No. 2842 ホワイトハウスの愚か者

The White House Fool

by Paul Craig Roberts

売春婦メディアが3年間、ウクライナが勝利しロシアの敗北が目前だと吹聴してきたように、今やイランの敗北は目前だと報じている。もしそうなら、なぜ今トランプは米軍派遣を口にしているのか?なぜCIAはクルド人指導者に巨額の賄賂を提示し、クルド人男性をイスラエルのためにイランで死なせようとしているのか?なぜ米軍需企業の幹部が突然国防総省に呼び出され、ワシントンの枯渇したミサイル供給をいかに迅速に回復できるか検討しているのか?なぜ日本と韓国は供与されたミサイルを米国に返還するよう命じられたのか?本当に負けているのは誰なのか?

この疑問に答えるには、戦争プロパガンダを超越する必要がある。トランプは、米国憲法が要求する米国議会ではなく、ネタニヤフの要求でイスラエルのための戦争に米国導くことを許しただけでなく、適切な準備も代替案もなかく米国を戦争に導くことを許したようだ。

トランプは、イラン政府が極めて脆弱で、数発の爆弾とミサイルを落とせばイラン政府は崩壊し、トランプとネタニヤフが傀儡政権を任命できると考えていたようだ。米軍からの警告にもかかわらず、トランプはもしイランが米国とイスラエルのミサイル供給量を超えて持ちこたえた場合、米国が直面する状況がどうなるかを全く考えていなかった。この種の疑問が完全に見落とされていたという事実は、トランプ大統領の信用を完全に失墜させる。

加えて次のような状況にある:米国は自国の空軍基地や海軍基地が置かれている小さなアラブの都市国家すら守れないことを証明した。トランプは中間選挙を控え、国民の大半がイスラエルのための彼の選択した戦争を支持していない。どうやらイランはまだ極超音速精密誘導ミサイルを使用していないようだ。ワシントンとイスラエルの防空ミサイルが枯渇した時点で、それらを用いて米国、イスラエル、そしてアラブの産油国を厳しく懲罰する計画らしい。ホルムズ海峡は事実上封鎖された。米国では既にガソリン価格が1ガロンあたり0.70ドル上昇している。トランプは米海軍がペルシャ湾のタンカー護衛に当たると表明したが、これは米海軍をイランによる容易な破壊に晒すことになる。おそらくイランは、トランプが核兵器で報復する恐れから米空母を沈めてトランプに屈辱を与えることはしないだろう。しかしイランが存亡をかけた戦いだと理解した場合、ガザのように滅びるか核兵器で滅びるかは、指導部にとって重要ではないかもしれない。石油供給が停止し石油収入が枯渇すれば、同地域からのペトロダラーは米国内のAIデータセンターを支えられなくなり、大規模な株式市場収縮を引き起こす可能性がある。富の減少とインフレ上昇に挟まれた米国民はトランプに反旗を翻し、中間選挙で彼を追い詰めるだろう。そうなればトランプは弾劾から身を守る術を失う。これほど多くの潜在リスクを同時に招き、しかもイスラエルのためにとは、無謀この上ない。トランプがイスラエルの「大イスラエル」構想のために仕掛ける戦争が、アメリカに何の利益をもたらすわけがない。

トランプは面目を保たねばならない。何ができるのか? 慣れない困難な地形を持つイランのような大国に軍隊を送るのか? 軍隊を送って壊滅させられたらトランプに残された選択肢は何か? イランを核攻撃するか、それともイスラエルが核攻撃するのか?

トランプがイランを攻撃した無謀な行動が核戦争の扉を開いた可能性は十分にある。

ロシアと中国は既に同盟国を守れなかったことで信用を失っている。まずシリア、ベネズエラ、そして今度はイランだ。これでトランプに両国が張り子の虎だと確信させるだろう。もしイランが負ければ、それはBRICSと中国のシルクロード構想の終焉を意味する。仮にトランプがベネズエラ、イラン、そしてその間にキューバやグリーンランドなど他国でも成功を収めれば、ロシアと中国に対するアメリカの覇権回復をさらに推し進めるだろう。この時点で、ロシアと中国は現実を無視する愚かな政策を続けることができなくなるだろう。おそらく両国の指導部は、ついにウォルフォウィッツ・ドクトリンを読むだろう。

私の知る限り、アメリカ大統領がネタニヤフによって戦争に導かれることで起こり得る大惨事を認識している者は多くない。そして、それを認識している数少ない者たちは非愛国者と見なされている。

トランプのエゴは人類全体にとって壊滅的な決断を下したことを認めるのを決して許さないだろうし、トランプが撤退し、アメリカの外交政策の主権と独立をイスラエルの支配から回復させる行動を取ることも許さないだろう。ただトランプは、完全にシオニストに支配されているのだ。

おそらくプーチンと習近平は目を覚ますだろうが、その兆候は見られない。両者とも国家の存続よりも貿易協定に関心があるようだ。

事態はもはや誰の手にも負えず、独自の道を進んでいる可能性がある。人類の愚かで無謀な指導者たちは人類を裏切った。

ギルバート・ドクトロウは、ネタニヤフがトランプだけでなくプーチンをも不安定化させたのではないかと疑問を呈している。

The White House Fool