Can Trump re-adjust in the post-Tianjin SCO moment?
中国が「SCOの挑戦状を叩きつけた」タイミングは完全な偶然だった?
by Alastair Crooke
トランプは見えない絆からの自由を享受し、核の緊張緩和を自らのノーベル賞の物語として利用することができるのだろうか?
ビデオリンク:https://www.youtube.com/watch?v=nLR711mbd_Y (27:02 分)
戦いの準備はできた。上海協力機構(SCO)サミットは、一方で力が結束していき、もう一方で一つの力が明らかに衰退する現実を明確に示した。サミットとペアで行われた驚異的な軍事パレードは大声でこう訴えていた。我々に挑みたいのか?「我々の準備はできている」
中国が挑戦状をたたきつけたのは絶妙なタイミングだった。(まるで、そうなるよう計画していたかのようである…)。「歴史を書いているのはロシアと中国だ」と、あるロシアの評論家は述べた。
西側の政治システムは混乱している。解決する手段は何も持っていないのに、あらゆることを約束するポピュリスト政治に追い詰められている。西側の同盟関係は疑念と不確実性に裂かれ、西側の借金と支出政策の失敗による圧力の下で政治的安定は亀裂を見せている。『エコノミスト』誌でさえ「新たな現実が定着しつつある」と認めている。
SCOの光景に対してトランプが示した反応は、ある種の反米の『陰謀』に対する嫌味だった。しかし、もし彼がこの『友人』たちの集まりで疎外されていると感じるなら、それは自分が天津に行かないことを選んだからだ。自業自得である。もしSCOが西側諸国の意識の中で反西側{3}と定義されるなら、それもまた主にトランプのせいだ――そして彼が米国の未来をどう位置付けるか次第である。
習主席は開会演説でこう述べた:「人類は再び平和か戦争か、対話か対立か、ウィンウィンの結果かゼロサムゲームかの選択に直面している」。
残念ながらトランプは米国の「例外主義的な偉大さ」を追求する道に深くはまっており、彼から微妙な対応を期待するのは難しいだろう。とはいえ、トランプはしばしば常識を覆す行動を取る。
西側のデフォルトの心理モードは防衛的敵対姿勢となるだろう{4}。明らかに米国はこれらのSCO諸国と対等な立場で向き合う心理的準備ができていない。何世紀にもわたり植民地支配をしてきた優越感が、覇権と親欧米的依存関係の押し付けしかありえない文化を形成してきたのだ。
中国、ロシア、インドが「ルールに基づく秩序」から「離脱」し、非西洋圏の別個の領域を構築したことを認めることは、西洋の世界的覇権の終焉を受け入れることを意味する。米国と欧州の支配層にそのつもりはない。欧州の支配層は、真の信者たちのように、ロシアに対して敵意を燃やし続けている。したがってヨーロッパ人にとっても、何かが揺れたことは間違いないが、その揺れの原因を正確に理解できなかったため、無礼な対応を取ることを決めたのだ。ドイツ首相のメルツは次のように述べた:
プーチンは戦争犯罪者である。我々がこれまで見てきた中でおそらく現代で最も深刻な戦争犯罪者だ。戦争犯罪者への対処法について我々は明確にしなければならない。寛大さなど一切許されない。
中国の天安門広場でのパレードで明らかになった現実(そして我々が知っているわずかな情報)は、間違いなくワシントン、ブリュッセル、ロンドンに衝撃を与えるだろう。1万人以上の中国兵士が完璧な足並みで行進し、驚くべき中国の新型兵器(射程2万キロの核弾頭搭載大陸間弾道ミサイル、レーザー駆動の迎撃ミサイル、巨大な水中ドローン)を披露しながら、週主席は、中国の台頭は「止められない」と宣言したのだ。
特に注目すべきは、習主席が(初めて)人民解放軍の陸上・海上・航空核戦力――完全かつ致命的な三本柱を展示したことだ。
勝利記念パレードで、習主席は米国が制裁対象としている同盟国と共に誇らしげに立ち(演壇の左隣は金正恩、右隣はプーチン)、この象徴的な配置を予想した者はほとんどいなかっただろう。同様に、プーチン、習近平、モディ首相の間に見られた親密さは本物であり、作り物ではなかった。
サミットの実質的な成果も西側諸国を困惑させるだろう。ブルームバーグが指摘するように{5}、シベリア2パイプラインの発表は、米国の「エネルギー支配」計画に事実上終止符を打つものだ。
ブルームバーグの社説はこう指摘した。「中国は今後、輸入LNGの半分以上を輸入しなくなる可能性があり、2030年代初頭までに、ロシア産ガスの中国需要に占める割合は20%に達するかもしれない。アナリストらは、パワーオブシベリア2プロジェクトの実施は、年間約4000万トンのLNG需要減少に相当すると試算した」
「これは米国が賭けていた多くのLNG生産プロジェクトがもはや意味をなさなくなったことを意味する」。
その他の余波は何か?これらの出来事を、米国と欧州の闇国家は軽く見ないだろう。彼らの敵意と怒りはまず第一に(ウクライナ経由で)ロシアに向けられ、並行してロシアと中国の戦略的同盟国であるイランにも向けられる可能性が高い。
サミットで習近平は新たな国際安全保障・経済秩序の構築を提案し、既存の米国主導の制度的枠組みに明確に異議を唱えた。彼はこの構想を、多極化世界構築への一歩と位置付けた。そして発表後{6}、SCOによる初の具体的「行動」が続いた。
中国とロシアはイラン{7}と共に、欧州が提案した「スナップバック条項」によるテヘランへの国連制裁再発動案を拒否した。中国・ロシア・イランの外相が連名で国連事務総長に送付した書簡は、E3(仏・英・独)による「スナップバック」発動が「決議に明らかに違反し、したがって法的に、手続き的に欠陥がある」と断固として表明した。E3の行動は国連安保理の権限と機能を乱用するものであり、JCPOA及び安保理決議2231の実施が破綻した根本原因について、安保理メンバー及び国際社会を誤導するものだ」と断じた。
厳しい言葉ではあるが、それでもなお2023年8月28日のE3から安全保障理事会への書簡の送信から30日以内に制裁の再発動が発効するのを止めるには不十分かもしれない。
E3は自らの行動がイランに完全なJCPOA順守復帰交渉の「余地」を与えていると主張するが、E3が30日間の交渉期間を新たな要求と結びつけている事実がこれを否定している。その要求とは、イランのミサイル保有状況と外交政策姿勢をあらゆる合意の不可欠な要素とすることだ。彼らは、こうした追加要素がイランに決して受け入れられないことを承知している。
したがってE3は実現不可能な条件を課すことで実質的にイランを軍事行動へ追い込もうとしているのだ。
中国とロシアの声明は、仮にイランにスナップバック制裁が課されても、両国がこれに従わないことを示唆しているのは明らかだ。
トランプはイランとの戦争を望んでいないと定期的に主張するが、既に(6月22日に)イランの核施設を攻撃している。
外交決裂を意図したと思われる懲罰的条件付き「スナップバック枠組み」は、突然現れたものではない。
2025年2月、トランプ大統領が大統領覚書{8}(法的拘束力のある命令)に署名したことを思い出してほしい。そこでは米国の目標として以下が明記されている:
「イランが核兵器や大陸間弾道ミサイルを保有することを阻止すること」、「イランの地域侵略ネットワークと活動を無力化すること」、財務長官はイランに対し最大限の制裁圧力を実施すべきであること、「国連米国代表は主要同盟国と連携し、イランに対する国際制裁と制限の「即時復帰」を完了させること、同時にイランが核不拡散条約違反の責任を問われること、(覚書に含まれるその他の多くの規定と共に)。
2025年2月の大統領覚書はイランに対する最終的な軍事行動か、あるいはイランの完全な降伏のいずれかへ向けた布石を打った。イランのミサイル防衛能力と地域同盟国との連携を否定することは、最初から実現不可能な要求だった。にもかかわらず、これらの要求が最新のE3(欧州3カ国)の要求と共に再び浮上している。その背後には誰がいるのか?トランプ、そして彼の背後にはネタニヤフがいる。
イランに対する第一ラウンドは既に試みられており、今や舞台裏の勢力がさらなるラウンドを迫っている。彼らはイランの強化、イスラエルの弱体化{9}、そして機会の窓が狭まっていると見ている。彼らは急いでいるのだ。
西側諸国がSCOの「厚かましさ」に対する報復のもう一つの形は、西側の優位性から距離を置くという姿勢に対して、欧州諸国とゼレンスキーの要求によるロシアへのさらなる圧力、軍事的・財政的な圧力と、ウクライナで行われるだろう。
天津での会合でロシアは同盟国に対して、設定された任務と目標が完全に達成されるまで特別軍事作戦を継続する意向をトランプに伝えると説明したはずだ(ワシントンはウクライナや欧州諸国を制御できないようなので)。事態が異なる展開を見せた場合、ロシアは外交的解決による紛争終結に備えている――ただし自らの条件で。しかし主たる努力は戦場での勝利確保に向けられる。トランプがこれに応じてエスカレートすれば、ロシアは相応の対応を取るだろう。
トランプは巨大な圧力と(未知の)弱みに晒されている。だが我々は、彼が明白な事実に逆らうのを繰り返し見てきた。トランプは物事を乗り切ってきた。耐え抜いて、ある意味それゆえに、繁栄する術を知っている。逆境こそがトランプの生命線だ。彼をよく知る者たちが感じるという、説明のつかない不屈の性質{10}を彼は持っている。
トランプは天津会談後の局面で軌道修正{12}ができるのだろうか。 反抗的なSCOブロックを前に、米国の金融覇権への要求を続けることは米国の弱体化を招くだろうか?中国が「挑戦状を叩きつけた」タイミングは、まったくの偶然だったのか?それとも、西側の金融的立場は、一般的に理解されている以上に脆いのだろうか。
トランプはもし望むなら、自らのノーベル賞受賞ストーリーとして核のデタントを利用する自由さえ見えない束縛から得ているのだろうか?
Links:
{1} https://www.globaltimes.cn/page/202509/1342712.shtml
{2} https://unherd.com/2025/09/europes-deadly-debt-spiral/
{3} https://www.instagram.com/p/DOLqbFwDnlX/
{9} https://www.israelhayom.com/2025/09/04/israel-is-in-danger-of-facing-iran-in-a-weakened-position/
{10} https://conflictsforum.substack.com/p/trump-as-myth-is-understood-in-moscow
{11} https://www.youtube.com/watch?v=v02Q_PnKIrY&list=PLC3I8Rb5dhRAGpR3tKxCq5TMX2WInOksz&index=3
{12} https://www.bignewsnetwork.com/news/278554391/russia-never-turned-its-back-on-the-us-putin