No. 2401 ジェフリー・サックス:米国は長い間いじめっ子のように振る舞ってきた

Exclusive: Jeffrey Sachs says US has long operated like a bully

by M A Saki

テヘラン – 世界的に著名な経済学者であるジェフリー・サックス教授は、米国は第二次世界大戦後、まるでいじめっ子のような振る舞いをし、ドナルド・トランプ政権は「同盟国」と「敵対国」の両方をいじめていると述べた。

「私は、このような米国の横暴は終盤戦を迎えていると考えている。しかしそれはとても危険な終盤戦であるが」と、サックス教授はテヘラン・タイムズ紙の取材に答えた。これは、トランプがグリーンランドの買収、パナマ運河の奪取、カナダが51番目の州になれば減税、などという主張をしていることについて意見を求められた際のコメントである。

国連でコフィ・アナン(2001-7年)、潘基文(2008-16年)、アントニオ・グテーレス(2017-18年)の事務総長特別顧問を務めたコロンビア大学のサックス教授は、「米国の極端な暴力性は、ウクライナやガザ地区のように、しばしば非常に目に見える形であらわされる」とも述べている。以下は、インタビューの全文である。

Q: トランプはパナマ運河の奪還をほのめかしている。パナマ大統領は、自国は運河の1平方メートルたりとも譲渡しないと宣言している。しかし、トランプはTruth Socialで「そのうちわかるだろう!」と答え、パナマ運河の中央に星条旗が立てられている画像を投稿した。このような言動はなにを示唆しているのか?このようなアプローチは各国を威嚇したり、米国をいじめっ子のように見せることにはならないのだろうか?

A: その通り、これはいじめを目的とした言葉遣いだ。トランプのやり方は、とんでもない要求や発言をして、相手が「半分歩み寄る」ことを期待している。米国がパナマ運河を占拠するなどということはありえない。そんなことをしても意味がない。米国の運河における利益はまったく脅かされていない。もし米国がそのようなことをすれば、米国にとって、利益のない、非常に深刻な地政学上の大危機が生じるだろう。しかし、おそらくトランプは、パナマが米国船の運河使用料を値下げしたり、香港企業と契約を結ぶ代わりに米国企業と契約を結ぶ、あるいは何らかの形で米国を支援するだろうと考えているのだろう。あるいは、トランプは単に、小国の反応を見るために「脅し」を「楽しんでいる」のかもしれない。

Q: トランプはまた、カナダのトルドー首相をアメリカの51番目の州の知事と呼んだ。 このような発言は深刻に受け止めるべきではないが、無視することもできない。 あなたの意見は?

A: そのような発言は無視すべきではない。トランプのカナダに関する発言は不快で馬鹿げたものだったが、カナダのトルドー政権の崩壊を早めるのに一定の役割を果たしたようだ。というのも、カナダの財務大臣が辞任し、報道によると、カナダはトランプ政権下の米国の脅威にまだ対処できる状態ではないと述べたからだ。

米国が実際にグリーンランドにおける軍事的プレゼンスを拡大することはまちがいない

Q: トランプは1期目のときにグリーンランド購入のアイデアを口にしたが、その申し出は拒否され、デンマーク訪問も取りやめとなった。 今回もまた、トランプは就任から48時間でグリーンランド獲得への決意を強め、「グリーンランドの所有と支配は国家安全保障と世界的な自由にとって絶対的に必要だ」と発言した。グリーンランドの首相が「グリーンランドは我々のものだ。我々は売り物ではないし、これからも決して売り物にはならない。自由のために長い間闘ってきたことを忘れてはならない」と述べたにもかかわらず、彼は北極圏の領土獲得に固執している。彼のコメントは、グリーンランドに欲深い視線を向けていることを示唆しているのではないだろうか?

A: 中国やロシアにとって重要性を増している北極海ルートやその他の北極圏資源に対抗するための、米国の軍事戦略の一環として、実際にグリーンランドにおける軍事的プレゼンスを拡大することは疑いない。したがって、トランプのグリーンランドに対する威嚇は、ある程度は効果を発揮し、デンマークを従属的な立場に追い込むだろう。

Q: トランプの発言を受けて、デンマークはグリーンランドの防衛費を大幅に増額すると発表した。この防衛費はどのようなことを示唆しているのだろうか?

A: デンマークは、米国からの軍事購入を増やすことで米国の歓心を買うことを狙っているのだろう。おそらく、この中に武器取引が含まれているだろう。これがトランプの動機の一部である可能性もある。これは推測だがもっともなように思える。もちろん、デンマークが軍事支出を増加やすことは米国からグリーンランドを守るためではない。それはできないことだ。

Q: 一般的に、パナマ運河やグリーンランド、あるいはカナダに関するこうした発言は、トランプ政権下の米国が公然と世界秩序に挑戦し、同盟国であっても他国を公然と強制していることを示していると思わないだろうか?

A: 米国から見た「世界秩序」とは、米国の覇権主義のことだ。トランプになって目新しいことではない。トランプは「敵対国」だけでなく「同盟国」に対しても、こうしたカードを切っているだけだ。それが米国の覇権主義である。

脅しと武力による米国の覇権主義はもちろん第二次世界大戦の終結まで遡る。例えば、米国によるモサッデク(イラン1953年)とアルベンス(グアテマラ1954年)の打倒、ルムンバ(コンゴ1961年)の暗殺などである。米国は、CIA主導の破壊工作(イラン、グアテマラ、コンゴ、アフガニスタン、シリア、ウクライナなど)、米国が支援するイスラエルの戦争(最近ではレバノン、パレスチナ、シリア)、NATO主導の戦争(セルビア、リビアなど多数)、暗殺、強制的な経済制裁、その他の強引な手段によって帝国体制を維持している。

 米国から見た「世界秩序」とは、米国の覇権主義である

トランプはこの点においてバイデンと何ら変わらない。結局のところ、バイデンはウクライナ戦争とガザ地区におけるイスラエルのジェノサイドに全力を傾けた。バイデンは2014年にウクライナ大統領ヴィクトル・ヤヌコーヴィチを失脚させるのに個人的な役割を果たした(傍受されたヌーランドとピャットの電話から分かっている)。これが戦争の引き金となった。トランプ政権下の米国は、実際、今まさに中国と戦う準備を進めている。正気の沙汰とは思えないが、イスラエルによるイラン攻撃を支援する可能性もある。一方、トランプは、バイデンが暴力的で思慮に欠けていたウクライナ戦争を実際に終結させる可能性が高い。

Q: 米国政府高官は長年、米国が「自由世界」のリーダーであるという考えを口にしてきたが、そのような発言は、米国が「世界のいじめっ子」として台頭していることを示している。ご意見を聞かせてほしい。

A: 米国は常に好きなときに鉄拳をふるっている。ベトナム、カンボジア、ラオス、アフガニスタン、イラン(1953年と1990年にイランに侵攻したイラクへの軍備供与など)、ガザ地区、レバノン、セルビア、リビア、イラク、スーダン、ソマリア、イエメン、その他数え切れない。

かつて米国にはこんなジョークがあった。「なぜ米国だけがクーデターを経験したことがないのか?」 「答え:米国には米国大使館がないから」。しかし悲しいかな、ジョン・F・ケネディ大統領の暗殺は、内部クーデターであった可能性が極めて高い。もちろん証拠は隠蔽され、まともな捜査は行われなかったが。(このテーマに関する優れた本に、デビッド・タルボット著『悪魔のチェス盤』(2014年)がある)。

 コロンビア大学の教授は、トランプによるカナダに関する発言を「不快で馬鹿げている」という

したがって米国はいじめっ子になったわけではない。 米国は長い間いじめっ子だったのだ。もちろん、米国は軍事行動や暴力的なクーデターよりも、言葉による威嚇や賄賂、その他の手段を好む。しかし、ウクライナやガザ地区のように、米国の極端な暴力の手はしばしば非常に目に見える形で現れる。 トランプの下では、カナダやヨーロッパなど、米国の「友人」も脅威の対象となるだろう。

私は、このような米国のいじめは終盤戦に差し掛かっていると考えている。非常に、非常に危険な終盤戦ではあるが。現実的に、米国は全世界をいじめたり、戦争でロシアや中国を打ち負かすことはできない。つまり、いじめは威嚇であり、制御不能に陥る可能性があるため、非常に危険な威嚇なのだ。例えば、米国が台湾をめぐって中国を挑発した場合、結果は壊滅的な戦争となる可能性がある。このような世界的な危険要因は他にも数多く存在する。米国の「戦略家」たちがこうした危険性を認識しているのかどうかはわからない。彼らは火遊びをしているようなものだ。トランプによる米国の「友人」への攻撃は終盤戦を加速させるだろう。しかし、どうか、これがどれほど危険なことなのかを認識してほしい。これはゲームではないのだ。

トランプ政権下で中東戦争がこれ以上拡大しないことを願おう。残念ながら、米国がイスラエルに無制限の支援を提供していること、そしてネタニヤフ首相が戦争拡大を明確に望んでいることを考えると、拡大する可能性は排除できない。

https://www.tehrantimes.com/news/508034/Exclusive-Jeffrey-Sachs-says-US-has-long-operated-like-a-bully