I’m gonna MAGA you, baby
by Pepe Escobar
トランプが筋書きを変えるために、魅力的ではあるが危険をはらんだ現実離れした心理作戦を打ち出さなければならなかったのも当然だろう。
それは、ニューパラダイムとマニフェスト・デスティニーの2本立てを一挙に繰り広げる、この世で最大のショーだ。我々(アメリカ)は最強だ。我々はあらゆる意味であなたを揺さぶる。我々はあなたを打ち負かす。我々は欲しいものは何でも手に入れる。なぜなら我々はそれができるから。
そして、もしあなたが米ドルから離れたいのなら、我々はあなたを滅ぼすだろう。BRICS諸国よ、我々はあなた方を捕まえにゆく。
プロレスと総合格闘技(MMA)をミックスした「トランプ2.0」が、巨大なケージの中で来週月曜日から開催される。
トランプ2.0は、世界金融システム、世界の石油取引とLNG供給の管理、戦略的メディアプラットフォームの主導権を握ることを目指している。トランプ2.0は他者を傷つける能力をさらに強化するつもりだ。誰であろうと。敵対的買収、そして血塗られたレール。それがアメリカの「交渉」方法だ。
トランプ2.0の下では、グローバルなテクノロジーインフラは、利益面だけでなくスパイ面でも、米国製ソフトウェアで稼働しなければならない。AIデータチップは米国製のみでなければならない。AIデータセンターは米国のみが管理しなければならない。
「自由貿易」や「グローバル化」? それは敗者のためのものだ。米国のテクノロジー優位性によって推進される、新帝国主義的テクノロジー封建的重商主義へようこそ。
トランプ大統領の国家安全保障顧問マイク・ウォルツは、その標的としてグリーンランド、カナダ、各種カルテル、北極、“アメリカ”湾、石油・ガス、レアアース鉱物を挙げている。すべては「国家安全保障」強化の名のもとである。
その主要な柱は「西半球」の完全支配である。モンロー主義2.0、いや、実際にはドンロー主義だ。アメリカ第一、最後にして永遠に。
チェス盤の再編が必要な理由
さて、厄介な物質的要請についてもう少し掘り下げてみよう。米国は、いつもの悪徳高利貸しに膨大な負債を抱えており、その返済が一部でもできるのは厳選された輸出黒字によってである。そのためには再工業化(長期間のコストがかかる作業)と、円滑な軍事サプライチェーンの確保が必要となる。
このシジフォスのような作業(効果のない作業)のリソースはどこにあるのだろうか?でもワシントンは中国の輸出とレアアースに頼るわけにはいかない。チェス盤を組み直す必要がある。貿易と技術を米国の一方的な独占管理下に置き、再編成するのだ。
これまでのプランAは、BRICSのトップ2でありユーラシア統合の主要な推進力でもあるロシアと中国に同時に立ち向かうというものだった。中国の戦略は、21世紀の初頭からインフラと引き換えに資源を入手し、中国自身が発展を続ける中でグローバル・サウスの市場を開拓するというものだった。
ロシアの戦略は各国が主権を取り戻すのを支援することであり、実際、各国が持続可能な開発の面で自立できるよう支援している。
ロシアと中国の戦略的パートナーシップによる協調的な地経学的および地政学的戦略に対するプランAは悲惨な失敗に終わった。 退任間近のひどい米国政権が試みたことは、続けざまに大規模な逆効果を生み出した。
だからプランBの出番である。同盟国を略奪するのだ。いずれにせよ、彼らはすでに支配されているチワワなのだ。 搾取のショーは続けなければならない。そして搾取されるべきチワワはたくさんいる。
カナダには豊富な淡水に加え、石油や鉱物資源がある。カナダのビジネス・クラスは、実際には常に米国との深い統合を夢見てきた。
トランプ2.0とそのチームは、特定の名前を挙げることは避けてきた。重要な進化する戦場としての北極圏について語る際には、北西航路について漠然と触れることはあるかもしれない。しかし、本当に重要なこと、すなわち北極海航路(Northern Sea Route)については決して言及しない。中国では北極シルクロードと呼ばれている。これは、未来の重要な接続回廊の1つである。
北極海航路には、世界の未開発石油埋蔵量の少なくとも15%、未開発天然ガス埋蔵量の30%が眠っている。グリーンランドは、この「新たな大競争」の真っ只中にあり、ミサイル防衛や攻撃に役立つ土地を提供できることは言うまでもなく、何年分ものウラン、アラスカ(1867年にロシアから購入)と同等の石油、そしてレアアースを供給できる可能性を秘めている。
1946年からワシントンはデンマークからグリーンランドを奪おうとしてきた。コペンハーゲンとの協定により、主に海軍による軍事的支配が保証されている。現在グリーンランドは、ロシアに対する北極圏での「グレート・ゲーム」における米国の理想的な進出地点として再整備されている。
昨年6月のサンクトペテルブルク・フォーラムで私は、北極海航路に関する特別な円卓会議に参加する機会に恵まれた。北極海航路は、商業航行に焦点を当てたロシアの21世紀開発プロジェクトの重要な一部であり、「砕氷船をもっと必要としている!」。近い将来、スエズ運河やジブラルタル海峡を凌駕するだろう。
すでに自治権を持つグリーンランドの人口5万人強の住民はデンマークからの完全な独立を歓迎するだろう。特にEUに対しては。コペンハーゲンは1951年以来、グリーンランドを見捨ててきた。グリーンランド人は、米国からの莫大な投資から利益を得ることを歓迎するだろう。
セルゲイ・ラブロフ外相は、直ちに本題に入った。「第一歩はグリーンランド住民の声を聞くことだ」と述べ、ロシアがクリミア、ドンバス、ノボロシアの住民の声を聞くのと同様、キエフに対して行うことと比較した。
グリーンランドに実際に求めていることは、トランプ2.0の目論見からすれば明らかである。すなわち、完全な軍事化、レアアースへの優先的アクセス、そしてロシアと中国企業を商業的に排除することである。
中国の軍事専門家、Yu Chunは、「間もなく、長らく待ち望まれてきた北極海の『黄金の航路』が開通し、船舶が太平洋を横断し、北米とユーラシアの北岸に沿って大西洋に航行できるようになる」と指摘している。
北極海航路は「中ロ協力の重要な要素」であるため、米国が「戦略的ビジョンとして、グリーンランドを支配することで、中国、ロシア、ヨーロッパ間の『黄金の航路』の確立を阻止しようとしている」のは当然である。
狼狽するチワワ
より広範なチワワ戦線は狂乱状態にある。 ヨーロッパからカナダまで、NATO諸国全域にわたるダボス会議/ディープステート(Deep State)関連のエリートたちは、トランプ2.0派のエリートたちに次々と入れ替わっている。
それは、同盟国の略奪戦略と切り離せない関係にある。米国を強化するために、従属的なEU経済をさらに破壊するのだ。
ドイツでは、現実的で知的なAfdのアリス・ヴァイデルが非常に興味深い見解を提示している。彼女は、ドイツはロシアから原材料と安価な天然ガスの輸入を再開する必要がある、つまりノルドストリームを再開すべきだと主張している。
それはトランプと彼の腹心イーロン・マスクが、強硬な新自由主義の資産剥奪攻勢という全体的な枠組みの下においても、ドイツは脱工業化された僻地として米国にとって価値がないということを完全に理解しているという、非常に興味深い可能性になる。もちろんトランプ2.0は、ドイツ人が活性化された国家を取り戻そうとすれば多額の代償を支払わせるだろう。
トランプ2.0には、少なくとも、チェス盤を比較的現実的に読むという優れた能力がある:ロシア、インド、中国、そしてイランは、略奪するにはあまりにも強大になりすぎた。だから次善の策はチワワを略奪することだ。バイデン犯罪一家の命令によるノルドストリームの爆破は、シーモア・ハーシュが詳細に述べているように、素晴らしい前菜だった。
グレート・アメリカ・プロジェクトにおけるNATOの将来は、今まさに決まろうとしている。支払うべきだ、さもなければ、各加盟国の拠出金は現在のGDPの2%から5%に引き上げるべきである。
150%の値上げだ。ちなみにトランプはこれまで「インド太平洋」という意味不明な表現を口にしたことさえない。実質的には、トランプはNATOに「出て行け」と言っているのだ。
カナダとグリーンランドが米国に併合された場合、米国はロシアの資源基盤に匹敵する可能性さえある。おそらく、これがこの「新・大戦略」を展開する主な根拠である。「多極性」は忘れよう。BRICS諸国は注目すべきである。
最も興味をそそる裏の筋書きはもちろんイーロン・マスクである。トランプは、マスクの巨大なソーシャルメディア/宣伝用デジタルメガフォンを切実に必要としている。同時に、チワワの件では、プラチナの相棒は十分なエネルギー、原材料、そして確かな購買力を持つ多くの消費者のいるヨーロッパから利益を得たいと考えている。
現場の事実がすでに、「ルールに基づく国際秩序」が、瞬く間にルールなき国際的な無秩序に取って代わられていることを物語っている。結局のところ、国際法はすでに米国(超党派)によって廃止されている。違法な一方的な制裁、金融資産の窃盗、あるいは大量虐殺や首切りを行う「穏健派反政府勢力」の正当化など、国際法がまったく機能していないのだ。
トランプ2.0は、事実上の現象を強制する以外の何ものでもない。ポスト歴史的な無秩序である。歴史の終わり – それは常に騙される人たちのためのものだった。
この一連の煽動的な出来事は、本質的にはただ一つの理由から起こっている。すなわち、米国がウクライナにおける代理戦争に敗北したことだ。今後議論されるべきは、降伏の方法である。そのため、トランプが魅力的ではあるが、依然として危険をはらんだ、現実離れした心理作戦を展開して、筋書きを必ず変える必要があったとしても、不思議ではない。