サマーズ氏は、米国の苦境に対する処方箋を提示した。
… しかし、アメリカのエリートはそれを受け入れ難い。
Summers offers a prescription to US woes, …
… but hard for American elites to take it
by Global Times
ワシントンの一部のエリートたちは、中国との競争や国内の問題に直面しても、自らを改善しようとはせず、代わりに破壊工作を行い中国を倒すことに専念している。米国は危機を管理しコントロールすることで自国の問題を解決するのではなく、他国を破壊することで自国を救おうと思っているのだ。米国は中国との関係で多くの危機を作り出してきた。もしそれらが適切に処理されなければ、中国だけでなく米国自身も苦しむことになり、そして米国がより苦しむことになるだろう。
ローレンス・サマーズ前米財務長官は米国の政策立案者に対し、中国との競争において敵国を攻撃するのではなく、自国の経済力を高めることに焦点を当てるよう警告した。ブルームバーグの土曜版報道によれば、サマーズは「もしわれわれの焦点を自国の強化から中国を引き裂くことに変えたら、非常に危険で非常に残念な選択をすることになると思う」と語ったという。
ワシントンが自国の技術革新、インフラ、教育、課題に集中するのではなく、「中国を引き裂く」ことに焦点を合わせる最大の理由は、米国の政治システムの構造的矛盾にある。
米国は今、製造能力の喪失、地場産業の空洞化、グローバル貿易から得られる利益の国内各層への非対称的配分といった難問に陥っている。資本主義の頂点に立つ米国にとって、金融資本の過度の膨張は必然的に上記のような問題の顕在化をもたらすことになるだろう。
サマーズが示唆したように、米国が自らを改善しようとするならばそのシステムの制約を克服し、金融資本の過度の拡大を抑制し、より公平な税制を実施し、異なる集団間の広い所得分配格差を管理するための国内改革を行う必要がある。また国の創造性と競争力を高めるために、政策によって国のイノベーションを計画し、導くことも必要である。復旦大学国際関係公共学院のShen Yi教授はGlobal Timesに、「しかし米国が社会主義国にならない限り、既存の資本主義の枠組みの中でこれらを実現するのは難しい」と述べた。
「また、改革には短期的なコストがかかるが、現在の米国のシステムでは政党が選挙でより多くの票を獲得するというプレッシャーに直面しており、両党の合意が得られない限り、短期的なコストを要求する改革は米国で実施できない」とShenは言った。
両党にとってより単純な解決策は、米国は順調に運営されており、米国の発展を妨げている主な障害は「悪い」国のせいだと米国民を「欺く」ことである。共和党も民主党も、当選すれば、現在の苦境を解決するために、その「悪い」国に対処することができると主張する。選挙に勝つために、両党は中国封じ込めの動きを強めているのである。
実のところ、米国にとって何が適切な解決策なのか、複雑なことは何もなく、サマーズを含む多くのエリートはそれを十分に理解している。Shenは、米国は「麻痺状態」に留まっているようだと指摘する。この状態では、脳は実は冷静でも、人々の思考に従って身体は動作することができない。
ワシントンの中国政策における戦略的不安はこのように作られている。その中で意思決定者は、強い賭博的で投機的なメンタリティーを持ち、不条理なアドバイスを与えられてきたのだ。
さらに米国の任期と選挙のために、政府は選挙と責任転嫁に多くの時間を費やし、現実的な政策を実行する時間が非常に限られている。このような米国の政治ゲームの性質から、ワシントンが顕著な変化を遂げる時間はほとんどないのだ。
米国の問題が中国に存在するのではなく米国そのものにあることを認識し、米国全体が新たなコンセンサスに達したとき、初めて米国は中国政策を根本的に変えることができるのである。その日が来るまでは、サマーズの提案が実行されることはないだろう。