No. 2325 運命の日 – 戦争の時代に希望をもたらすBRICS

Date with Destiny –BRICS Offers Hope in a Time of War

by Pepe Escobar

ついにきた。運命の日だ。今年、そして恐らくは今世紀で最も重要な地政学的・経済地理学的会合の準備は万端である。ロシアを議長国としてスンニ派タタール人と正教徒が完璧な調和を保ちながら共存するタタールスタンの首都カザンで開催されるBRICSサミットだ。

高級官僚やアナリストたちが2024年を通して苦心惨憺した努力の成果が、BRICS担当のロシア首席外交官であるセルゲイ・リャブコフ外務次官の監督の下、モスクワでサミット前に開催される3つの最終的な個別会議に集約された。BRICS財務大臣および中央銀行総裁会議、作業部会、ビジネス評議会である。

グローバル・マジョリティーにとって、今や馴染みのある文脈である。現在のBRICS諸国のGDP合計は60兆ドルを超え、G7を大きく引き離している。今年の年末までの平均成長率は4%と予測されており、これは世界平均の3.2%を上回る。そして、近い将来の経済成長の大部分はBRICS加盟国から生まれるだろう。

財務大臣および中央銀行総裁会議に先立って、ロシアの財務大臣アントン・シルアノフは、BRICSは「政治化」された欧米のプラットフォームを回避したいと強く望んでいると強調していた。これは、制裁の津波と米ドルの武器化をほのめかしたものであり、BRICSは独自のグローバル・マジョリティーに優しい国際決済システムを構築しようとしている。

今週カザンで何が決定されるのかという状況は、白熱したものに他ならない。なぜなら米国のウクライナから西アジアにいたる永遠の戦争の制御不能な混乱は、BRICSの重労働にまで物質的な影響を及ぼしており、地経学的な関係における新しい国際システムをゼロから構築する必要性がある。

イスラエルと米国によるイラン攻撃の準備に関する機密情報を「ファイブ・アイズ」にリークしたことにより、戦争拡大のシナリオは阻止された可能性がある。攻撃は最終的には起こり、それは恐ろしい結果を伴うだろうが、カザンでのサミットを完全に混乱させ、世界的なニュースの見出しから消し去るために、今週というタイミングで攻撃が実行される可能性は低いだろう。

BRICSの財務大臣および中央銀行総裁による共同声明{1}は、それほど冒険的な内容ではないかもしれないが、その制約は、危険な窮地に追い込まれた米国の存在に対する警戒だけでなく、BRICSメンバー間の内部矛盾{2}も反映している。{2}

声明では、「途上国の発言力と代表権を強化するための世界金融構造の包括的な改革の必要性」が認識されている。しかし米国がIMFや世界銀行、ブレトンウッズ体制の抜本的な改革に全く関心がないことは明らかである。特にロシアと中国は、必要なのはブレトンウッズ体制後の体制であることを十分に理解している。

声明は、BRICSクロスボーダー決済イニシアティブ(BCBPI)についてより強力な表現となっており、「国際貿易における現地通貨の利用」と、それを可能にするための「銀行ネットワークの強化」を歓迎している。しかし、現時点ではすべてが「自主的かつ拘束力のない」ものにとどまっている。 カザンでは、このプロセスに弾みがつくことが期待されている。

「反西側グループではない。ただの非西側グループ」

先週金曜日、BRICSビジネス評議会での演説およびそれに続くBRICSメンバーのメディアグループの代表者たちとの円卓会議において、プーチン大統領は事実上、すべての主要案件を要約した。以下にそのハイライトを紹介する。

上海を拠点とするBRICSの銀行である新開発銀行(NDB)の役割について:ロシアは「NDBの能力を拡大する」だろう。NDBはBRICSメンバーおよびより広範なグローバル・サウスにおける主要な技術およびインフラプロジェクトの主力投資家となるべきである。これは理にかなっている。NDBがインフラ開発に融資し、地元の民間企業と商業的に関わるからだ。ちなみに、DBの次期総裁はロシア人となるだろう。最有力候補は以前IMFに在籍していたアレクセイ・モズィンである。

BRICSの単一デジタルインフラの構築について:すでに進行中である。ロシアは「他の発展途上国の利益のために投資プロセスでデジタル通貨を使用すること」に取り組んでいる。これは、国際金融取引における独自のSWIFT版を開発するというBRICSの取り組みと連携している。またBRICS Payとも連携している。デビットカードであるBRICS Payは先週のビジネス評議会で最初の試験運用が行われた。中国のAlipayと類似しており、まもなくBRICS加盟国全体に展開される予定である。

 BRICS単一通貨:「まだ検討されておらず、この問題はまだ熟していない」。プーチン大統領は、脱ドル化は段階的に進められていると強調した。

我々は一歩一歩、個別に段階を踏んでいる。金融に関しては、我々はドルを放棄したわけではない。ドルは世界共通の通貨である。しかし、我々ではなく、我々がドルの使用を禁止され、使えないようにされたのだ。そして今、ロシアの対外貿易の95%は自国通貨建てである。彼らは自分たちの手でそれを成し遂げたのだ。彼らは我々が崩壊すると考えていた。

BRICS統一通貨の課題:それは「徹底した経済統合を必要とする(…)BRICSメンバー間の高度な統合を除いて、単一のBRICS通貨の導入には同等の通貨の質と量が必要となる(…)さもなければ、EUで起きた問題よりもさらに大きな問題に直面することになるだろう」とプーチンは述べた。プーチンは、EUでユーロが導入された当時、彼らの経済は比較できるものでも同等もでなかったことを思い出させた。

プーチン大統領はカザンで少なくとも17の二国間会談を行う予定である。プーチンは改めて、「BRICSは反西側グループではない。単なる非西側グループである」と強調した。

そして彼は近い将来の主要な経済推進要因として、東南アジアとアフリカを挙げた。「発展は客観的に見て、主にBRICSの加盟国で起こるだろう。これがグローバル・サウスだ。これが東南アジアだ。これがアフリカだ。中国、インド、ロシア、サウジアラビアといった強力な国々でも前向きな成長は見込めるが、東南アジアとアフリカの国々は、いくつかの理由により、より速い成長を示すだろう。」

また、プーチンはBRICSおよびグローバル・サウスにおける主要なインフラ開発プロジェクトとして、北極海航路(中国はこれを「北極のシルクロード」と定義している)と、BRICSの3カ国であるロシア、イラン、インドを主要パートナーとする南北国際輸送回廊(INSTC)を挙げた。北極海航路について、プーチンは「世界に類を見ない砕氷船団を建造している」と強調し、「7隻の原子力砕氷船と34隻のディーゼル推進の高級重作業砕氷船からなる、他に類を見ない船団となるだろう」と述べた。

ロシアと中国の戦略的パートナーシップは、世界の安定の重要な要因のひとつである:「両国間の関係においては“年長も年少もない”。グレートチェスボードの上で、ヨーロッパはNATOを通じてアジアに引きずり込まれたが、ロシアは米中関係に干渉しない。誰もヨーロッパ人に、中国との関係を台無しにしたいのか、NATOの組織を利用してアジアに進出し、地域、特に中国に懸念を抱かせるような状況を作り出したいのか、と尋ねてはいない。それでも彼らは子犬のように引きずり回されている。」とプーチンは語った。

永遠の戦争はBRICSを狙う

カザンでは、BRICSメンバーとBRICSアウトリーチ(パートナー国)によるパレスチナに関する特別セッションが開催される。プーチンは、「中東カルテットの解散は間違いだった」と考えている。カルテットにはロシア、米国、国連、EUが参加していた。理論上はイスラエル・パレスチナ和平プロセスを仲介するはずだった。しかし実際には、そうはならなかった。

悪名高い戦争屋のトニー・ブレアはこのカルテットの一員であった。プーチンは外交的に、「私はあらゆる面で米国を非難するつもりはないが、残念ながら4者(カルテット)を解散したのは誤りだった」と述べた。

「ロシアは一貫して、国連安全保障理事会がイスラエルとパレスチナの2国家樹立を決定したことを実施すべきであるとの見解を維持してきた」とプーチンは改めて強調した。さらに重要なことに、彼は「ロシアは現在もイスラエルとパレスチナの両国と接触を続けている」と付け加えた。

これは戦略的な調停であり、真剣な裏ルートでのやり取りであると解釈できるかもしれない。しかしプーチンは正面から火中の栗を拾うようなことはせず、イスラエルとイランの「終わりのない応酬」が止むことを望むと述べるにとどまり、さらに「アラブ・イスラエル紛争における妥協点を見出すことは可能だが、これは非常に微妙な領域である」と付け加えた。

上記はすべて、BRICSという背景において非常に重要な意味を持つ。なぜなら西アジアにおける永遠の戦争は、BRICS内の作業に深刻な支障をきたしているからだ。さらに、冷戦、ハイブリッド戦争、実戦という永遠の戦争は、実際にはBRICSの3つのメンバー国、ロシア、イラン、中国を標的にしている。

そしてそれは必然的にウクライナにつながる。プーチンは、「ロシア軍は世界で最も戦闘能力が高く、ハイテクな軍隊の一つとなった(…)NATOが我々との戦争に疲れたら、彼らに聞くといい。我々は戦い続ける覚悟があり、闘争を続ける覚悟がある。そして、我々は優勢を保つだろう」と強調した。

軍事アナリストのアンドレイ・マルティヤノフが長年研究してきたことを裏付け、プーチンは現代の戦争が数学者の戦争であることを説明した。これはNATOの「肘掛け椅子の戦士」にはまったく理解できないことなのだ;

     私は、現場で戦っている人々から、今日の戦争は数学者の戦争だと聞いた。特定の運搬車両に対しては電波妨害装置が有効で、それらを抑制することができる。相手側は、例えば反撃が何であるかを計算し、1週間または3週間で攻撃手段のソフトウェアを再プログラムする。

戦場に関しては、「ルールに基づく国際秩序」がノヴォロシアの黒い大地で屈辱的な終焉を迎える中、プーチンは「核のウクライナ」という策略についてこれ以上ないほど強調した。「これは危険な挑発行為である。なぜなら、この方向へのいかなる一歩も、対応に直面するからだ(…)はっきり言っておく。ロシアは、何があろうとも、これを許さないだろう」。

カザンの関与がこれ以上高まることはない。グローバル・マジョリティーは、カザンが歴史に刻まれ、新たな国際関係のシステムのランドマークとなるか、それとも粗野な分断と支配の戦術が旧体制の避けられない終焉を先延ばしにし続けることになるのか、今週末までにその答えを知ることになるだろう。

Links:

{1} https://cdn.brics-russia2024.ru/upload/docs/BRICS_FMCBG_Statement.pdf?1728665606116285

{2} https://sputnikglobe.com/20241021/brics-summit-in-russias-kazan-whats-on-agenda-1120607908.html

{3} https://sputnikglobe.com/20241019/ukraines-nato-accession-would-bring–alliance-into-direct-conflict—moscow-1120598466.html

{4} https://smoothiex12.blogspot.com/

https://www.unz.com/pescobar/date-with-destiny-brics-offers-hope-in-a-time-of-war/