US Economy Is Based on a Ponzi Scheme
Michael Hudson
我々がまたしても大規模な金融危機の瀬戸際に立っているかもしれないという兆候が、ますます強まっている。ウォール街の銀行ゴールドマン・サックスの元CEOは、ブルームバーグのインタビューで、新たな金融危機のにおいがすると警告した。この危機は一体どこから来るのか? 一部の金融アナリストは米国のプライベート・クレジット業界を懸念している。この業界は近年爆発的に拡大した。2008年の金融危機後、銀行に対する規制が強化されたためだ。その結果、ウォール街の多くの企業が民間企業への融資を開始し、プライベート・クレジット業界は急成長した。現在、この業界は3兆ドル規模に達しているにもかかわらず、規制されていない。そしてこうした民間信用企業の多くは、現在債務不履行に陥っている経営不振の企業に不良債権を貸し出していた。私たちはプライベートクレジット業界の問題点と新たな金融危機への懸念を解説する短い動画を公開した。しかし、その動画は問題の簡単な紹介に過ぎない。ここにある極めて現実的な危険性について、さらに詳しく解説することが重要だと考えた。そして、この問題を理解する上でインタビューすべき最適なゲストは、経済学者のマイケル・ハドソン氏だと考えた。マイケル氏は、『Killing the Host: How Financial Parasites and Debt Destroy the Global Economyを含む多くの著書の著者である。
ベン・ノートン:今日は新たな金融危機が現実のものとなる可能性について話そう。ブルームバーグやフィナンシャル・タイムズといった金融メディアを読めばわかるように、最近、新たな金融危機の可能性について頻繁に警告が発せられている。その発端は、様々な問題を抱え、デフォルト率が上昇しているプライベート・クレジット業界から始まる可能性がある。そしてそれが波及して銀行セクターや他の産業へと広がる連鎖反応を引き起こす恐れがある。さらに、AIバブルやイラン情勢、エネルギーショックといった問題もある。今日は話すことが山ほどあるが、まずはこの危機について話そう。米国はまたしても大規模な金融崩壊の瀬戸際に立っていると思うか?
マイケル・ハドソン:立っている。この問題の根本はまさに2008年、より具体的にはオバマ大統領が就任した2009年に遡る。ジャンク・モーゲージ危機や銀行詐欺危機に対する彼の解決策は、経済をポンジ・スキームに変えることだった。彼は銀行を救済する必要があった。銀行は多くの不正な融資や不良債権を抱えていたため、提供した高金利のジャンク・モーゲージから回収できる能力を超えており、主要な銀行は負の純資産状態に陥っていた。その解決策とは何だったのか? それはゼロ金利政策(ZIRP)だった。連邦準備制度理事会(FRB)は、2008年および2009年の危機時の高水準から金利を大幅に引き下げ、銀行が借り入れ可能な水準である0.1%にまで下げた。
FRBはコンピュータ上で電子マネーを創出し、それを極めて低い金利で銀行に貸し出すことができた。そしてこう言った。「さあ銀行諸君、0.1%の金利で望むだけのお金を提供する。これを経済に貸し出し、不動産、株式、債券の価格を支え、無謀な銀行セクターが生み出した負の資産価値を回復させるのだ」。
こうして銀行は2つのことを行った。一つはFRBから借り入れた0.1%の資金をそのまま預けておくだけで何もしなくても数パーセントの利益を得ることができた。なぜならFRBが「我々の仕事は民間経済から銀行部門へ資金を移し、金融セクターを救済することだ。それが中央銀行の役割であり、我々は商業銀行を代表しているのだ」と言ったからだ。「だから我々は銀行準備金に対して利子を支払い始めることにした」。これはFRBが以前には行っていなかったことだ。「しかしそれ以外の資金は経済に貸し出してほしい。金利マージン、つまり借り手から徴収する金利と、我々から借り入れるコスト(これはほぼゼロに等しい)との差額による利益をできるだけ多く得てほしい」。
しかし、銀行は特定の企業への融資を審査するために設立されたのではない。通常、銀行は融資の担保によって利益を得ている。米国や英国において銀行の信用供与は産業資本への投資資金として行われるものではない。もしあるとすれば、それは株式市場の役割であり、あるいは利益を再投資するのは企業の役割である。
銀行は、すでに発行された、またはすでに存在する資産、つまり不動産、株式、債券に対して融資を行う。だから銀行は仲介業者に資金を貸し出し、「君たちが仕事をして、買収する企業を見つけろ」と言うのだ。
こうして民間資本が企業を買収し、実質的に企業を略奪することで利益を上げるようになる。英国のテムズ・ウォーター社は、企業がどのように略奪されるかの典型例だ。例えば病院は、こうしたプライベート・エクイティ企業の標的となっていた。彼らは病院を訪れ、こう言う。「あなたの病院の不動産を別の法人に売却する。そして、あなたはその売却益を特別配当の支払いに充てることに同意する。そうすれば、不動産を所有する代わりに、長期リース契約で賃料を支払うことになり、そのための資金は我々が貸し付け、あなたは我々に金利、管理手数料、延滞罰金を支払うことになる」。
その結果、多くの病院が破産に追い込まれた。プライベート・エクイティは、アメリカ経済の広範な分野を破綻に導いたのだ。英語に「エンシッティフィケーション(enshittification)」という新語が加わった。これは、企業の事業品質を単に切り下げ、経費を削減し、労働者をより酷使し、残業を強要し、コストを削り続けることを指す。
労働力が減少した時、労働者が去った時は、残った労働者にその穴埋めをすべてさせた。生産性は向上した。こうして米国には搾取的で略奪的な金融システムが生まれた。
一方、この略奪的な金融システムは金融化された企業に莫大な利益をもたらしたが、それらの企業は利益を新たな資本形成や新工場、生産手段への投資には使わなかった。投資はすべて海外で行われ、中国やその他のアジア諸国に送られたのだ。
企業のキャッシュフロー利益および余剰利益の92~94%は、配当金の支払い、あるいは自社株買いに充てられていた。つまり企業は自社株を買い戻して株価を押し上げ、株式市場ブームを人為的に作り出していたのだ。そうすることで利益をますます減少する株式数で割り、1株当たり利益が増加しているかのような錯覚を生み出していたのである。その利益は、実際には「稼いだ」ものではなかった。寝ている間に入ってくる金は稼いだものではない。それは経済的レント、つまり略奪的な方法で得た不労所得である。
こうして金融システムは略奪的なシステムへと変質した。そして2009年以降の金融資産のこの莫大な増加分はすべて、人口の上位10%が支配する金融・不動産セクターに蓄積された。
アメリカ国民の40%は貯蓄を全く持っていない。彼らは一触即発の状態で生活している。そして今、物価が上昇している。彼らはクレジットカードの借金、個人債務、自動車ローン、特に学生ローンの返済がますます遅れていく状況に追い込まれている。だから支払いができない。そして、下位60~80%の層は、ほとんど収入が増加していないことに気づく。かつての中産階級は、もはや真の意味での「中間」にはいない。
結局のところ、中産階級の人々もブルーカラー労働者と同様に賃金労働者だった。彼らは家賃や住宅ローンの支払いに高騰するコストを負担せざるを得ない。住宅価格は、低金利によって膨らんだ債務をさらに増大させることを可能にした、その低金利によって吊り上げられているのだ。
さて、金利が上昇している今、コスト圧迫がどれほど深刻か想像に難くない。
消費者――アメリカでは賃金労働者を指す婉曲表現だ――から、経営圧迫にさらされている企業に至るまで、債務不履行の巨大な波が起きている。これはすべて、本質的にポンジ・スキームである経済の余波の一部である。つまり債務者に利息を支払うための資金を貸し付けることで、経済が債務の支払いを続けられるようにする仕組みなのだ。
クレジットカード保有者はまさにそうしている。彼らは毎月の支払期日にクレジットカードの支払いを送金するが、その一方でクレジットカードの負債は増え続け、それに伴い毎月の支払い額も膨らんでいく。しかし、クレジットカード会社が消費者に、債務の支払いを滞りなく行い、延滞手数料を支払わずに済むよう、資金(信用)を貸し続ける限り、このポンジ・スキームは維持され続けるのだ。
ポンジ・スキームとは、指数関数的な成長率を維持するために、ますます多くの資金が投入され続けなければならない仕組みである。企業においても同様のことが起こる。企業の売上が落ち込み、労働力が圧迫されるにつれ、もし米国で、賃金労働者がガソリン代や、ガソリン価格の上昇も一因となって高騰する電気代、その他あらゆる独占的な支出に、より多くの資金を使わざるを得なくなれば、彼らが生産する商品に費やす資金はますます少なくなっていくのだ。
つまり、米国で販売する商品やサービスを生産する企業は、売上高が減少するだけでなく、増大する負債や、経済が戦争経済への移行によって金融危機に追い込まれるにつれて膨らみ、さらに増額されている借入金利を支払うための利益も減少することになる。これは、解雇が発生し、企業が倒産するということを意味する。
農家はもはや農業を続けられなくなる。化学メーカーは以前と同じ量の製品を生産する余裕がなくなる。電力会社は、規制当局が電気料金を引き上げない限り、ガスや石油の高騰した価格を支払う余裕がなくなる。そしてそれは、電力を使用する企業が事務所を閉鎖せざるを得なくなることを意味する。
我々は、かつての大恐慌に匹敵する事態に直面しようとしている。そして不況はインフレではない。デフレなのだ。誰もその点を理解していないようだ。
彼らは「金利が上がれば、債券を保有する富裕層は以前ほど多くの商品やサービスを購入できなくなる。だから、労働者の購買力を低下させることで彼らの信用による購買力を安定させなければならない」と考える。経済は金融セクターに犠牲にされるのだ。それが新自由主義の本質である。これこそが金融資本主義の本質であり、それが産業資本主義と大きく異なる点だ。
我々はポスト産業社会に生きており、それは銀行によって運営される金融社会だ。銀行は中央銀行を支配し、中央銀行は政府によって支配され、[政府は政治家によって運営されている]、その選挙資金は金融・不動産セクターからの献金によって賄われている。
つまり、すべてが一種の自己増殖的な循環の流れなのだ。そしてポンジ・スキームは常に崩壊で終わる。それが、他の投資家たちを米国や欧州の経済から撤退させようとしている原因だ。だが、彼らはどこへ撤退すればいいのか? そこが問題だ。彼らに何ができるのだろう?
ベン・ノートン:この状況に対する米国政府の対応、あるいは対応の欠如について話したい。なぜならトランプ政権が金融業界と完全に癒着していたことがいま明らかになっているからだ。トランプの2024年大統領選キャンペーンへの最大の献金者の一人は、ウォール街で最高額の報酬を得ている企業幹部、スティーブン・シュワルツマンだった。彼は世界最大のオルタナティブ資産運用会社であるブラックストーンのCEOだ。そしてブラックストーンは巨大なプライベート・エクイティ部門を擁している。
そして、ウォール街のトランプの友人や支援者たちは2025年8月に彼に対し、極めて冷笑的な大統領令に署名するよう圧力をかけた。そのタイトルは「401(K)投資家に対するオルタナティブ資産へのアクセス民主化」だ。これを見ると、まるで退職後の生活のために401(K)プランで貯蓄している一般労働者を支援するかのようである。
しかし実際これはウォール街が出口流動性を確保し、これらの恐ろしい有毒資産を一般の人々に押し付けようとする試みだった。なぜならこの危機に至る数ヶ月間、ウォール街では、プライベート・クレジットやプライベート・エクイティ・ファンドによって膨大な量の不良債権が作り出されており、そのツケを誰かに押し付けようとしていることが誰の目にも明らかだったからだ。
そこでトランプがでてきて、「ああ、我々はアクセスを『民主化』する」と言い出した。一部の金融会社が実際にウェルス・マネージャーに報酬を支払っているという報告もある。彼らはファイナンシャル・アドバイザーに報酬を払い、一般の人々に「ほら、このファンドなら年率10%の利回りが得られる」と言って、あるプライベート・クレジット・ファンドへの投資を強要させている。そして、それはリスクがないことになっている。
これは2007年から2008年の金融危機の直前に、住宅ローン担保証券(MBS)をすべて束ねた債務担保証券(CDO)で起きた事態と、非常に多くの類似点がある。当時、信用格付け機関は、これらのMBSやCDOは素晴らしいものであり、リスクがなく、AAA格付けであると主張していた。しかし、明らかにそれらはすべてゴミ同然だった。
そして今日、ロビンフッドのようなアプリが広く利用される中で見られるのは、多くの一般の人々、特に若い男性たちが、実質的に貯金をギャンブルのように浪費し、リスクの高いデリバティブ取引に手を出そうとしていることだ。中にはこうしたプライベート・クレジット・ファンドのETFを買い漁っている者もいる。要するに、ウォール街の洗練された金融アナリストや企業は、こうした商品を一般の人々に押し付けようとしている。そして、多くの人が予見していたこの危機の直前において、ホワイトハウスがこれを助長していたという事実こそが、最も許しがたいことだ。これについてあなたはどう見ているのか?
マイケル・ハドソン:まさにその通りだ。投資会社が投資家と取引する際、いわゆる「一般の人々」の大部分は、実際には年金基金だ。私たちは年金基金資本主義がポンジ・スキームの救済に利用されている状況に直面している。
言い換えれば、企業が投資家やファンドマネージャーをみると何を考えるだろうか?「どうやってこの人たちから金を搾り取ろうか?」だ。
いまブラックストーンのような超富裕層のファンドはこう考えている。『今はどうやって儲けるかではない。我々は不況期に突入しつつあり、実際にはもう儲けられないと分かっている。これ以上儲かる余地はほとんどない。市場はこれ以上上がらない』。
『しかし我々ができることは損失を最小限に抑えることだ。我々が望むのは、損失を出さないようにすることだ。しかし、損失は避けられない。どうするか?労働者にそのツケを払わせよう。年金基金の運用者や一般市民をカモに変えてしまおう』ドナルド・トランプの仮想通貨[コイン]やメラニア[コイン]を買ったカモたちのようにね。あれは一時的に莫大な値上がりを見せたが、その後95%も暴落した。
ドナルド・トランプは、ドナルド・トランプ・ウォッチを製造する会社を持っていた。彼は消費者価格の引き下げを公約していたが、あの時計は1万ドルもの法外な価格で販売されていた。ところが、その価格は95%も下落した。これこそが消費者価格の引き下げというのか!
これらはすべて詐欺だった。金融システムはいかにしてアメリカの消費者に自信を持たせ、ウォール街というカジノで自分のお金をリスクにさらす気にならせるかという、一種の信頼ゲームへと変貌してしまった。そのカジノでは常にカジノ側が勝ち、プレイヤーは結局のところ負ける。そもそもカジノが作られたのはそのためなのだ。それがゲームの本質だ。
そう、ウォール街とはそういう消費者向けのゲームなのだ。「ほら、こんなに高い利子がついている」と人々を説得できれば、元本を失うという事実を無視させてしまう。確かに10%の利子は得られるが、その後、投資した全額を失うことになるのだ。
1994年に私がロシアにいた時、地下鉄に乗っていると、至る所に「この銀行に預ければ預金で33%の利益が得られる」といった広告が貼られていた。あれはすべて巨大な詐欺だった。アルバニアは、おそらく最も典型的な詐欺の形態だったと思う。経済全体、消費者、そして消費者や貯蓄者による最大の単一投資が、基本的にポンジ・スキームの中にあった。それがすべて消し飛んだ。
つまり、我々が目撃しているのは、アメリカ経済の「アルバニア化」だ。それは、ある意味、エリツィン時代のロシアに似ているだろう。
元本は確実に失われるが、もし短期的な視野しか持てず、視野が狭ければ、「まあ、しばらくの間は10%の利益が出た」と思うだろう。それが政策なのだ。
年金基金資本主義とは、常に、賦課方式や公的年金制度の代わりに、金融セクターや金融化された年金制度に資金を供給するために賃金を差し控える試みであった。
つまり、米国の年金や貯蓄が、略奪的な民間資本企業によって金融化されてきたその全過程は、最初から搾取的なものであった。それがモデルだ。バブルを作り、高値で売り、そして労働者や年金基金に、かつては彼らの資産だった株式、債券、その他の金融債権といったすべての資産を売りつける。そして彼らに、これが経済を救う方法であり、中期的には全財産を失う代わりに、短期的には自分たちが金持ちになれると説得する。それが危機の際に起こる現象だ。
ベン・ノートン:まさにその通りだ。米国経済の全体的な状況について話したい。なぜなら、米国によるイランへの侵略戦争によるエネルギー危機が原油価格の急騰を引き起こしているから。そして今、民間信用の危機も目撃している。最近、米国経済には他にもいくつかの大きな問題が見られる。あるグラフが話題になっているが、それによると、現在、米国の上位10%の富裕層が経済における消費の半分を占めていることが示されている。そしてもちろん、米国経済は脱工業化が進んでおり、主に消費によって支えられているのだ。
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