No. 1303 コロナ禍に乗じた計略

スイス最大の銀行UBSとPwCコンサルティングが発表したリポートによると、世界の富裕層の保有資産が過去最高になったとロイターが報じた。富裕層全体の富の98%を占める約2千人の保有資産は今年7月時点で25%増え、10兆ドル(10800兆円)を超えたという。

コロナ禍によりEUと米国だけでも公式統計で2500万人を超す失業者が出ている中、景気回復も危ぶまれている。しかし医薬品やハイテクなど、活況を見せる分野とその株で富を得ている富裕層にとってパンデミックは追い風となった。

コロナには二つの種類がある。一つはコロナウイルスだが、多くの人は感染しても風邪のような症状で無症状の人も少なくない。高齢者、基礎疾患のある人は重症化し亡くなることもあるがそれは季節性インフルエンザでも同様である。コロナはより悪性かもしれないが、ペストやスペインかぜのようなパンデミックでないことは確実だ。

政府は感染への警戒を怠ってはいけないと不安をあおる一方で「Go Toトラベル」や「Go Toイート」で旅行や外食を奨励している。世界一多く感染者と死者を出した米国でも、トランプ大統領がコロナに感染し「大半の人にとってはインフルエンザよりも致死率がはるかに低い」とツイッターに書き込んだ。国立感染研究所が発表した新型コロナの第2波の致死率も0.9%と、第1波の5.8%から大幅に減っている。早くからPCR検査を全国規模で行っていればより多くの感染者が見つかり、結果的に初期の致死率ももっと低かったかもしれない。

もう一つのコロナはコロナ禍に乗じて、さもなければ不可能だった経済、社会変革を成し遂げるという政治的な計略だ。これは数値での定義は難しいが、コロナによるさまざまな制約により、うつや自殺といった問題が増加し、失業、ホームレス、途上国では飢餓の問題も起きている。それにもかかわらず、20年前から新型ウイルスの脅威を訴え続け、昨年10月には米国でパンデミックのシミュレーションも行ったビル・ゲイツ氏などは、フォックスニュースの取材でコロナが世界的に終息するのは早くとも2022年だと言っている。

ゲイツ氏ら世界の超富裕層が集まる「ダボス会議」は2021年のテーマに「グレート・リセット」を掲げた。具体的には、現在のグローバル資本主義をリセットして地球環境や社会的格差に配慮した資本主義へと転換するのだという。コロナによる移動の規制や社会的距離は、エリートたちにとって来る「監視社会体制」への移行の演習なのである。経済活動を抑えて経済を悪化させ、大暴落を起こして現行の金融システムをリセットする。そのためにキャッシュレス化やマイナンバーと銀行口座のひも付けを行うというのがエリートたちによる「グレート・リセット」なのだろう。

まるで「陰謀論」のような話に聞こえるかもしれないが、実際コロナで短期間のうちに社会は大きく変わった。必須でないとされる仕事や労働者は排除され、飛行機に乗らず、オフィスに行かず、大人数での集まりは禁じられた。明白に「グレート・リセット」と宣言していることからも、世界のエリートたちはこの計画を隠そうともしていないようである。