Huawei is transforming and building an unparalleled AI tech stack
米国の制裁が逆効果となりHuaweiはAIの強豪へと変貌を遂げた
by Hua Bin
ファーウェイは目の前で変貌を遂げている。
2018年に米国とカナダが ファーウェイ・テクノロジーのCFOで創業者の娘の孟晩舟を拘束したとき、ファーウェイは通信およびスマートフォン製造の世界的リーダーだった(その年の世界販売台数ではサムソンとアップルを上回り第 1 位だった)。
ファーウェイは巨大な成功を収めていた企業だったがグローバルの技術サプライチェーンに深く組み込まれていた。TSMCのチップ、Android OS、SynopsisのEDAソフトウェアの最大の購入者の一つであり、グローバル企業の持つ知的財産権の使用料に毎年数十億ドルを支払っていたのだ。
しかし米政権はファーウェイに対して根拠のない国家安全保障上のリスクを主張し、前例のない制裁を課した。従属国での通信機器の販売禁止やチップ・ソフトウェアのアクセス拒否などである。目的は明確だった。米政権は、重要な産業における中国のテクノロジー企業を壊したかったのだ。
歴史上、世界の覇権を握る国からこれほど全面的な攻撃を受けた企業は存在しない。
フランスの原子力企業アルストムが米国政権から賄賂の疑いをかけられた際(実際には米国企業との競争で優位に立ったため)、同社はGEへの売却を余儀なくされ、CEOは数年もの間投獄された。投獄されたCEOフレデリック・ピエルッチが著した興味深い書籍『The American Trap: My Battle to Expose America’s Secret War Against the Rest of the World』(2019年)を読んでほしい。
https://www.goodreads.com/book/show/51202437-the-american-trap
東芝が世界トップのチップメーカーだった頃、重要な産業で成功しすぎたとして米政権の標的となりメモリチップ事業を米国系のベインキャピタルに売却せざるをえなくなり、インテル、マイクロン、アナログデバイセズに市場を譲った。
しかし、恣意的な武器化された米国の制裁体制はファーウェイの台頭を止めることに完全に失敗した。
5年間の売上高の減少を経てファーウェイはコア事業を立て直し、2023年以降、歴史的な売上高と利益を記録している。事業が縮小されるどころか事業領域を大幅に拡大し、数多くの新しい技術分野に進出している。
現在ファーウェイは世界通信市場で第1位の地位を維持している。世界最大のスマートフォン市場である中国でも首位を奪還した。またスマートウォッチなどのウェアラブル市場でも世界トップのシェアを誇る。
ファーウェイは、アンドロイドと Windows に代わる自社デバイス用オペレーティングシステムとして Harmony OS を発売した。Harmony OS は他の中国テクノロジー製品にも採用されている。2024年10月までに世界中で10億台以上のデバイスで動作する見込みだ。
ファーウェイは多くの中国EVメーカーとの複数の共同プロジェクトを通じて電気自動車市場にも参入している。EVメーカーにソフトウェアを提供するだけでなく、バッテリーや自動運転技術の研究も進めている。
2025年5月30日、ファーウェイは超高級車「Huawei Maextro S800」を発売した。Carscoopsはこの車を「メイバッハ、ロールスロイス、ポルシェをミキサーにかけたような外観」と表現している。
https://www.carscoops.com/2024/11/maextro-s800-ev-is-a-chinese-maybach-rival-from-huawei-and-jac/
Maextro S800は、見た目が素晴らしいだけでなく1,006馬力の電気エンジンを搭載し、中国での販売価格は控えめな$98,000からとなっている。
ファーウェイは、DUVとEUVリソグラフィマシン、チップメーカー、EDAソフトウェア開発者など、中国の企業に投資している。HuaweiはAIデータセンターを建設し、自動車、鉱業、建設、インフラ業界向けにAIアプリケーションを提供している。
現在のファーウェイは、アップル、Nvidia、Ericsson、TSMC、ASML、Qualcomm、Google、Teslaを一つにまとめたような存在である。
ファーウェイの2024年の研究開発予算は$250億ドル(売上高の21%)に達した。過去10年間で研究開発に$1750億ドルを投入している。同社は研究開発に11万人を超えるエンジニアと科学者を雇用しており、これは全従業員の55%を占める。欧州だけで28の研究センターがある。
ファーウェイが現在競争しているすべての技術分野を網羅することはほぼ不可能だ。同社の非公式伝記『House of Huawei: Inside the Secret World of China’s Most Powerful Company』は、2025年1月に発行された直後にはほぼ古くなった。技術者向けではないが、本書がカバーする驚くべき歴史のため、一読をおすすめする。
最も印象的なのはファーウェイがAIのフルスタックを構築したことだ。これは、NvidiaやTSMCを含む世界中のどの企業も達成していない快挙であり、NvidiaのCEOジェンセン・フアンもメディアに率直に認めている。
ファーウェイのチップ設計部門であるHiSiliconは、NvidiaやQualcommと競合するグローバルリーダーである。Nvidia がエコシステム内の開発者に CUDA を提供しているのに対し、ファーウェイは、ニューラルネットワーク用のコンピューティングアーキテクチャ(CANN)と呼ばれるソフトウェアプラットフォームを構築している。
ファーウェイは最近、自社開発の AI チップ Ascend 310B と、Ascend を搭載した先進的なデータセンターアーキテクチャ CloudMatrix 384 を発表した。
注目すべきテストにおいて、CloudMatrix 384とサービングソリューションCloudMatrix-Inferは、NvidiaのH800 GPUベースのSGLang高速サービングフレームワークを、DeepSeekのR1推論モデルの実行において、推論とデコードの両フェーズで上回った。
CloudMatrix 384システムは、大規模なAIワークロード処理に特化したAIスーパーノードである。384基のAscend 910Cニューラルプロセッシングユニット(NPU)と192基のKunpengサーバー中央処理ユニット(CPU)を、超高速帯域幅と低遅延を実現する統一バスで接続した構成となっている。
この高効率なアーキテクチャはAIシステム性能の限界を突破し、AIインフラの基盤を再定義すると見込まれている。
チップリサーチ企業SemiAlaysisの分析はこう指摘している:「ファーウェイはチップ技術で1世代遅れているが、そのスケールアップソリューションはNvidiaとAMDの現行製品よりも1世代先を行っている」
ファーウェイの優れた性能の秘密は、ファーウェイのチップ技術がNvidiaの最上位製品に後れを取っているものの、スタッキングやクラスタリングなどの手法を採用することで世界最先端のシステムに匹敵する計算性能を実現している点にある。
データセンター環境では、単一のチップの性能よりも、複数のチップが並列に連携して発揮する総合的な性能が重要である。大規模データセンターシステムの構築と最適化には複雑なネットワーク技術が不可欠であり、この分野で世界トップの通信機器メーカーであるファーウェイは圧倒的なグローバルリーダーの地位を確立している。
ジェンセン・フアンは、今月パリで開催されたVivaTechカンファレンスでのインタビューで、この点に同意したようだ。フアンは次のように述べた:
AIは並列処理の問題なので、各コンピュータが対応できない場合は単にコンピュータを追加すればよい。中国には十分なエネルギーがあるため、より多くのチップを使用すればよいのだ。
これは私が以前の記事でも指摘した点だ。AI開発において中国が米国に対して持つ重要な優位性は、米国の2倍を超える発電能力なのだ。
ファンはファーウェイが中国だけでなく、世界中の半導体ビジネスを支配する立場にあると警告している:
もし米国が中国に参加したくないなら、ファーウェイが中国をカバーする。ファーウェイはまた他の国々もカバーしている。
米国がNvidiaのAIチップの中国への販売を禁止した措置は中国のAI開発を遅らせる効果はあった。しかしまた中国が高度なAIチップ製造の全工程を国産化する動きも加速させた。
AI人材の豊富なプール(世界トップクラスのAI研究者の50%以上が中国人)を背景に、中国が米国との差を縮め、追い越すのは時間の問題である。
一方、Nvidiaは、中国での販売が再開されたとしてももはやAIチップの信頼できる供給源とは見なされていない。
ジェンセン・フアンは5月に台北で開催されたComputex Expoで記者団に対し、「全体として、輸出管理は失敗だった。事実がそれを示している」と述べた。
米国の技術制裁がなければファーウェイは現在の地位にはなかっただろう。
昨年の調査によると、ファーウェイは中国であらゆる業界において最も価値のあるブランドの第1位にランクインしている。ファーウェイブランドは国家の誇りと技術への自信と結びついている。多くの中国人は国内技術支援のため、デフォルトの選択肢としてファーウェイ製品を購入する義務を感じている。
ファーウェイは「中国で最も重要な企業」だと言っても過言ではない。これは短視眼的で好戦的な米国政権の制裁のおかげなのだ。
https://huabinoliver.substack.com/p/huawei-is-transforming-and-building