No. 1559 米国、日本に憲法の平和条項の取り消しを迫る

米国、日本に憲法の平和条項の取り消しを迫る

中国と日本は戦争を避けるために、今、最終的に合意しなければならない

by Eric Zuesse

米国政府は、日本政府に対して、米国が1947年に制定した憲法を改正し、日本がいかなる国にも侵略することができない条項(第9条)を削除するよう求めている。同条項の内容は{1}以下の通り。

 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 

前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

この改正を求めるのは、第二次世界大戦の同盟国であった中国を、(1945年以降ずっと)日本がそうであったように米国の属国にするための非公式な戦争で日本に決定的な役割を果たさせるためである。

中国が(支配権を取り戻すために)「中華民国」を侵略する時、または仮に侵略した場合、米国は特に日本に中国を侵略してほしい。台湾は中国の省である。日本は1895年に台湾を中国から奪い取り、米国政府は1945年、日本に第二次世界大戦の降伏条件の一部として中国に返還させた。それを今、米国政府は覆そうとしている。それによって日本を1945年に占領したように、今度は中国を征服しようとしている。

台湾が中国から切り離された場合のみ、米国は中国に勝つことができ、そうなれば米国は史上初の全てを包囲する帝国として世界の覇権を握るという目標に向けて大きく前進するだろう。

 つまり米国は、日本と対立し中国を支援するという第二次大戦中の位置づけを100%覆し、中国に対抗し日本を支援するようになったのである。そのために米国が書いた日本国憲法の平和国家条項の削除が必要になるだろう。

もし米国が日本の「交戦権」を復活させることに成功したら、アメリカ帝国のために台湾を奪取し、中国を征服しようとする米政権の試みに、日本が重要な援助を提供できるようになる。

2022年6月9日、アメリカ帝国が第二次世界大戦の敵であったドイツと日本の両方に、自国のためでなくアメリカ帝国のために再軍備するよう指示したという事実を最初に指摘したのはサルマン・ラフィ・シェイクだった。

(言い換えれば、帝国がアメリカなら帝国主義的ファシズムはOKだが、ドイツや日本が帝国ならNGというのが米政権の見解である)。彼は「ワシントンはいかにして太平洋をNATO紛争の新たな劇場に変えようとしているか」{2}という見出しで、次のように指摘した。 

興味深いことに日本の軍備増強の動きはヨーロッパでドイツが国防費を1,000億ユーロに大幅増額すると決めたのと共通している。米国は、ライバル国である欧州のロシアとアジアの中国の周辺に強力な軍事力を確立するために、このような重要な変化を積極的に支援しているが、それによって新しい形の紛争が発生する可能性が高く、大規模な対抗同盟が生まれる可能性もある。

彼はさらにこう言った。

 日本の防衛予算の増加は、日米の部隊間の「相互運用性」の完全な可能性の上に成り立っていて、日本が「前方展開された攻撃能力を練習」することができるようになるのである。ここで極めて重要なのは、以下の点である。「相互運用性」の中核的な目的は、防衛ではないことだ。それは攻撃であり、つまり、日本のいわゆる「平和主義」は、ロシアや中国に対する軍事的備えが急速に高まっていることを覆い隠すために日本政府が使い、今後も使い続けるレトリックに過ぎないということなのである。 

このプロセスが米国によって積極的に支持されていることは、バイデンの東京訪問にあわせて日本の岸田文雄首相が軍事力を「抜本的に強化」すると発表したことからも明らかである。

 岸田内閣が発表した新しい経済政策案によると、この決定は「東アジアの勢力による一方的な現状変更の試み、地域の安全保障をますます厳しいものにしている」ことへの対応である。

 もしこの評価が曖昧に聞こえるなら、それは日本が米国の同盟国としてロシアや中国に対抗できる新たな軍事大国として台頭することをカモフラージュするための意図的なものである。 

実際、日本はロシアとウクライナの紛争ではすでに米国の同盟国としてロシアに対抗している。4月には日本の政府関係者はウクライナ軍がロシア軍と戦うのを助けるために、無人機や防護服などの防衛用品をウクライナに送ることを発表した。日本の自衛隊の規則では、防衛製品の他国への譲渡は禁じられているが、岸信夫防衛相はこの譲渡を「商業用」「不用品」として正当化した。日本のいわゆる「平和主義的軍国主義化」を覆い隠すためにはさらに自分勝手な正当化が考案されるだろう。 

ロシアとの緊張はさらに続きそうだ。4月、日本政府は予算増額を発表したのと同時期に、千島列島に対する姿勢を転換した。

 2022年の外交青書で日本は「北方領土は日本が主権を持つ島々であり、日本の領土の不可欠な一部であるが、現在はロシアに不法占拠されている」と述べている。この記述はこれまで係争地であった地域をめぐる緊張の度合いを高めるという意味で、大きな外交的変化である。ロシアを「不法」占拠者と呼ぶことは、ロシアのクリミア「占領」についての西側の言い分に同意していることを示している。 

現実的には、ロシア(と中国)に対する温度を上げることで、日本は自分自身をこの地域における米国とNATOの最前線の軍事的同盟国へと変えているのだ。

 米国支援の陰で進む日本の軍国主義化は、米欧がNATOを地域的な同盟としてではなく、むしろ「グローバルな」役割を自らに課すようになっていることとも関連している。4月、英国のリズ・トラス外相は、「グローバルなNATO」を提唱した。さらに、NATOは「グローバルな視点」を持ち、「インド太平洋の脅威を先取りし、日本やオーストラリアなどの同盟国と協力して、太平洋を確実に守らなければならない。そして、台湾のような民主主義国家が自らを守ることができるようにしなければならない」と述べた。

したがって、日本は当初からNATOの世界戦略、つまり、反ロシア、反中国という地政学の論理的延長線上にあるのだ。したがって東京が攻撃力強化のために再軍備することは、自国のニーズと結びついているのではなく、米国がロシアや中国を打ち破って自国の世界覇権を維持するために、世界的な反ロシア・反中連合を構築するための方法と結びついているのである。 

2022年8月21日(日)、ジャパンタイムズは全段見出しで “日本は中国の緊張の中、1,000以上の長距離ミサイルの配備を検討“{3}と報じた。

中国との巨大な「ミサイルギャップ」を縮めることを視野に入れ、日本は台湾に対する緊張が高まる中で1000発以上の長距離巡航ミサイルの備蓄を検討していると日曜日に報じられた。

 防衛省は、地上発射型の12型スタンドオフミサイルの配備を検討しており、射程は約200キロから1000キロ以上に延長することを検討している。読売新聞が未確認の政府筋の話として報じたところによると、主に南西部の島々と九州地方に配備される予定だという。

 この兵器は艦船や空からの発射も可能で、中国や北朝鮮の海岸を攻撃可能な距離に置くことができるともいう。 

防衛省はこの兵器を早期に獲得するため、今月末に発表される2023年度当初予算案に要求事項を盛り込む可能性があるという。

8月24日付ロシア『RT』は、「剣を抜く:日本は中国に対して動く準備をしているのか?北京との関係は地域貿易にとって重要だが、東京は台湾とワシントンのために全てを賭ける準備ができているのだろうか?”という見出しで{4}次のように論評した。

日本は今、台湾の自治権の継続が自国の生存に不可欠であることを公にしている。なぜか?なぜなら台湾が中国本土と統一されれば、北京が日本の南西部周辺の海上支配を獲得することになるからである。

さらに、

 かつて台湾は、中国から併合されて日本の植民地支配を受けたため親日感情が大きく高まっている。 

ウィキペディアの「中国・日本の関係」の記事{5}は、中国と日本の国民経済が互いに高度に依存していることを明確に示している。さらに、歴史的に戦争において戦勝国は敗戦国から賠償金を受け取ってきたことを読者が理解していれば (通常敗戦国は犠牲者であり、侵略者ではなかった)、 この記事は日本が一貫して中国に対する侵略者であり帝国主義者であり、日本の侵略行為によって中国が多大な被害を受けたことを明確に示しており、敗戦だけでなく戦勝国への賠償金も払わなければならなかったのである(つまり、これは中国から日本への賠償金である)。

日本の賠償金{6}について

 19世紀末から20世紀初頭にかけて清国が破綻した要因のひとつは日本が多額の戦争賠償金を要求したことである。中国は、日清修好通商条約(1871年){7}をはじめとするさまざまな条約によって、日本に巨額の銀を支払った。下関条約(1895){8}、三国干渉(1895){9}、ボクサー議定書(1901){10}など、さまざまな条約で中国は日本に巨額の銀を支払った。1894年から95年にかけての第一次日中戦争{11}の後、清国は賠償金として総額2億両(1両=約37グラム)の銀を日本に支払った。{12}

 第二次日中戦争{13}(1936年から1945年)でも中国に莫大な経済的損失がもたらされた。しかし1952年に中華民国が日本と台北条約{16}を締結した際、蒋介石{14}はこの戦争に対する賠償請求権を放棄した{15}。

同様に、1972年に日本が中国と国交正常化したとき{17}、毛沢東は{18}日本に対する戦争賠償請求を放棄した。 {19}

 つまり、1945年以来世界を支配してきた、フランクリン・デラノ・ルーズベルト(FDR)以降の米国政府は、第二次世界大戦の戦勝国であり、その(FDRを拒否した)トルーマンが作った新米帝国政権は中国に対抗し、日本を支援したのである。そしてその米国政権は属国である日本が、蛮行(中国人に対する南京大虐殺など)のために戦争負債を支払うことになるのを嫌ったため、第二次大戦が終わるとまたしても日本はその殺人、それも大量殺人の罪から逃れたのである。日本は幸運にも、世界の新しい帝国主義的ファシスト帝国であるアメリカの属国となったのである。そのため、中国はまたしても、その損失を補償されることはなかった。トルーマン新政策のもとで 中国は敵として扱われ、もはや(FDR時代のように)同盟国としては扱われなかった。これはそれ以降の米政権の政策となっており、特に最近、米政権は中国とロシアを取り込み、包括的な世界帝国を完成させようとしている。

しかし米国の対中戦争に参加すれば、日本も苦しくなる。その理由はこうだ。

日本は今、勝つか負けるかのグローバル帝国主義ゲームにおいて、米国の所有物になるか、アジア人に対する米政権の主要な執行者になるかの選択を迫られている。そうでなければ、初めてアジア諸国と一緒に、真の意味でウィンウィンの同盟国になることだ。その同盟にはアジア諸国の中で最大の国である中国も含まれる。中国はすでに日本の最大の貿易相手国であり、日本の輸出入の23.47%を占めている。二番目の貿易相手国である米国は11.27%で中国の半分以下である{20}。もし米国につけば、勝負はもっとひどいものになるだろう(もし日本が勝つとしても。そしてそれは疑わしい)。日本国民が受ける経済的ダメージは計り知れない (特に、勝負で中国が勝った場合は。そうなることはあり得ないことではない。そして、今回、日本人は、戦争で失ったものに加えて、賠償金を支払うことになるはずだ。日本にとっては、第二次世界大戦よりはるかに悪い、史上最悪の敗戦となるだろう)。

したがって中国と日本、双方の国民が幸福になるためには、日中両国の交渉担当者と、その地域の他の国々の交渉担当者は、来るべきアジア主導の世紀に向けての地域戦略を策定するために包括的な東アジア会議で一堂に会する必要がある。そこですべての帝国を否定し、すべての無駄な勝ち負けの国際ゲームを放棄するのである。

もし、これができなければ(しかも、それなりに早く)、第三次世界大戦が起こり、地球全体が破壊される可能性が高い。米国は世界征服の道を歩んでおり、それは平和的に終わるか、さもなければすぐに第三次世界大戦によって終わるだろう。日本は重要な決断を下すことになるだろう。 (日本は1945年以来、従順な属国であったため、戦争に賛成すると私は予想している)。

Links:

{1} https://archive.ph/Ii7ia#selection-245.74-247.208

{2} https://archive.ph/nFucc

{3} https://archive.ph/k60Y2

{4} https://archive.ph/OWpKg

{5} https://en.wikipedia.org/wiki/China–Japan_relations

{6} https://archive.ph/qWQWs#selection-4195.0-4275.4

{7} https://archive.ph/o/qWQWs/https://en.wikipedia.org/wiki/Sino-Japanese_Friendship_and_Trade_Treaty

{8} https://archive.ph/o/qWQWs/https://en.wikipedia.org/wiki/Treaty_of_Shimonoseki

{9} https://archive.ph/o/qWQWs/https://en.wikipedia.org/wiki/Triple_Intervention

{10} https://archive.ph/o/qWQWs/https://en.wikipedia.org/wiki/Boxer_Protocol

{11} https://archive.ph/o/qWQWs/https://en.wikipedia.org/wiki/First_Sino-Japanese_War

{12} [76] https://archive.ph/qWQWs#cite_note-76

{13} https://archive.ph/o/qWQWs/https://en.wikipedia.org/wiki/Second_Sino-Japanese_War

{14} https://archive.ph/o/qWQWs/https://en.wikipedia.org/wiki/Chiang_Kai-shek

{15} https://archive.ph/o/qWQWs/https://en.wikipedia.org/wiki/Second_Sino-Japanese_War

{16} https://archive.ph/o/qWQWs/https://en.wikipedia.org/wiki/Treaty_of_Taipei

{17} https://archive.ph/o/qWQWs/https://en.wikipedia.org/wiki/People’s_Republic_of_China

{18} https://archive.ph/o/qWQWs/https://en.wikipedia.org/wiki/Mao_Zedong

{19} [77] https://archive.ph/qWQWs#cite_note-77

{20} https://archive.ph/y7ydq

https://www.globalresearch.ca/us-presses-japan-cancel-constitution-peace-clause-china-japan-must-thus-finally-agree-now-avoid-war/5791364