China’s Military is built for defence, not to threaten others
by Percy Allan
この3部シリーズの最終回では、中国が陸海軍を拡大することに重点を置いているのは、その焦点が攻撃ではなく、国境と海上貿易の防衛にあることを示唆している理由を探る。

今回は最後の7つ目の中国が他国の征服や占領を計画していない理由を紹介する。
中国の軍隊は防衛である
国際戦略研究所(IISS)は中国の公式予算にはないカテゴリーを調整した後、北京の2023年の軍事予算は2600億米ドルと推定している。各国の物価の差に基づいて経済を比較する購買力平価(PPP)に換算すると3,850億米ドルに上る。
米国の防衛費は北京の予算を凌駕し続けている。NATOの推計によると米国は2023年、軍事費に8,600億ドルを費やすだろうという。これは米ドルの為替レートを使うかPPPの数字を使うかによって、中国の2倍以上、3倍以上になる。
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によれば、2022年の軍事費が国の経済(GDP)に占める割合は、中国が1.6%であるのに対し米国は3.5%である。SIPRIによれば米国は次の10カ国の合計よりも防衛費を多く費やしている。下のグラフを参照。
画像 出典:SIPRI
もし中国が近隣諸国を征服するつもりなら、第二次世界大戦前のドイツや日本のように自国経済の他の部分と比較して軍事費を増やすはずである。
SIPRIによれば、中国の軍事支出は増加しているが、GDP成長率からは外れていない。また、中国政府支出に占める割合は、2000年の11.3%から2022年には4.8%に低下している。次のグラフを参照。
画像 出典:SIPRI
2023年7月、NATOの31加盟国はそれぞれGDPの2%以上を国防費に充てることを誓約し、「2%のガイドラインに向けて前進する」という同盟の従来の目標を固めた。オーストラリアは、2022/23年にはGDPの1.9%だった軍事費を、10年後には2.2%に引き上げる計画である。世界第3位の経済大国である日本は、2027年までに軍事費をGDPの1.1%から2.0%に引き上げようと急いでいる。中国はそれを憂慮している。
もし中国が米国並みに軍事費を2倍、3倍と増やそうとしても、米国やその同盟国には及ばない。なぜなら、中国が結んでいる軍事同盟は朝鮮戦争以来の北朝鮮とのものだけだからだ。
2023年のNATO(米国、カナダ、ヨーロッパ29カ国)の軍事費総額は1兆2640億ドルである。NATOは、過去2回の首脳会議に日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの首脳を招き、アジアにその範囲を広げた。タイとフィリピンも米国と軍事条約を結んでいおり、2023年における北米、ヨーロッパ、アジアの軍事同盟国の軍事費総額は約1兆4,010億ドルである。[https://wisevoter.com/country-rankings/military-spending-by-country/]。
対照的に、中国とその唯一の軍事同盟国である北朝鮮(50億米ドル)の軍事費は合わせて2650億米ドルである。中国を防衛する正式な軍事的義務を負わないロシアとベラルーシ(合わせて870億ドル)を加えると(中国はロシアのウクライナとの戦争に参加していない)、2023年の総額は約3,520億ドルになる。つまりアジアに関心を持つ米国の同盟国は、中国とその潜在的な同盟国を4対1の割合で上回っている。
2006年以来、GlobalFirepower(GFP)は145の近代的軍事大国について、陸、海、空における通常手段による潜在的な戦争遂行能力を分析してきた。 その結果は、マンパワー、航空戦力、陸戦力、海軍力、天然資源、資金力、ロジスティクス、地理に関連する数値を組み込んだ最終的なランキングの策定に使用される60以上の個別要素によって表される。
GFPは、米国を世界最強の国としてランク付けし、次いでロシア、中国とした。中国と米国の軍事力を直接比較すると、中国の強さはマンパワー、ランドパワー、海軍力、財政力であるのに対し、米国の強さは空軍力、天然資源、ロジスティクス、地理である。下図を参照。
画像 出典: GlobalFirepower (GFP)
米国対中国の軍事力を整理するために、ある専門家は『Journal of Indo-Pacific Affairs』に次のようにまとめている:
米軍は、戦争の戦略、戦術、作戦の各レベルでスペクトラム全体を制覇している。テイラー・フレーベルによれば、中国は軍事大国ではない。中国の軍事力は、米国のかつての敵国であったソ連に比べれば微々たるものである。中国の軍隊は、世界で3番目の広大な国土を守るのが精一杯だろう。中国共産党とPLAの上層部は米国の軍事的優位性を認識している。
中国の学者であるXu RuikeやSun Degangは中国は経済的にはヘビー級だが、軍事的にはフェザー級であり、今後数十年間はそうであろうと認めている。冷戦後の世界における米国の優位は、第三次世界大戦を防いできた。北朝鮮と中国という2大勢力は、軍事力を自国内に制限している。米国は他の追随を許さない軍事力を保持しており、中国はそれに挑戦する立場にない。
結論
中国が米国やその同盟国と戦争を始めるのは、その巨大な攻撃力を考えれば愚かなことである。もし戦争をするつもりなら、現在よりもはるかに軍事費を増やしているはずだ。陸海軍に重点を置いていることから、その焦点は国境と海上貿易の防衛であり、攻撃ではない。中国の長年の方針は、反逆的な省とみなしている台湾を再び中国の一部にさせることだ。中国は平和的な手段でこれを達成しようとしているが、軍事力を行使する可能性も排除していない。
もし武力が行使された場合、最も可能性が高いのは、台湾が和解に向けて交渉するまでの海上封鎖だろう。バイデンは米国は台湾を守りにくると言っているが、その一方で台湾を「ヤマアラシ」にするために武装させている。もし中国が台湾を攻撃すれば、内部の反発(中国人は中国人が中国人と戦うのを好まない)や米国との全面戦争に発展するリスクがあることを中国は知っている。また、西側の経済制裁や中国海運・航空機の封鎖を招くことになる。中国がそのような賭けに出るとは思えない。
とはいえ、そのような紛争を引き起こさないためにも米国は「一つの中国」政策を厳守し、台湾への軍事援助は台湾が独立を宣言しないことを条件としていることを明確にすべきだ。残念なことに、民主党や共和党の政治家の中には、台湾の独立論者に一方的に提携し、米国が最終的に外交的承認を与えるのではないかという懸念を抱かせる者もいる。台湾の独立は中国が越えてはならないと主張する「レッドライン」であるため、何よりも戦争の引き金になりかねない。
南シナ海における中国の軍事基地、チベット、新疆、香港での人権問題、米国やオーストラリアとの貿易紛争、フィリピンやベトナムとの漁業紛争といった二次的な火種は、軍事的な封じ込めではなく、外交を通じて解決すべきである。
中国との戦争は避けることができる。なぜなら中国は戦争を望んでいないからだ。しかしもし米国が中国をロシアと同一視して孤立させ、あらゆる紛争を一か八かの問題にエスカレートさせ、台湾を主権国家として認めれば、戦争が避けられないと思われるまで緊張は高まるだろう。反中タカ派はすでにそれを想定している。
同様に、オーストラリアは中国を敵視するのではなくその真の姿を見るべきだ。つまり、イデオロギーや軍事的ではなく、外交的や商業的な手段で世界と関わりを持ちたがっている急成長する経済大国として見るべきなのだ。
China’s Military is built for defence, not to threaten others