No. 1988 核戦争へのカウントダウンか?

Are we in a countdown to all-out nuclear war?

by Gilbert Doctorow

この日曜日に放送されたトーク番組『Evening with Vladimir Solovyov』のパネリストと司会者の雰囲気は非常に悲観的だった。その理由は、ウクライナとの戦争におけるロシアの状況とは何の関係もなかった。それどころか戦争に対する感情はまったく明るいものだった。最近『エコノミスト』誌に掲載されたウクライナ軍総司令官ザルジニー将軍のインタビューは、ロシア人が以前から口にしていた、ウクライナ軍が直面する悲惨な見通しを世間に確認させるものだった。実際、西側メディアでさえ、ウクライナ軍が戦場で失った兵士の数は、ロシア軍1人の死傷者に対し、10人から12人と推定している。ウクライナ側は40万人以上の兵士と将校を失ったと言われている。同時に、米国とヨーロッパの同盟国からの資金援助も軍事援助も問題になっている。

番組での悲観的なムードには、私たちが考慮すべきもっと一般的な考察も含まれていた。あるパネリストが言ったように、今日の世界政治は、第一次世界大戦が勃発する前の時代によく似ている。あちこちで残忍な戦争が起きている。何ももたらさない平和会議が行われている。ジョー・バイデンの最近の言葉を借りれば、この地球上で最も強大であり、複数の戦線で戦うことのできる国、つまり米国が存在する。このようなことからVladimir Solovyovは、次に何が起こるか結論づけた。「核戦争はもはや避けられない」

もちろん、イスラエルによるガザでの悪質な暴挙も、この憂鬱な状況を助長する一因だった。道徳や『普遍的価値観』からの議論はすべて取り払われた。私たちに残されたのは、自分たちはアンタッチャブルな存在だと信じる者たちによって実践される「強さこそが正義」だけなのだ。

注意深く見ると西側諸国、とりわけヨーロッパはロシアに対する挑発行為を次から次へと行い、それが何をもたらすかについてはまったく無関心である。

1カ月前、ラトビアはバルト海のパイプラインの損傷にロシアが関与している可能性があるとして、罰としてバルト海をロシア船に閉鎖すると脅していた。このスキャンダルは、フィンランドが、嵐の中で外れた通過中の中国商船のアンカーが原因と思われると発表したため、すぐに払拭された。

しかし、今度は欧州委員会が同様の脅しをかけてきた。デンマークの領海を通過するロシアの石油を積んだタンカーを検査し、拿捕するようデンマークに指示したのだ。これらの船はデンマークの領海を通過し、世界中に石油を配送するため大西洋に向かっている。検査は、タンカーが欧州の保険に加入しているかどうかを確認するために行われることになっており、拿捕の口実はタンカーが環境問題を引き起こしているというものである。これらすべては、フィナンシャル・タイムズ紙の調査結果に対するものだ。この1年間にロシアが集めたシャドウ・フリート(影の艦隊)のおかげで海上輸出されるロシアの石油のほぼすべてが、ヨーロッパによって義務付けられた上限60ドルをはるかに上回る価格で販売されている。10月の原油は80ドルで販売されたが、これはブレントより10ドル低いだけだった。

ブリュッセルでもコペンハーゲンでも、海上でロシアの石油輸送を強制的に止めるという脅しに対して、ロシアがどのような反応を示すかを考えた人はいなかったのだろうか。ロシアはこの海域で対応する手段を持たない遠いイランではない。実際、ロシアのバルト海艦隊は非常に強力で、数千キロ離れた場所から発射される航空戦力や船舶破壊ミサイルもある。ではデンマークはどうだろうか?ウィキペディアによれば、彼らの全海軍は3,400人の人員、「16隻の艦船、28隻の艦艇、30隻のボート」で構成されている。これは規模が大きい順に並べたものだろう。ロシア軍を相手に何日、いや、何時間持ちこたえられるだろうか?そして次に何が来るのか?

フィンランドもまた、熊(ロシア)を突くのに忙しい。昨日、彼らはロシアとの国境閉鎖を発表した。ベラルーシが1年前にポーランドとの国境で行ったとされるように、モスクワが第三世界諸国から不法な非正規移民を送り込んでいると主張しているのだ。

私はここ2、3年の間に6、8回バスで国境を越えたことがあり、ロシアのバス会社が、すべての乗客の書類が国境の両側の関連規則に完全に適合していることを非常に厳しく要求していたことをよく知っている。ロシアのパスポートしか持たない旅行者はフィンランドに入国できないため、これらの乗客のほぼ全員が二重国籍者であった。

フィンランド側の措置を受けて、サンクトペテルブルクとヘルシンキを結ぶ2つの主要バス路線であるEcoLilnesとLuxが11月18日をもってサービスを終了すると発表した。つまり、ヨーロッパ人がロシアに行くには、イスタンブールかドバイ経由の飛行機を使うしかない。これにより、ロシア訪問にかかる費用は2倍、3倍となり、人と人との交流は冷戦の最悪の時代に逆戻りすることになるだろう。ただし、今回の戦争はより熱いものになる可能性が高い。

© Gilbert Doctorow, 2023

追記:ロシアとの往来に関して、私は次のように発言を修正せざるを得ない: 現在の状況は、冷戦の最悪の時代よりもはるかに悪い。これは1960年代にさかのぼる私の個人的な経験に基づいて述べている。当時、ほとんどのヨーロッパ諸国にはモスクワへの直行便があった。しかしコロナが始まって以来、直行便はなくなった。パンンデミックが終息するやいなやウクライナ戦争が勃発し、西側諸国が制裁を科したため、航空、鉄道、そして今ではバスの接続の復旧を阻む制裁を科している。冷戦時代、アメリカやその他の海外からの旅行者は、コペンハーゲンやヘルシンキを経由地としてモスクワに向かうという選択肢もあった。ペテルブルクや他のロシアの都市については言及しないが、冷戦時代には国際交通のほぼすべてがモスクワに向けられていた。当時、旅客の流れの制約は主にソビエト側にあった。ソビエト市民は海外渡航のための外国パスポートを発給される前に忠誠度チェックに合格しなければならず、その後、許可される外国の目的地には階層があった。最もアクセスしやすかったのはソ連が支配する東欧諸国だったが、その場合でもコムソモール(旧ソ連共産青年同盟)の監視員が引率する団体旅行が一般的だった。当時の格言はКурица не птица и Польша не за границаだった。 これはロシア語で韻を踏んでおり、その意味は「ニワトリは鳥ではなく、ポーランドは外国ではない」である。しかし今日、ロシア人を締め出そうとあらゆる手を尽くしているのはすべて西側である。

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