No.481 沖縄でまた女性暴行事件

 今回は、『ロサンゼルス・タイムズ』紙から、6月末に起きた沖縄の女性暴行事件について、日本政策研究所の編集員シーラ・ジョンソン氏の記事をお送りします。1972年から2000年の間、ほぼ1日おきに米兵による犯罪が起きていたことになるという数字に、沖縄の問題の深刻さを改めて感じます。

 7月13日付けの『読売新聞』に、「(ベーカー新駐日大使が同紙との単独会見において)同様の事件の再発を防ぐためあらゆる努力を払うと強調した」と書かれていましたが、日本政府はこれまで何度こうした言葉を米側から聞かされてきたことでしょう。事件のたびに、「再発を防ぐ努力」という発言がなされますが、それはまったくその場限りの嘘としか聞こえません。また日本政府の対応を見ても、沖縄の問題をあたかも隣国での出来事のようにしか受け止めていないように思えます。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。

『ロサンゼルス・タイムズ』紙 2001年7月8日
日本政策研究所編集員 シーラ・A・ジョンソン

 小泉首相がキャンプデービッドでのブッシュ大統領との初会見に向けて渡米した6月29日の早朝、またしても沖縄で、駐留米軍人による女性強姦事件が起きた。

 それがどうした、と思うかもしれない。なぜならそのような強姦事件は1945年に米軍が沖縄駐留を開始して以来、絶えず起こっているからだ。1972年から2000年に米兵が起こした強姦を含む犯罪件数は5,006件にのぼる。これはほぼ1日おきに犯罪が起きた計算になる。

 ただし今回の事件が発端となって、日本政府がついに米軍の撤退を要求することになるかもしれない。日本の政府高官はこれまでずっと従順だった。沖縄県警は犯人をほぼ即座に突き止め、事情聴取はしていたが、小泉首相が無事に米国を離れるまでは、容疑者への本格的な取り調べをなんとか引き延ばした。

 警察が逮捕状を出して容疑者の身柄引渡しを米軍に要求したのは、小泉が帰路についてからである。ちなみにNATO諸国では、容疑者である米兵の地元当局への身柄引渡しに、このような要求をする必要はない。沖縄県警は7月2日に容疑者の身柄引渡しを要求したが、米軍は容疑者の人権が完全に尊重されないのではないかと恐れ、7月6日まで身柄の引渡しを遅らせた。しかし、日本側は人種差別と取られるのを恐れて逆の行動を取る傾向があるため、日本では容疑者が黒人であることはむしろ有利に働くであろう。

 米国の各社新聞報道は、強姦とは被害者の言い分に過ぎず、実際は両者合意の上の行為だったと仄めかしている。20歳の沖縄女性はその晩、彼女が暴行を受けたとする相手と酒を飲みに出かけていた。

 同じ女性として、何人もの男性の目の前で、車のボンネットの上で両者合意の上でそのような行為を行うことはまずありえない。これまでの報道から、他の男達が目隠しのために人垣を作っていたのか、男に声援を送っていたのか、あるいは誰かがいうように彼女を救いに行ったのかは定かではない。彼等のうち数人は目撃者であり、誰も犯罪に関わってはいない。

 米軍側が考えるであろうもう1つの可能性は、その米兵が女性の罠にはめられたというものである。この主張に対しては、「彼女にもっと力を!」といいたい。米兵とつきあうすべての沖縄女性には、女性が米兵を刑務所に送り込むかもしれないという可能性、または恐れを、この米兵の頭の中に叩き込んで欲しいと願う。

 沖縄で最高位のアール・B・ハイルストン中将は、軍人の規律を維持できなかった責任をとって免職されるべきである。しかし、彼の上司がそのようには考えていないことは明らかである。

 今年初め、仲間の将校へ宛てた電子メールでハイルストン中将は、前回の暴行事件の後、沖縄県議会の海兵隊削減を求める決議を批判し、稲嶺知事らを「頭の悪い弱虫」と中傷した。これに対して、ラムズフェルド国防長官はハイルストンを懲戒処分にするどころか、6月26日、全太平洋海兵隊の指揮官に任命したのである。このこと自体が、日本人や沖縄県民、または韓国人を、そして彼等の好意を、米軍がどのように考えているかを明白に示しているのである。