Where Are We Now in the Trade and Tech War? Ceasefire, not peace
By Hua Bin
以前韓国でのトランプと習の会談について書いたが、会談は表向きは友好的に見えるが実質と長期的な影響はほとんどないだろうと予測した。数日前に会談が行われ、結果は予想通りだった。進展があったのは、大豆購入やフェンタニルなどの取引分野が中心で、核心的な対立点(台湾)は議題から外されるか、あるいは先送り(レアアースや貿易制裁)された。
両首脳は極めて友好的で外交的だった。100分に及ぶ会談の前後には笑顔と握手が交わされた。会談後、ランプは習を車まで見送り、習は来年4月にトランプを北京へ招待した。
習近平はトランプに金のゴルフボールやおべっか使いの遺品のパターを贈らなかった。それをしたのは新しい日本の首相だった。奴隷的としか言いようのない、かなり気持ち悪いほどの無制限の媚びへつらいは、トランプが「外国の指導者たちが俺の尻にキスしようと列をなしている…お願い、お願いします、と」と語ったのを思い起こさせる。
しかし習との写真撮影はトランプを大いに喜ばせたようだ。帰国便の機内で記者団にトランプは「10点満点中12点」と評価した。リアリティ番組のスターらしい発言だ。
釜山会談で達成したのは何だったのか?貿易・技術戦争の現状は?端的に言ってそれは緊張した関係を一時的に安定させるには十分意味があったが、大局は変わっていない。せいぜい不安定な停戦状態で、和平合意ではなかった。
北京は貿易戦争開始当初から表明してきた姿勢を貫いた。「米国が話し合いたいなら扉は開いている。だが米国が戦いを望むなら、最後まで戦う」という精神だ。
会談前からトランプは賢明にも当初の100%関税脅威を撤回し、再び「TACO(トランプはいつもビビッてやめる)」呼ばわりされることなく釜山を後にした。市場は好感した。本質的には、9月のマドリード交渉ラウンド時点の状況に戻ったと言える。
合意内容を分析し、今後6~12ヶ月の展開を予測してみよう。
西側メディアの報道よりはるかに信頼性が高く、センセーショナルではない中国側の公式発表によれば、合意の核心要素は以下の通りだ:
– 北京が10月に発表した新レアアース規制を1年間猶予する代わりに、米国はエンティティリスト(貿易ブラックリストの婉曲表現)に対する「BIS 50%ルール」を1年間停止する。
この50%ルールは米国商務省産業安全保障局が発表したもので、そもそも中国のレアアース報復措置を引き起こした原因である。このルールによれば、エンティティリスト掲載の中国企業が50%超出資する海外企業は、親会社と同等の制裁対象となる。例えば、A社がB社の50%を所有し、B社がC社の50%を所有する場合、A社、B社、C社の全てが同等の制裁対象となる。この規則によりエンティティリスト掲載の中国企業は10倍に増え、中国国外に拠点を置く約25,000社が影響を受けた。
– 両政府は相互の船舶に対する港湾使用料を1年間凍結する。港湾使用料は当初、米国が中国建造・所有・運航の船舶に対し米国内港湾への入港時に課したものである。中国は報復措置として、中国港湾への入港する米国船舶に対しても同様の使用料を課した。
– 米国はいわゆるフェンタニル税を10%に引き下げる。これに対し中国は、米国産大豆を購入するが数量は明示せず。
– 双方はTikTok売却の最終調整を継続する。
この「合意」で明らかに欠けていたのは、台湾と半導体に関する言及だ。双方とも台湾について一切触れず、北京とワシントンが地政学と貿易交渉を切り離すことを望んでいることを示している。
議論から半導体が除外されたことは、北京が独自技術開発能力に自信を持ち、自給自足に注力する姿勢を明確に示している。北京は、レアアースを米国のチップへのアクセスを得るための交渉材料として考えていない。複雑な要素がなければ、いつでも必要に応じてレアアース制限を発動できるからだ。
今回の会談の核心的な成果は、レアアース制限とエンティティリスト拡大を相互に1年間停止することである。その他はすべて雑多な項目とみなすことができる。
中国が米国産大豆購入を承諾した背景には、ブラジルへの依存度が高すぎる現状を打破し、単一供給源に依存しないという戦略がある。ブラジルはこの依存関係を利用して「ブラジル・プレミアム」と呼ばれる大豆を高値で販売しているが、中国はアルゼンチンや米国からの購入でこれを相殺したいと考えている。中国は飼料以外の用途(バイオ燃料加工など)で大豆を活用するため、追加購入は自国の国益にも合致する。
一時休戦が宣言された今、双方は条件を貿易協定に明文化するだろう。もしトランプが4月に北京を訪問すれば、正式な合意が発表される可能性がある。
今後の展開について推測してみよう。
– 米中両国は1年間の猶予期間を、次なる貿易摩擦に備える準備期間として活用する可能性が高い:米国は同盟国と連携し、中国に依存しない代替レアアース供給網の構築を試みるだろう。中国は新たに導入した域外適用レアアース規制政策の執行方法を微調整し、必要時に効果的に運用できるようにする。何しろこれは新たに手に入れた力であり、誇示する必要があるからだ。
– 北京は、米国による中国市場へのチップ販売、特に Nvidia や AMD の AI チップの販売を阻止する可能性が高い。これは、国内代替品の開発を奨励・加速させ、米国技術への依存を排除するためである。
– 北京は、中国を犠牲にして米国と緊密に連携する米国の同盟国を例示するかもしれない。例えば、オランダが中国の所有者から Nexperia を盗んだ最近の事件は、厳しい対応が取られる可能性が高い。
米国のおべっか使いたちは犬の飼い主と同じ礼遇を受けることはなく、ヨーロッパは格好の標的だ。家臣は家臣としての代償を払うことになる。おそらくオランダの元首相マルク・ルッテは、「ダディ」のところへ行って、この不公平について泣きつくことになるだろう。
会談後、米中間の緊張は緩和されるという見方もあるが私はその見方には賛同しない。
数ヶ月前、インドが米国から 50% の関税を課された後、中国とインドの和解に楽観的な見方があったとき、その例えを見つけることができる。モディは天津を訪れ、上海協力機構(SCO)の会議に出席した。同じフレームに、習、プーチン、モディが写った写真があった。当然のことながら、モディは、中国との協力関係を構築する真意はなく、ただ機会主義的に米国に対する不快感を示していただけだった。彼は米国との交渉材料を得るためのポイント稼ぎを試みていた。米国は些細な譲歩で簡単にインドを引き戻せるのだ。まさにその通りになったようだ。インドは主君(米国)の機嫌を取るため、ロシア産原油の購入停止に同意した。
北京は米国との構造的対立において冷静である。習主席は現時点で、レアアースを武器にトランプを詰ませることに興味はない。その代わり、長期的な管理された競争を追求している。
北京は依存度を減らす基盤整備を進めている。例えば、商品取引のドル離れを推進するため、オーストラリアの鉱業会社BHPに鉄鉱石の人民元決済を強制した。農業・エネルギー購入の多様化を図り、新興市場、特に一帯一路参加国への貿易転換を進めている。
中国が米国とのデカップリングを進める次の段階は、より痛みの少ないものとなるだろう。北京は輸出の焦点をEV、リチウムイオン電池、太陽光発電、集積回路(IC)などの高付加価値製品へ移行させている。こうした輸出は米国市場への依存度が低く、輸出全体のわずか1~2%に過ぎない。したがってさらなる貿易縮小があっても中国への影響は限定的だ。逆に、米国が現在中国から購入しているのは、他国から調達できない品目である。
さらに、中国は将来の米国との報復合戦において多数の切り札を持っている。中国は米国大手製薬企業が依存する重要原料(KSM)や医薬品原薬(API)で支配的地位を占める。またハイテク生産やグリーン移行に必要な各種重要鉱物においても優位性を持つ。
現時点で、習近平は完全なデカップリングではなく安定と休戦を選んだ。これは中国の戦略的思考を反映している――国家間の競争はチェスではなく囲碁(囲碁は「囲いゲーム」)であるという考え方だ。
囲碁とチェスはどちらも2人用の完全情報ゼロサム・ボードゲームだが、それ以外の前提はほぼ全て異なる。一方のゲームは王を詰ませることが目的であり、もう一方は領土の奪い合い——より多くの地を囲い込むことだ。
囲碁の目的は、チェスのように相手の王を詰ませることではなく、相手より多くの領地を囲い取って主張することだ。チェスは単一の決定的な一手による勝利を目指す。囲碁はより戦略的な領土戦争であり、長期的な思考と競合する利害の均衡を必要とする。囲碁はチェスよりもはるかに複雑で、10の170乗もの局面(観測可能な宇宙の原子数よりも多い合法的な位置)が存在する。結局のところ囲碁は戦略的なゲームだ。盤面全体の判断、長期的なトレードオフ、「小戦に負けて大局に勝つ」という考え方である。
習近平はトランプの単純明快なチェスの手に対して、囲碁の長期的戦略を打っている。そのメッセージは微妙で、今のところは米国に「中国は実際に強硬手段に出る必要なくとも、強硬手段を取る能力がある」ことを知らせている。ワシントンがこれを理解したかどうか、これからわかるだろう。
https://huabinoliver.substack.com/p/where-are-we-now-in-the-trade-and-c39