My Take | Takaichi’s stance over Taiwan is just what the West wants
日本は好戦的な道を進むより、平和的手段で安全保障と国益を守れる
by Alex Lo
日本の高市早苗首相がドイツの指導者だったらと想像してみよう。西側メディアに称賛され、愛国的保守主義者と婉曲に表現される代わりに、彼女はより正確に、極右の過激派と呼ばれただろう。
高市の熱狂的支持者たちは、観光客(特に中国人)、外国人、移民への憎悪を吐き出すのが好きだ。ただし日本の移民人口は、多くの西側諸国と比べれば取るに足らない。
高市は日本の悪名高いガラスの天井を破ったが、自身が突破口を開いた後、伝統的な性別役割(つまり女性は台所にいるべきだ)を主張することで、その天井を修復・強化したいと考えている。
彼女は日本の戦争犯罪を否定し、歴史教科書から悔恨や遺憾の表現を削除するよう求めている。河野(1993年)及び村山(1995年)の談話は、大日本帝国の戦時記録を歪曲したものであり、「国家の名誉と誇りを守る」ために撤回すべきだと主張している。
高市は公職生活を通じて休日や記念日になると極右が日本の英雄として称えるA級戦犯が祀られている靖国神社を訪れることを何よりも好んでいたことはお察しの通りだろう。
彼女はまた日本の自尊心ある極右過激派が皆そうであるように、「慰安婦」など存在しなかったと考えている。あれらは全て、戦争が終わってからずっと後になって、金をもらおうとした売春婦に過ぎなかったのだ。
地政学に関しては、暗殺された安倍晋三首相の後継者として、高市は日本の戦争放棄を定めた平和主義的な憲法第九条の改正を望んでいる。自衛隊は「国防」軍に置き換えるべきだと彼女は信じている。
つまりこれがワシントンやブリュッセル、そして多くの西側メディアが彼女を容認する真の理由である。西側諸国は日本に再軍備を求め、中国に対する牽制役となることを期待している。日本が中国との戦争に参加したり、中国と戦ったりする事態を何よりも望んでいるのだ。
結局のところ、彼女は「中国タカ派」と評されている。もちろん北京が日本を攻撃する意図などない。しかし彼女は台湾海峡での武力衝突が日本の「存立危機事態」に等しいと考えている。ワシントンでさえ、それを公言するほどには踏み込んでいない。ただし一部のタカ派アメリカ人はそう考えているかもしれない。
だから日本の国会でそのようなシナリオについて問われた時、彼女は台湾が攻撃された場合、日本政府は軍事介入せざるを得ないと述べたのだ。
「軍艦の使用や軍事行動が伴う場合、それは日本が防衛のために武力を行使できる『存立危機事態』となり得る」と彼女は言った。
高市は「存立危機事態」という表現を慎重に使った。なぜならそのような状況下では、日本は密接な関係にある外国への攻撃に対して軍事介入を認める法的規定があるからだ。当然ながら中国政府は彼女の発言に激怒した。しかし欧米メディアは、復活した「狼戦士外交」で挑発的な態度を取る中国に全責任があると報じた。それに対して、高市の戦争を煽る発言はどうなのだろうか?
しかし歴代の日本指導者が認識してきた事実がある。それは、台湾島はde jure(法的に)国家ではない。日本も米国を含む同盟国・安全保障パートナーも台湾を国家として認めていない。
彼女を真剣に受け止めるなら、高市は、独立国としての台湾を武力紛争で防衛すると言うべきだった。もちろん、それは太平洋戦争、いや世界大戦を引き起こす可能性すらある。
だから彼女は、日本の国会で、次に良いか、または最悪のことを言った。台湾への日本の介入を、露骨な侵略ではなく自衛と位置づけたのだ。これは本質的に米国が用いてきたシナリオと同じである。
彼女が望んだかどうかは別として、中国政府を意図的に挑発するよりも、彼女は特に、両国が交渉した脆弱な関税削減貿易協定を考慮すればワシントンを必死に懐柔する必要があった。
しかし高市の台湾に関する主張は、複数の面で日本を危険にさらす。理論的に起こり得る台湾戦争において、日本は事前に戦闘への関与を約束するより、傍観するか、選択肢を留保する方が安全ではないだろうか?
また、そのような軍事的関与が完全に裁量的である以上、中国政府は、例えば千島列島について同等の正当性をもって同様の主張をできないだろうか?
千島列島は北海道の北、ロシアのカムチャツカ半島の南に位置し、その主権は第二次世界大戦後のソ連による併合の遺産としてロシアと日本の間で係争中である。中国東北部への近接性とロシアと中国の「限界なき」パートナーシップを考慮すれば、中国の国家安全保障上の問題として、日本がロシアの領有権主張を黙認するよう中国は要求すべきかもしれない。
もちろん、そんな主張はすぐに西側の外交官やその報道陣から偽りで荒唐無稽だと非難されるだろう。そして彼らの言う通りだ。しかしなぜ台湾の安全保障に関する高市氏の主張よりもそれが偽りで荒唐無稽なのかは不明である。
今、日本の擁護派は地理的に近い台湾が中国に占領されれば、日本に対する軍事作戦の拠点として利用される可能性があると主張する。
しかしそもそも日本が台湾問題に関与しなければ、なぜ中国が日本を攻撃するのだろうか?もし日本政府が本当に心配なら、道義に反して台湾を軍事的な緩衝地帯として利用するのではなく、沖縄の北にある自国の島々で自衛を強化すべきだ。
日本の擁護派は台湾海峡と周辺海域が主要な海上交通路をカバーしていると主張する。だが中国には、香港を含む南部の経済成長エンジンにとって、それらの海上交通路を開放しておくことにはさらに強い動機がある。
日本の擁護派はまた、台湾が世界の先進半導体の大半を生産しているため守られねばならないとも言う。実際、日本は台湾と同等かそれ以上の半導体技術を有しており、台湾のほうがの生産コストが安いだけだ。もしそんなに心配なら、日本は半導体の生産と供給を増やすべきではないだろうか?
しかし高市は自国防衛や平和的手段ではなく好戦的な道を選んだ。日本が米国の保護を必要としているのは周知の事実だが、米国の戦争に徴用され、アジアにおける衰退する覇権を支えるよう強制されるなら、それは保護とは言えない。いずれにせよ、かつての残虐な植民地支配国が台湾を中国から守ると主張するのは少し厚かましい。
良いニュースは高市氏の連立政権は脆弱で、彼女は前任者より長く続かないかもしれないということ。そして悪いニュースは、彼女の後任が、同じか、もっと悪くなる可能性があることだ。
https://www.scmp.com/opinion/article/3333008/takaichis-stance-over-taiwan-just-what-west-wants