No. 2740 ジェフリー・サックス教授:日本の軍国主義が復活

Jeffrey Sachs warns: Japan militarism back

CGTNインタビュー

中国外務省報道官は、日本は台湾問題に関するいわゆる「一貫した立場」について、誠実かつ正確で完全な説明を行うべきだと述べた。同報道官はさらに日本政府が火曜日に発表した書面回答は相変わらず古いレトリックを繰り返していると付け加えた。この長年の摩擦は日本国内で高まるナショナリズムと過激派によって煽られている。地政学的な利害関係を分析するため、コロンビア大学のジェフリー・サックス教授に話を聞いた。同教授は、日本の軍国主義は誰の利益にもならず、世界を破滅的な状況に陥らせる恐れがあると指摘する。

CGTN:最初に中国のWang Yi外相が、日本の首相の最近の発言に対して「一線を越えた」と発言した。「日本の現リーダーが台湾問題への軍事介入を試みる誤った信号を公に発信し、言うべきでないことを発言し、触れるべきでないレッドラインを越えたことは衝撃的だ」。長年この地域を注視してきたサックス教授は、中国が最近日本の発言を非常に深刻に受け止めている理由についてどう考えるか。

サックス:まず台湾をめぐる緊張が現実のものとなっている背景には、台湾国内の政治情勢や台湾政治家による挑発的な発言があると認識すべきだろう。日本に関しては、過去10年間で平和主義的姿勢が弱まり、軍事志向が強まり、軍事費を増額している。そして発言がより強硬になっている。私はいずれも日本の国益に合致しないと思う。疑いなく緊張は過去10年で高まり、第二次大戦後の日本の平和主義は多くの点で過去のものとなった。日本が露骨に軍国主義だというわけではないが、軍事志向が強まっている。軍事費の増加、緊張の高まり、そして高市首相の発言は彼女が代表する党内の強硬派と一致している。

CGTN:人々はかつてよりもはるかに軍国主義的な日本を受け入れるべきなのだろうか?結局、日本こそが隣国である朝鮮半島、中国、東南アジアへの侵略を始めた国なのだ。その結果、何百万もの命が失われた。そして今もなお戦争犯罪者たちは靖国神社に祀られ、日本の首相たちの中にはそこを訪れて祈りを捧げる者もいる。靖国にはA級戦犯も含まれている。世界は、中国を含むこの地域は、ますます軍国主義化する日本をただ受け入れるべきなのだろうか?

サックス:日本に関して言えば、それは悲しい歴史だ。19世紀後半、アジア諸国の中で最初に工業化した日本は、いわゆる帝国主義クラブ、つまりヨーロッパの帝国主義勢力に加わり、1894年から1895年にかけて中国を侵略した。その時に台湾は一時的に日本の植民地となり、朝鮮も日本の植民地となった。そして日本は1930年代以降、野蛮にも中国を侵略しそのために1000万人以上の中国人が死んだ。それは恐ろしいことだった。残虐性は計り知れず、苦しみは計り知れなかった。我々はこれを記憶しておくべきだ。軍国主義的な言葉や分断ではなく、北東アジアに平和をもたらすためにあらゆる手段を尽くすべきだと言う意味で、覚えておくべきなのだ。中国と日本という二つの陣営に分かれるべきではない。それは部分的には第二次世界大戦後の米国の仕業である。米国は日本の軍国主義後の復興を迅速に支援した。その背景には、ソ連と中国の共産主義に対する防波堤としての役割がある。それが米国の意図だった。しかし日本は、東アジアや東南アジアで繰り返した戦争における自らの行為と真摯に向き合ったとは言えない。軍国主義は危険で時代錯誤であり、今日の世界に存在すべきではない。

CGTN:日本の首相の発言だけでなく、その後日本政府の決定もある。例えば防衛大臣の最近の発言は、中国の台湾島近くの地域へのミサイル配備を示唆している。

サックス:日本の軍事増強は大規模な軍拡競争を引き起こす可能性があり、最悪の事態である軍事衝突を招く。これは日本の真の利益に完全に反する。世界の利益にも反するのだ。

CGTN:しかし現実は、政治家、特に国内で弱い立場にある例えば今の日本の首相は政権を握った際、連立政権を組んでいたため弱く、選挙で政治的に日和見主義的な手法をとる人物が集まる。それは彼女の政治的利益にはなるかもしれないが、日本の長期的な平和と安定、ましてや近隣諸国の長期的な平和と安定には決して寄与しないだろう。

サックス:絶対に認識すべきことは米国がこの件で主要な役割を担っていることだ。日本の安全保障の守護者としての米国は日本に対して、そこに行くな、それはするな、トラブルを煽るな、と強く言うべきだ。この地域の主要な対抗勢力としての米国は高市首相や日本の関係者にこれをやるな、とはっきりと伝えるべきなのだ。「我々は新たな戦争を望んでいない。我々は誰の軽率な行動も助長したくない。事故や人々を恐ろしいトラブルに巻き込む可能性のある極端なショナリズムの煽動を助長したくない」と。

CGTN:最近、トランプ米大統領が日本の首相に電話をかけたが、双方とも電話の内容については明らかにしていない。同盟国がレッドラインを越え、米国やこの地域の他の国々を危険にさらすことがないよう米国はどの程度の責任を果たすべきだと思うか。

サックス:まず第一に、米国自身がレッドラインを越えてはならない。なぜなら米国は過去10年間、中国のレッドラインにかなり近づきすぎていたからだ。10年ほど前から米国ははるかに厳しい、むしろ反中国的な政策を採用し、中国に対するトランプの貿易戦争もその一環だった。しかしこの動きは非常に脆弱で不確実性が高かった。ここ数ヶ月、いやここ数日でも米国は後退し始めているようだ。米国はようやく理解し始めたのだ。中国は屈服しないということを。なぜなら中国にはそのような弱点は存在しないからだ。中国のほうが米国の多くの潜在的な弱点を握っている。例えばレアアース磁石は米国や西側経済にとっての弱点だ。だから米国はかなり厳しい反中的なレトリックを和らげているようだ。ここ数日ですら米国は日本の首相を擁護する動きはなかった。反中的な発言もなかった。むしろ逆に米国がここ数日言っているのは、中国と良好な関係に戻りたいということだ。中国を訪問したいと言っている。これはいいニュースだ。

CGTN:最新の中国と米国の電話会談によると、習国家主席はトランプ大統領に、中国と米国はファシズムと軍国主義に対して共に戦ったことを強調し、今こそ第二次世界大戦の勝利の成果を守るために協力すべきだと述べたという。確かに、習主席が言わんとしているのは台湾問題と第二次世界大戦後の地域秩序について、中国と米国は相互に理解するだけでなく共同で防衛すべきだということだ。

サックス:この発言には非常に深い意味があり、それは米中関係を超えたものだと思う。第二次世界大戦では、実際に4つの大国が共に戦った。それは米国、ソ連つまりロシア、そしてイギリス、中国だ。これがドイツと日本のファシズムに対する同盟だった。この同盟は第二次世界大戦後も継続できたはずが、冷戦が勃発し、関係は崩壊した。しかし習近平主席が正しくも指摘しているのは、米国と中国が第二次世界大戦では同じ側にいたということだ。我々はこれを忘れてはならない。これは単なる歴史の脚注ではない。これは大国が今日でさえ「我々は共通の利益を持つ」と宣言できる可能性そのものだ。我々は共通の歴史さえ持っている。過去には同盟国であったのだ。そして今後も同盟国であるべきなのだ。

CGTN:米中首脳電話会談後、中国外務省報道官は1時間に及んだ電話会談を「前向きで、友好的、建設的」という三つの言葉で表現した。中国側がこの電話会談について使った一連の形容詞をどう解釈するか。そしてそれは中国が米国側との継続的な対話にどのような姿勢を示唆しているのだろうか。

サックス:我々は今まさに非常に曖昧な状況に直面している。ここ10年間、米国は公然と中国封じ込め政策を推進してきた。ロシアに対しても同様の姿勢を取ってきた。再びほのめかしているが、過度に解釈したくはない。トランプ大統領自身のアプローチには主要国間の良好な関係を望む意図が確かに存在する。彼は小国に対してはしばしば好戦的だがプーチン大統領やロシア、そして習近平主席や中国に対しては少なくとも正常な関係を維持すべきだと考える傾向がある。それは私の推測に過ぎないが、彼は過去10年間の新保守主義的な強硬路線から離脱しようとしているのかもしれない。

CGTN:中国側が電話会談について言及した後、米国大統領も自身のツイッターアカウントで中国との関係について「極めて良好だ」と発言している。このタイミングと、公の声明で彼が示そうとしている表現の度合いを、どう考えるか?

サックス:繰り返しになるが、過去10年間の米国政策の大筋は「封じ込め政策」と表現されるものだった。米国は中国を封じ込めようとしていたのだ。私はこの政策を荒唐無稽だと考えている。米国が中国を封じ込めることができるとも、そうすべきだとも思わない。しかしそれは米国の外交政策界や議会、政治的なレトリックにおいて支配的な考え方だった。しかし強調したいのは、この考え方が再考されつつある兆候が見られるということだ。米国が中国を封じ込められるともそうすべきだとも思わない。米国がその方向へ進むのは敗北戦略だ。少なくとも外交政策を担当する行政府、つまり大統領や国家安全保障会議、国務省、国防総省はあれが正しかったとは思っていないだろう。米国は貿易戦争に勝てない。実際の戦争でも勝てない。その方向へ進むべきではない。ここ数週間のトーンやレトリック、ツイートに変化が見られるのはある種の見直しを示唆していると思う。

CGTN:しかし教授、ご存知の通り中国側にはいくつかの懸念がある。例えば技術面での米国の対中封じ込めだ。半導体やAI分野での措置がある。さらに投資機会についても中国企業が米国内で平等な機会を得られるか否か。一方、輸出禁止措置が続いている。では、こうした中国側の懸念事項が米国側によってどう対処されると見ているか?

サックス:現時点では今後数年にわたり一貫した安定した開放政策が採られるとは思えない。おそらくワシントンの雰囲気はたしかに保護主義的だ。数ヶ月前よりは少し現実的になったが、それは中国が「そのやり方は受け入れられない」と表明したからだ。しかし今後、円滑でオープンで完全に前向きな関係が築けるとは思わない。米国側の視点では激しい競争が進行中だ。つまり円滑にはいかず、技術競争は続くだろう。私の見解では、中国は技術面で驚異的なブレークスルーを次々と達成している。たとえチップが中国でNvidiaのチップにマッチしていなくても中国は量子フォトニクスや新しいコンピュータデザインなど、様々な画期的な手法を次々と見出している。今や毎週のようにブレークスルーが発表されているようだ。

CGTN:4月の米国大統領の訪中や、その後APECやG20、あるいは翌年の中国国家主席の米国再訪など、両首脳間の交流を考えてみると、こうした機会を事前に雰囲気面で育むための具体的な計画を両国がどう策定できるのだろうか。

サックス:トランプやワシントンの政治家たちにとって中国を訪問するなら、その訪問を成功させたいと思うのは明らかだ。それは重要な行事である。儀礼と式典、両国間の相互尊重の重要な機会であり、単なる特定の指導者の訪問ではない。だからこの訪問がより良い2026年への道を開くための試みとして、良い結果をもたらすことを願っている。

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