No. 2025 EUはリチウムをめぐる戦争をするつもりなのだろうか?

The EU Is Willing to Go to War Over Lithium?

by Phil Butler

EUがキエフのゼレンスキー政権を支持している謎が解けた。ミンスク和平で、特になぜドイツがロシアを裏切ったのかその理由を考察できる。リチウムだ。

エネルギー・モニターの親会社であるGlobalDataは最近、ヨーロッパ最大のリチウム埋蔵量はロシアのドンバス地方にあるというレポート{1}を発表した。ドネツク地方の旧ウクライナ領シェフチェンキフスケ鉱区と、ザポリジチア地方のクルタ・バルカ鉱区は、現在ロシアの一部となっている。これらの埋蔵量は、ロシアの膨大なリチウム埋蔵量(現在150万トン)に多大なプラスとなり、ロシアの世界トップ10入りを確固たるものにしている。中国(200万トン)を含む他のBRICS諸国の埋蔵量を考慮すれば、EUの産業はレバレッジポイントにある。

これに関して最も重要なのはEU、特にドイツが、風力タービン、電気自動車{2}、多種多様な電子機器などのグリーンエネルギー技術を製造するためにこの希少鉱物を切実に必要としていることだ。クリティカル・ミネラルのテーマ別インテリジェンス・レポートの概要にあるこの文章は、それを物語っている:

 重要な鉱物は低炭素な世界への移行の鍵を握っている。世界ではネット・ゼロ目標を設定し、排出量削減を誓約している国が70カ国以上ある。しかしこれらのより環境に優しい未来に向けた広範な取り組みは、天然資源、特に電気自動車(EV)やソーラーパネルなどのエネルギー転換技術の生産に必要な鉱物を圧迫している。

レポートはさらに、これらの希少鉱物がいかに一部の地域に独占され、サプライチェーンの問題がいかにその回収と流通に影響を及ぼしているかを明らかにしている。要するに、もしヨーロッパがリチウムをもっと調達しなければ、EUのウルスラ・フォン・デア・ライエン大統領が一日おきに警笛を鳴らしているエネルギー転換は、遅れるか、需要不足のために実現不可能になるだろう。

リチウムの埋蔵量は、米国、オーストラリア、ラテンアメリカの数カ国が大部分を占めているが、EUがこれらの供給源にアクセスするにはコストがかかるだろう。加えて、米国とこれらの新興国は埋蔵量の大部分を国内需要に充てるに違いない。

ヨーロッパのリチウム供給に対する需要(必要性)は非常に高く、ドイツCDUのローデリヒ・キーゼヴェッター議員は、ロシアとウクライナの紛争はすべてドンバス地域の地下にある50万トン以上のリチウムに関わるものだと認めた。キーゼヴェッターは、「EUがウクライナを支援しているのは、ドンバス地方にリチウムが埋蔵されているからだ」と述べた。この政治家はまた、ドンバスが現在ロシアの一部であることがベルリンがモスクワに依存していることを指摘した。

退役大佐であるキーゼヴェッターは、高精度の射程500キロメートルのトーラス巡航ミサイルをゼレンスキー政権に提供することを提案している。このスウェーデン/ドイツ製の空中発射ミサイルは1,100ポンドの弾頭を搭載しており、基本的にはバンカーバスター型の兵器である。これらのミサイルはゼレンスキーの残存する部隊にとって、錆びたレオパルト戦車よりも遥かに有用だろう。しかしこの議員の発言から読み取れるのは、ドイツとEUが今やウクライナの膨大な資源を力ずくで奪うつもりであるということだ。ユーロマイダン・クーデターは西側エリートの最初の一歩となっただけで、ウクライナ攻勢に失敗した今、ほとんど選択肢は残されていない。

EUの委員たちは自らの喉を切り裂こうとしている。つい先日、欧州委員会は、EU圏へのロシアの高級ダイヤモンド輸出を狙った新たな制裁措置を可決した。この制裁はEUの一般市民には影響しないが、上流階級や富裕層は美しいラウンドダイヤモンドを手に入れるためにより多くのユーロを支払わなければならなくなる。米国(またはイギリス)がガスパイプラインを爆破し、EUで穀物が不足する可能性があり、ロシアやロシアに友好的な国々の重要な鉱物の輸出が、すでに不安定な加盟国に影響し始めている。

EU加盟国がGNPを上げるために何を製造し、何を輸出しているかを考えてみよう。ここのリスト{3}では、2つの重要な輸出品を抽出している。自動車および/または精製された石油は、どの国にとっても不可欠である。自動車ははるかに最大の輸出入商品である。したがって自動車が最終的に電気自動車になったとき、EUの産業界と消費者がどれほどリチウムを欲しがるか想像してみてほしい!この戦略的な鉱物を遠くの資源国から輸入することを余儀なくされた場合、自国でバッテリーを製造するようになった遠い国から大量に輸入せざるを得なくなれば、ヨーロッパは大混乱に陥るだろう。ロシア・ウクライナ情勢をめぐってもし第三次世界大戦が勃発すれば、きっと我々はそれを「リチウム大戦争」と名づけることができるだろう。

Links:

{1} https://www.globaldata.com/store/report/critical-minerals-theme-analysis/

{2} https://www.energymonitor.ai/sectors/transport/booming-ev-sales-challenge-mineral-supply-chains/

{3} https://goodlogisticsgroup.com/top-european-union-exports-and-imports-by-country/

https://journal-neo.su/2024/01/02/the-eu-is-willing-to-go-to-war-over-lithium/