな脅威を与える可能性がある以上、これは科学的に破綻した不合理な立場である。
日本はLC/LPでの福島の汚染水問題の議論を終わらせることができなかった。グリーンピース・インターナショナルの文書提出では、LC/LPの下で福島の廃棄物を太平洋に排出する代替案を検討する科学的作業部会を設置することを提案した。グリーンピース・インターナショナルは、1993年と同様に、ロシアによる投棄の代替案、すなわち追加保管と利用可能な最善の処理技術の適用があり、これらは福島第一でも適用されるべきであると主張した。
1993年、ロシアは国際支援を受け入れ、投棄は中止された。しかし、グリーンピース・インターナショナルの科学担当者であるデビッド・サンティロ博士の報告によると、2021年10月のIMO会合では、日本はこの選択肢を検討することを拒否し、その立場を米国、フランス、英国が支持した。韓国、チリ、中国、太平洋島嶼国のバヌアツとパラオの政府はすべて、技術作業部会で排出の代替案を検討することに賛成した。会議はコンセンサスに基づいて運営されており、日本が反対したために代替案を評価する合意は不可能だった。デビッド・サンティロ博士はIAEAの役割について異議を唱え、IAEAに排出の代替案に関する日本との議論について報告する任務を負わせることができないかと質問した。IAEAは2022年に報告することに同意した。
IMOのLC/LP会合において、日本が福島の核廃棄物問題の議論を国際的な検討から排除しようとしていることには歴史的な共鳴と同時に悲劇的な皮肉がある。1993年のロシアによる投棄は、日本国内での世論と政治的怒りを引き起こした。細川日本政府はその後、LC/LP会合において、すべての核廃棄物の海洋投棄の禁止を支持し、重要かつ決定的な役割を果たした。30年近く前、その立場は間違いなく、放射能汚染から沿岸海域を守ること、そして自国民、特に危険にさらされている漁業コミュニティの権利を守ること、という利己的なものであった。
当時、日本政府の立場は正しく、正当なものだった。今日でも、意図的な放射能汚染から海洋環境を守ることは、正しく合法的なことである。- しかし、それが今はそうなってはいない。
それどころか、岸田首相は前任の安倍首相や菅首相と同様、自国民や東北沿岸の漁業関係者の意見や権利を無視し、軽視している。
放出という決定は、福島県漁連の意見を遵守するという合意に違反している。彼らは海洋環境を放射能汚染から守るために行動しているのではなく、かえって汚染源となるのだ。日本政府はまた、自分たちの計画の精査を避け、アジア太平洋地域の近隣諸国や近隣諸国からの懸念や反対を退けようとしている。そして、貯蔵と処理に関する実行可能な代替案を検討する気がないのは明らかである。
闘いは続く
福島の廃水を太平洋に流すことに反対する技術的、放射線学的理由はたくさんある。グリーンピース・イースト・アジアはこれらについて報告し、調査を続けている。しかし、この決定は根本的なレベルであなたにも影響を与える。当然、怒りの声が上がるはずだ。気候変動や生物多様性の危機など、世界の海がすでに最も深刻な脅威にさらされている21世紀において、明確な代替案があるにもかかわらず、最も低コストで安価な選択肢だからという理由で、意図的に太平洋を放射能で汚染するという政府の決定はあまりにも倒錯しているように思える。それが日本であることは、ロンドン条約とロンドン議定書で核投棄の禁止を確保した歴史的な役割を考えれば、なおさら悲劇的である。
日本の計画には多くの法的問題がある。韓国、中国、北太平洋島嶼国など、影響を受ける沿岸諸国との協議を見事に怠り、環境影響評価を実施していないこと、環境影響評価を実施していないこと、そして自国の水域から国際水域や他国の水域を汚染させない義務があることだ。日本国民だけでなく、先住民族を含むアジア太平洋地域の幅広い人々の人権を軽視していることは、少なくとも国連人権特別報告者たちから厳しく問われてきた。
そして日本は放射能による越境汚染を避けるためにあらゆる措置を講じる交際的な法的義務を負っているが、太平洋への投棄に代わる継続的な貯蔵(これは確実に拡張できる。問題は金銭的なことだ)をせず、炭素14やトリチウムを含む放射性物質を除去するための水処理(これもお金の問題である)をしていない。 しかしこれらは明白なことを反映している。日本は太平洋に投棄することで放射能汚染を輸出するのだ。
しかし、早ければ2023年に開始される予定の放出を止める時間はある。国連IMOの支援の下、LC/LPに参加する各国政府はグリーンピース・インターナショナルとともに、福島原発の廃水問題について日本政府に質問し、異議を唱え続けるだろう。これは、福島第一原発を精査し、排出計画に直接異議を申し立てることを可能にするいくつかの国際文書のひとつに過ぎない。国連海洋法条約(UNCLOS)の条文は、東京の誤った計画にさらに大きな関連性と適用性を持っている。岸田新政権は、30年近く前のボリス・エリツィン政権がそうであったように、放射性廃棄物を海に投棄する計画があってもそれができるわけではないということをまだ知らないのかもしれない。
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Shaun Burnie is a Senior Nuclear Specialist at Greenpeace East Asia.
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