No. 2031 米国と中国の対照的な戦略

Contrasting Strategies of the US and China

by Roger Harris

習近平: 「一方が他方を改造するというのは非現実的だ。地球という惑星は、2つの国が成功するのに十分な大きさがある」。

ジョー・バイデン:「我々は、我々の未来を、我々のビジョンを共有しない人々の気まぐれに委ねるつもりはない」。

ニコラス・バーンズは、米国が中国との対立に備えるための最新の一撃として、「私は米中関係の将来を楽観視していない」ときっぱり言った。バーンズは知っているはずだ。彼は米国の駐中国大使なのだから。

バーンズによれば中国との二国間関係における米国のスタンスは、「今後数十年間における戦略的競争……地域の力だけでなく、世界の力を争う」ものだという。 実際、米国は中国との戦争に備えている。米国空軍の高官であるマイク・ミニハン将軍は早ければ2025年にも戦争が起こると予測している。

これは、最も差し迫った世界的な問題を解決するために相互利益のために協力するという中国のアプローチとは対照的だ。つまり、両国の指導者は異なる関係のパラダイムを提示している。中国の戦略は、協力と共同体という社会主義的な様式に適合している。米国の戦略は、競争的な社会関係という資本主義原理主義を反映している。

どちらのパラダイムが優勢になるかは、最近、米国平和評議会の代表団が中国に派遣され、中国の中国人民平和軍縮協会と会談した際の観察に基づくと以下のようになる。

北京の見解

中国の見解は「習近平思想」と呼ばれるものに基づいている。それは、米中関係は世界で最も重要な二国間関係であるというものだ。習近平は「中国と米国がどのように仲良くやっていくかが、人類の未来を決める」と述べた。この見方は両国経済が高度に統合されることを受け入れることを前提としている。両国は互いの発展から利益を得る立場にあるため、この「絡み合い」は促進されるべきものだと考えている。

中国の視点から二国間関係を包括するのは友好的な協力関係というスタンスである。「共通の繁栄」は3つの原則の上に築かれると彼らは信じている。一つは相互尊重である。その相互関係の柱の重要な側面は、2つの世界的大国がレッドラインを越えないことである。二つ目は平和的共存である。これは、コミュニケーションと対話を通じて意見の相違を管理するというコミットメントを伴う。そして三つ目はウィン・ウィンの協力である。例えば対中貿易の拡大は米国の家計の年間購買力を押し上げた。

米国と中国が世界においてこのような支配的地位を占めていることは、その責任も伴う。中国人は、主要国は人類に対して大きな責任を負っていると言う。彼らは、気候変動などの地球規模の問題は米中の協力なしには解決できないと指摘する。実際、米国と中国の合計で現在の地球上の温室効果ガス排出量の40%を占めている。

中国の姿勢は米国と対照的で、バイデン政権の「ゼロサム精神」を明確に批判している。ゼロサムゲームでは、一方の利益が他方の損失に等しい。これは相互利益のための協力に基づく「ウィン・ウィン」の関係という中国のビジョンと異なる。米国が二国間関係を拮抗的な「戦略的」競争と定義していることに、中国は異を唱えているのだ。

バイデン – 習の対決

この相反するパラダイムは、11月15日にサンフランシスコで開催されたAPEC首脳会議で示された。非公開の会談で何が話し合われたのかはわからない。しかしその後の記者会見で、ジョー・バイデン米大統領は4時間過ごしたばかりの相手についてこう語った。「いいか、彼は独裁者だ。私たちとはまったく異なる政治形態に基づく共産主義の国を運営しているという意味で」。

ネオコンのアントニー・ブリンケン米国務長官でさえ、記者会見で思わず顔をしかめた。ブリンケンの渋面は動画に収められ、拡散された。

その日のうちに習主席は、バイデン大統領の軽率な行動に応えるかのように、「一方が他方を変えることはは非現実的だ」と冷静に述べた。中国人にとっての平和的共存とは、異なる社会システムやあり方を寛容に受け入れることである。習近平はさらに、「地球という惑星は、両国が成功するのに十分な広さがある」とコメントした。

フォーチュン誌は、習近平がバイデンの「Winner-take-all(勝者総取り)」の考え方とは異なるビジョンを提示したことを認めた。このビジネス誌は、バイデンがトランプが課していた一部の中国製品に対する関税を継続する一方で、輸出規制や先端チップなどのハイテク分野への投資を強化していると報じた。

考えられないことを考える

中国の周りを約400の米軍基地がとり囲んでいるのは地理的な偶然ではない。バイデンは、(1) 2007年に始まったインド、オーストラリア、日本とのクアッド軍事同盟、(2) 2021年に創設されたイギリス、オーストラリアとのAUKUS安全保障協定を強化した、そして(3)イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダとの第一次冷戦の初期に遡るファイブ・アイズの情報共有、さらに昨年8月には(4)日本と韓国との新しいミニNATO同盟を締結している。

中国は北米に基地を持っていないが、ペンタゴンによれば1年前に「アメリカの空」を迷走した中国の「スパイ気球」は「前例のない挑戦」をもたらしたという。半官半民のランド・コーポレーションによる研究は米国の公式姿勢についてさらなる洞察を与えてくれる。米陸軍から委託されたこの研究のタイトルがすべてを物語っている:『中国との戦争-考えられないことを考える』。金で買える最高の頭脳たちが、米国の納税者から報酬を得てハルマゲドン・ゲームをしているのである。

ランドのアナリストたちは米国の公式な国家安全保障ドクトリンである “フル・スペクトラム・ドミナンス”(あらゆる領域で圧倒的な支配力を持つこと)から始まり、中国との様々な戦争シナリオを描いた。その結果、双方にとって悲惨なものになるだろうと予測した。しかし、私が近所で見かけたバンパーステッカーに表現されていた「おもちゃを多く持っているほうが勝つ」という道徳観に基づけば、米国は優位に立つだろう。

そう、ランドによれば米国が優位に立つだろう。しかしこの報告書には注意書きも含まれている。それは他の国々が混乱に巻き込まれず、紛争が核戦争に発展しなければ、その紛争は封じ込められるかもしれないという。

しかし軍事戦略家たちは、紛争が進むにつれて、封じ込められる可能性はなくなっていくと警告している。一旦紛争が始まれば、そのような紛争はますます指導者たちに予期せぬ結果をもたらすことになる。さらに、どちらか一方が先制攻撃を仕掛けることは軍事的に非常に有利になると彼らは見ている。

世界の未来を賭けた戦い

ジョー・バイデンは公式の国家安全保障戦略の中で、「我々の世界の未来をめぐる争い」について述べ、米大統領によれば、「我々の世界は転換点にある。私の政権はこの決定的な10年を利用して、地政学的な競争相手、とくに中国を出し抜くだろう」と続けている。

バイデンはこう諭した。「我々の未来を、我々のビジョンを共有しない人々の気まぐれに無防備なままにしておくつもりはない。」帝国アメリカの大統領にとって、私の道を行くのか、ハイウェイを行くのか、なのだ。

そしてバイデンは、「米国のリーダーシップ」、つまり米国の支配を「世界中に」押し付けると約束した。米国が世界のリーダーであることは、銃乱射事件の多さ、国家債務の多さ、投獄者数の多さですでに表れている。米国は現在、兵器の販売、軍事費、外国の軍事基地の数で世界をリードしている。

現実に起きていることを無視してバイデンは、「我々の経済はダイナミックだ」と締めくくった。実際、米国経済は非生産的なFIRE(金融、保険、不動産)部門に支配されている。Statistaは2030年までに中国が米国を抜いて世界最大の経済大国になると予測している。

対照的に、中国の「一帯一路構想(BRI)」は150カ国以上に投資している世界的なインフラ開発プログラムである。バイデンが、彼自身の言葉を借りれば、中国の選択肢が「自国の利益に世界の土俵を傾けている」として恐れるのも無理はない。

中国が提示する選択肢

植民地との関係に基づいて富を得ている欧米とは異なり、中国は帝国戦争に頼ることなく8億人を貧困から救い上げた。しかし習近平の「中国の特色ある社会主義」に導かれている中国は本当に社会主義なのだろうか?社会主義左派を自認する人々の中にも、適用されるリトマス試験紙によってさまざまな意見が存在する。

ある者にとっては社会主義は中国には存在しないし、それどころか過去も現在もなかった。彼らにとって、社会主義はまだ実現していない理想である。また、毛沢東政権下の中国は支持するが、その後の鄧小平政権下の中国は支持しないという人もいる。一方で中国はすでに社会主義を達成しているという者がいる。 その中間には、中国の国有企業と私営企業の混合経済を反映して、中国が社会主義と資本主義の間の移行期にあると見るさまざまな意見がある。移行が進んでいるという人もいれば、後退しているという人もいる。

中国の指導者の見解は、社会主義の完全な実現に必要な物質的条件は、まだ発展途上であるというものである。

この控え目な論文は中国が社会主義国かどうかという問題を解決するものではないだろう。しかし世界協力という中国のパラダイムが米国のゼロサム競争と対立していることは明らかである。正確には社会主義ではないにせよ、中国は少なくとも社会主義の未来を排除しないパラダイムを提示している。重要なのは、この地政学的な争いの中で、中国、ひいてはグローバル・サウスが、米国の帝国的覇権主義に対抗する空間を提示していることだ。

中国人は、ヤンキーの「平和を築かず戦争を起こす」という姿勢に気付いているようだが、4000年の歴史を持つこの文明は、「ウィン・ウィン」の平和的発展の合理性が勝つと確信しているようだ。今回の訪問で私が見た限り、彼らは成熟の忍耐力と若さの確かな活力を自信たっぷりに醸し出していた。

https://www.counterpunch.org/2023/12/27/contrasting-strategies-of-the-us-and-china/