EU to Telegram – We’re Coming to Get You
by Pepe Escobar
(Telegram:ロシア発のチャットツール。グループやチャンネルもあり情報収集の場としても利用されている。高度な暗号化機能や仮想通貨の情報収集に優れている。)
パベル・ドゥロフ(Telegram創業者)の物語はこれから先ずっと次々と新たな展開をもたらす贈り物である。これがホットな情報戦争というものだ。それではいくつかの未解決の事柄を結びつけてみよう。
ロシアの上位アナリストは、ドゥロフの逮捕は「旧植民地における反仏デモ、Telegramのインフラが反植民地主義と反マクロン主義の物語を広めるために使用されていた伝統的な『影響圏』からの撤退」に関係していると主張する。
これに加えて「Telegramのインフラに大きく依存しているロシアと国際的なメディア分野の両方で、ウクライナに関する報道に影響を与えようとする試み」だという。{1}
パリは、ウクライナにおける心理作戦や特殊戦争への影響力行使に関して自分たちを関連付けることに必死である。
しかしアナリストが指摘するように、フランスにはそれを行う厳密な法解釈がない。そのためマクロンは「ドゥロフ本人に対する個人的な圧力キャンペーンを行う」と決めたのかもしれない。フランス当局は、グローバル政治のゲームで優位に立つためにかなり必死になっている。そして今日のTelegramこそがグローバル政治なのだ。
パリは良いタイミングを待っていた。ドゥロフのエンブラエル社のプライベートジェット機のパイロットが飛行計画を提出した時、フランスで逮捕状は出ていなかった。 ジェット機がル・ブルジェ空港に向かっている途中にパリは急遽逮捕状を提出した。ドゥロフはずっと何も知らなかった。
つまりパリは、彼がフランスに飛来するという運命的な情報を入手し(執着心が強く、社会的な地位を気にするドバイ在住のドゥロフのガールフレンド経由で入手した可能性もある)、パリはあっという間に罠を仕掛けたのだ。
著名人が刑務所に
ロシア連邦保安庁(FSB)が過去にドゥロフにTelegramの暗号化キーを要求したという話がある。これは嘘だ。 FSBがTelegramに求めたのは、重大犯罪の捜査において最高レベルのアクセス権をケースバイケースで提供することだった。これは米国政府が完全にオープンなバックドアを介してMetaやTwitter/Xに対して行っていることに比べると大きな違いである。
しかしドゥロフはNATO諸国の「自由と民主主義」のプロパガンダに陶酔し、ロシアをはねつけて立ち去った。
そしてプーチン大統領につながる。
プーチン大統領にはバクー(アゼルバイジャン)でドゥロフと会うよりも優先すべきことがあった。そしてクレムリンは公式にその会合を否定した。ドゥロフは中央アジアとコーカサスを訪問しており、アゼルバイジャンで偶然、プーチン大統領とすれ違ったのだ。
プーチン大統領が絶対に看過できないことがある。それはロシアへの裏切りだ。そしてそれはドゥロフへの手紙にも当てはまる。
ドゥロフが米国を訪れた際、予想通り米国は全員を監視するためにTelegramにバックドアを要求した。そのためドゥロフはドバイに拠点を移し、その後フランス国籍を申請した。
ドゥロフがフランス国籍を取得したのはわずか3年前、ロシアの特別軍事作戦(SMO)の開始前である。外務省が定めた特別な「著名外国人」プログラムを通じて取得した。このプログラムの対象者はごくわずかで、「フランス語を話し、その著名な活動を通じてフランスの影響力および国際経済関係の繁栄に貢献する外国人」というものだった。「著名な活動」ではフランスの留置場から遠ざけるには十分ではなかったのだ。
キーを手に入れる方法
ブリュッセルの欧州委員会(EC)は、悪名高いEU官僚の臆病者集団でサイコパス集団であり、「我々の価値観」を陽気に称賛する集団だと言える。
予想通りECはドゥロフの逮捕について「これは国内の捜査である」としてコメントを拒否した。
7月8日から米国のディープステートが「奨励」した「捜査」が、マクロン大統領の家臣である警察によって実施されている。これは、NATOと…欧州委員会自身の利益のために行われている。
フランスの共和国検察官が明らかにしたドゥロフに対する告発は、有能な弁護士団によって法廷で潰されるべきである。本質的にはドゥロフ自身がTelegramを悪用したことに対する責任があるという主張である。彼は組織的な詐欺から麻薬密売までありとあらゆる悪事に「加担」しており、暗号化されたサービスを「証明された宣言」なしに提供しているという曖昧な告発まである。
Telegramの管理不足に関する告発は誤りである。例えばTelegramはEU域内の通信を積極的に検閲している。EU居住者は無数のチャットやチャンネルにアクセスできない。さらにTelegramは1日あたり4500万人未満のヨーロッパのユーザーしか抱えていないため、巨大なソーシャルネットワークに対する最近の厳格なネオ・オーウェリアンEU法の影響を受けていない。
では動機を見てみよう。
巨大な権力ブロックである現在のリベラル・全体主義的なユーログルグ、またはユーロラグは、Telegramのコンテンツにアクセスできない。
Telegramは独自のサーバーを世界中に持っており、ルーティングはAmazon、Cloudfare、Googleを経由している。Telegramの開始以来、米国の諜報・監視機関はその気になれば簡単にTelegramをブロックできる手段を持っている。
EUの状況は異なる。ブリュッセルはパリ経由で、少なくともTelegram(およびソーシャルネットワーク全般)を支配下に置こうとしている。重要な注意点は、ヨーロッパにはソーシャルネットワークが存在しない、「哀れなテクノロジー」部門なのだ。
それゆえ、Twitter/Xに対する止むことのない脅威とコンテンツに関するプラットフォームの責任を問う新オーウェリアン的なデジタルサービス法{2}が存在する。これはTelegramだけでなく、すべてに適用される。
EUとフランスは{3}、米国がすでに手にしているものを切望している。つまり、法的書類を一切必要とせずに、今ここで、あらゆるものにアクセスできることだ。
重要な問題は、彼らはパベル・ドゥロフに圧力をかけることでそれを手に入れることができるのだろうか?{4} 彼がTelegramの暗号化キーを持っている証拠はない。もし間違った人物を捕まえていたらどうなるのか?
パベルの超慎重な兄弟のニコライ・ドゥロフは、天才的なTelegramの設計者である。数学の達人で、2つの博士号を持ち、国際数学オリンピックで金メダルを獲得している。フランスは取引をしたいので、尋問は長期化する。しかしそれはバベルを追い詰めるため、ニコライに伝説の鍵を渡すよう影響を与えるだろう。
なぜ今?そして、誰が利益を得るのか?
予想通り、透明性を欠いたままドゥロフの尋問は続いている。フランスは深刻な問題に関しては絶対的な沈黙を貫く傾向があり、神経をすり減らすほど遅く、まれに公式声明が発表されるきわめて秘密主義の社会だ。すべては手続きに関するもので、意味のない官僚主義である。
しかし、フランス官僚主義が本当に悩んでいることについて、貴重なヒントを与えているかもしれない。彼らは金融取引において、検閲や監視を回避する「曖昧化」の手段を使用したり、提供したりする人がいることを、どうしても受け入れることができないのだ。
つまり、これはTelegramの暗号化キーの一部またはすべてを手に入れようとする執念を超えるものかもしれない。フランスの官僚機構は誰に対しても処罰する権限を保持しながら、どんな手段を使ってでも、回避の可能性をすべて排除したいのである。
この事件が裁判にまで発展し、最終的にドゥロフが20年の実刑判決を受けることになれば、それは彼が官僚機構を前にして屈することなく、常に「共犯者」であり続けることを意味する。
そうはならないだろう。華やかな生活にサヨナラしてフランス刑務所で毎日の古いバゲットを食べるだろうか?
さらに2つの不可避な疑問がある。なぜ今なのか?それはEUが必要としているからだ。そして誰が利益を得るのか?有力な候補は、超規律的なフランス官僚の「団結精神」と、彼らのフランス・ヨーロッパのオリガルヒコネクションだ。嫉妬も絡んでいる。ドゥロフはロシア人で部外者で、Telegramは世界中に10億人のユーザーを持ち大成功を収めている。
今後、フランスやEUではTelegramがブロックされるなど、何が起こってもおかしくない。グローバル・マジョリティーはそんなことは気にも留めないだろう。一方で多くの人が、ナルシストのテクノロジー・グローバリストが、リベラルな全体主義が自分の自由を守ってくれると信じていることがいかにナイーブであるかということに驚嘆している。
Links:
https://www.unz.com/pescobar/eu-to-telegram-were-coming-to-get-you/