No. 2865 イラン紛争が制御不能に陥り決断を迫る:「どういう立場をとるか?」

As the wheels come off the Iran conflict, …… it compels the decision: ‘Where do we stand?’

by Alastair Crooke

米国人は自国の利益に則った国家の回復につながる要素をいかに取り戻すかについて、早急に議論する必要がある。

西側の最も強力な戦略兵器である西側プロパガンダ機構は、イランに対して米軍は迅速かつ圧倒的な勝利を収めていると繰り返し主張してきた。これと並行し、イスラエルの諜報当局者は西側メディアに対してテヘラン政権内部が混乱している兆候が増しているとの見解を伝え、イラン指揮系統が深刻な機能不全に陥っているとしている。

なぜ、圧勝を宣言しないのだろうか?トランプはイランの国家機構、指揮系統、そして軍事力を粉砕する米国の軍事力に対して並外れた自信を持って戦争を始めた。彼の将軍たちはその破壊力という大枠には賛同していたようだが、そこにはいくつかの「ただし」がついていた。だがそれらはトランプの思考回路には届かなかったようだ。

そしてトランプはその通りに行動した。「徹底的な破壊」と絶え間ないスタンドオフ爆撃の波である。

イランの国家構造を崩壊させたことを疑う者たちに対してトランプは、「さらに徹底的に抹殺する。我々は彼らの指導者をさらに多く殺す」と反論する。

2月28日の空爆後、欧米(イスラエルも含む)メディアも関連報道の中でイランの政治・軍事指導部に壊滅的打撃を与えたことを称賛した。

来るべき戦争に対し20~40年にわたり非対称的な反撃を準備してきた国家への影響について、論理的に考える試みは一切なされなかった。軍事インフラ(「空軍」も含む)をすべて地表から撤去し、深層地下の「都市」に埋蔵しているイランを爆撃する真の影響について、深く考えることはなかった。

イランの政治・軍事指導者に対する暗殺がイラン国民にどんな影響を与えるかを判断する努力もなされなかった。イランの分散型指導体制という「モザイク」が、指導部の首脳部排除に対していかに迅速かつ計画的な対応を可能にするかについて理解していなかった。また、国民の耐性を過度に消耗させない短期戦争を主張する米イスラエルに対し、拡散した指導体制ゆえにイランは長期の消耗戦が可能であることも考慮していなかった。

それどころかすべての主流メディアの報道はテヘランとその市民に与えられた被害の規模にのみ焦点を当てていた。そこには都市の破壊と多数の民間人死者によって人々が「蜂起」し、国家指導部の主導権を「掌握」する反対勢力を生み出すという暗黙の前提が含まれていた。

この紛争について十分な検討がなかったという事実は、長年イスラエルが採用してきた戦術的思考様式をますます米国が模倣するようになっていることを反映している。それは西側諸国の将来に甚大な影響を及ぼすことになるだろう。

もちろん米軍の専門家の中には、戦略的手段としての大規模爆撃の欠点を繰り返し警告し、期待された結果をもたらしたことは一度もないと主張する者もいる。しかし彼らの警告は「抹殺」という時代の風潮にほとんど影響を与えなかった。

トランプと彼の陣営がイラン人を「邪悪」で「赤ん坊を殺す殺人鬼」といった「亜人間」と表現するその言葉遣いは紛争を極端に二極化させ、さらなる「抹殺」以外の軍事戦略を排除するよう仕向けることを明確に意図したものである。

トランプは『ニューヨーク・タイムズ』の記者に対し、「いかなる国際法、規範、抑制や均衡にも縛られているとは感じていない」と述べ、「米国の軍事力を行使する能力に対する唯一の制限」は「私[トランプ]自身の道徳観だ。私自身の判断だ。私を止められるのはそれだけだ」と語った。

報道によると、トランプはイラン指導部に対する米国の奇襲攻撃が湾岸の米軍基地への即座の報復攻撃を招いたことに驚いたという。「我々はそれを予想していなかった」とトランプは述べた。またイラン側がまさにそうすると明言していたにもかかわらず、その後のホルムズ海峡の選択的封鎖も予期していなかった。彼はリスクを承知しながらも実行に移し、イランがホルムズ海峡という要衝を掌握するとは「思わなかった」と述べたのだ。

出典:https://www.lloydslist.com/LL1156656/Iran-establishes-safe-shipping-corridor-for-approved-and-paid-for-transits

世界における石油・ガスの取引条件

ホルムズ海峡を通過する世界の石油の約20%および同程度の量のガスをイランが支配することによって、ドルを基盤とする経済圏全体に対してイランが影響力を持つことになる。しかしそれは湾岸諸国にとって特別な脅威となる。ホルムズ海峡は肥料や食料供給、その他多くの物資の輸送路としても機能しているからだ。

したがって、ホルムズ海峡の選択的な封鎖は、世界に対して二次的、三次的な経済的影響をもたらす。ロイズ・インテリジェンスは昨日次のように指摘した:

インド、パキスタン、イラク、マレーシア、中国などいくつかの政府がテヘランと直接交渉を行い、イラン革命防衛隊(IRGC)が運営する新たな登録・審査システムを通じて船舶の通過を調整している……ロイズ……は、IRGCが今後数日中により正式な船舶承認プロセスを確立する見込みであると把握している」。

では、なぜイスラエルはイランとカタールが共有するサウス・パースガス田からガスを受け入れるイランのターミナルを攻撃するという戦略的エスカレーションを行ったのか。イスラエルはトランプが攻撃のゴーサインを出したと主張している。トランプはこれに対し、「イスラエルは米国やカタールに通知することなく本日早朝イランのサウス・パースガス田を攻撃した」と言った。

イランのエネルギーインフラへの攻撃は予想通り報復的なエスカレーションを引き起こし、イランによる湾岸地域のエネルギーインフラへのミサイル攻撃につながった。こうして紛争は深刻な経済戦争に発展した。

本質的に、今問題となっているのは世界がどのような条件で石油やガスを購入できるかという点だ。購入者は、ドル以外の通貨でエネルギーを購入できるのか?できるようだ。パキスタンは貨物が人民元で購入されたことを証明し、ホルムズ海峡を通過する貨物の通行を交渉で成立させた。

したがって問題は、イランが撤退を求める同地域における米軍の駐留だけではなく、同地域におけるドル取引の完全な終結もイランは求めていることだ。

もしイランの主張が通れば、これが湾岸諸国にとって経済的存続を続けるための厄介な入り口となる可能性がある。

湾岸諸国はまもなくこの戦争において自らがどの立場を取るか、決断を迫られるかもしれない。一方で、彼らは米国の重商主義的な生活様式に完全に組み込まれている。しかしイランはそのパラダイムを覆すと脅している。その一方で湾岸諸国が熟考を迫られる将来の見通しは、ホルムズ海峡の通過をイランが容認するかどうかにかかっているかもしれない。

もしイランが、独自の基準に従って世界経済システムへの「締め付け」を選択的に進めるならば、他の国々(欧州諸国を含む)も、将来の経済的繁栄を確保するためにテヘランとの「交渉の席」に着かざるを得なくなる可能性がある。

見えない米国の権力構造

しかしこの軽率かつ甚大な損害をもたらしかねない経済戦争において、どのような立場に立つべきかを検討する必要があるのは湾岸諸国だけではない。米国人自身もまた、自分たちの立場について議論すべきだと主張する人々が米国内に存在する。

米国の評論家ブレット・ワインスタインは最近、彼と同様にトランプを積極的に支持していたもののトランプがイランとの戦争を唱えることに、そして特にその結果として彼の大統領職が危うくなっている状況に困惑し動揺している多くの米国人の共感を呼んだ:

「なぜ、トランプのような政治を理解している人物が、これほど明白な過ちを犯すのか?」

タッカー・カールソンとの対談でワインスタインは一つの答えとして、実はトランプが実権を握っていないのではないかと示唆した:

我々米国人は自問自答する必要がある。システムがいかに壊れていてそれが我々に何を行わせているかだけでなく、それが実際にどう機能しているのかについてもだ。一体誰が、我々をそう行動させているのか。

この問いはトランプが「海外で新たな戦争をしない」という選挙公約を破ったという問題をはるかに超えた深いものだ。(ロイターは今日「トランプ政権は中東への米軍数千人の追加派遣を検討している。トランプがイランに関する次の措置を検討する中で、これには海峡の確保を図る試みも含まれる可能性がある」と報じた。)

ワインスタインはタッカー・カールソンとの対談で、ある時期(1961年か1963年)から、米国のシステムは深刻な機能不全に陥っているようだと指摘した。もはや米国の国益を第一に考えていないのだ。実際、米国の統治体制は、金融から医療に至る多くの分野において米国人の真の利益とは明らかに相反するものになっていたと彼は論じた。そして国家は1963年11月のケネディ大統領暗殺以来、「反憲法的」な構造へと変貌した。それは米国が本来あるべき姿とは正反対のものだった。

ワインスタインはこの状況を、公に宣言されていない「何か」、目に見える形で観察できない「何か」のせいにした。それは、その支配と利益が不透明な「隠された権力構造」を示唆していた。「何がそれを動かしているのか? このシステムにおいて、一体誰が権力を握っているのか。我々は知らない」と彼は主張した。中東での一連の対外戦争へと米国を駆り立てたその目に見えない利害関係とは何だったのか?

だからこそ、エプスタイン事件は極めて重要だったとワインスタインは強調した:公表されたわずかな詳細からは、諜報機関、金、そして腐敗が絡み合った権力構造が浮かび上がり、それは米国内における、口に出されない憲法上の危機、そして深刻な安全保障上の危機を物語っていた。

米国民はこの権力構造が何でありその利害関係が何であるかをすぐに知らされる必要があった。そして米国民がどのような立場にあるのか、また、米国民自身の利益によって統治される国家の回復につながる要素をいかに取り戻すかを議論する必要があるのだ。

_____

As the wheels come off the Iran conflict, it compels the decision: ‘Where do we stand?’