No. 2714 トランプ、習、そして韓国でのG2

Trump, Xi and that G-2 in South Korea

by Pepe Escobar

中国は心配していない。技術面の見通しでは今後2~3年の間、米国から何も必要としないだろう。

前宣伝が大きかったG2会談は、来て去っていった。駄々っ子のようなトランプ関税は一時休戦に代わったようだった。

当然ながら「貿易摩擦の緩和」のような、多くのスピンがあった。しかし実質的に重要だったのは、韓国での1時間40分に及ぶ議論の末に笑顔の握手で締めくくられたものの、完全な「合意」には至らなかったことだ。

少しでも知能がある者ならトランプが北京から何を搾り取りたかったかは最初から分かっていた。

本質的には3つのことだ:

  1. レアアース輸出規制の緩和。なぜなら、巨大な米軍産複合体とその関連ハイテク産業群は、サプライチェーンの断絶に影響受けることがあってはならないから。サプライチェーンの構築には少なくとも5年はかかるのだ。
  2. 中国に米国産農産物、特に大豆を大量に購入させること。さもなければトランプの支持基盤が反乱を起こし、中間選挙はおろか次期大統領選の勝利も絶望的になる。スティーブ・バノンは既に公の場で、トランプが再出馬するだろうと言っている。
  3. 中国に高値な米国産石油を大量購入させると同時に、ロシアからのエネルギー輸入を削減させる。そうすなればモスクワは、ウクライナ問題で「交渉のテーブル」に戻ることを「強制」されるだろう。

ロシア・中国包括的戦略的パートナーシップにおいてエネルギーが果たす役割を考えれば、この3つ目の議論は中国が検討すらする可能性は最初からなかった。

結局、項目1と2でわずかな譲歩があったが、内容は非常に曖昧だった。

その一方で中国商務省は正式に、米国は10%のいわゆる「フェンタニル関税」を撤廃し、さらに1年間、香港やマカオといった「一国二制度」の先駆地域を含む全ての中国製品に課している24%の報復関税を凍結するだろうと発表している。

大豆の譲歩は予想されていた。ブラジルは自国産大豆の価格をトン当たり530ドルから680ドルに引き上げるという、賢明とは言えない戦略を取ったのだ。北京はBRICSの兄弟国であるブラジルからの追加購入に再考を迫られていた。中国はブラジルにとって最大の貿易相手国でもある。北京は米ドル安と米国農家が10%値引きに応じる豊作を組み合わせ、結局は好条件で取引を成立させた。おまけにサーカスの団長(トランプ)の国内支持層をなだめるという副次的な利益も得たのだ。

「巨大船」の操舵

トランプが、おそらく自身の妄想に過ぎない取引を自慢する代わりに、中国がこのG2会談をどう解釈したかに注目したほうがいい{1}。

強調されたのは協力、トランプの気まぐれへの対応、そして長期的視野に立った微妙な歴史の教訓だ。例えば習主席が用いた表現は、典型的な比喩的な中国語だ:

風や波や挑戦に直面しても、我々は正しい航路を堅持し、複雑な地形を航行し、米中関係という巨大な船が着実に前進するよう確保すべきである。

他の中国閣僚の声明は、習主席の「巨大な船」比喩よりもさらに踏み込んでいた{2}。「相互達成と共同繁栄」という概念を強調している。これは中国当局からすれば目新しいものではない。しかし驚くべき明示的な声明があった:中国の発展と復興、そしてトランプ大統領の『アメリカを再び偉大に』という目標は、互いに排他的なものではない。

つまり北京指導部は、今や中国の新たな強さと「客観的状況」、つまり地政学的・地経学的なチェス盤の構図について、十分自信を持っている。だから米中が必ずしもゼロサムゲームの深淵に落ちる必要はないと考えているのだ。

トランプ自身がこれを完全に理解しているかはわからない。彼に助言する様々な反中派は明らかに理解していない。

また、今週初めにクアラルンプールで開催された年次ASEANサミットに組み込まれた複数の首脳会談で起きたことを踏まえ、韓国でのG2会談を位置付けることが重要だ。これについては既に{3}で論じた。

ASEAN+3(中国・日本・韓国)とRCEP(アジア太平洋の大半を網羅)の貿易連携強化は、東アジアが協調して米国の関税暴走に対抗する姿勢を示している。

そして、地球規模での人民元化の進展という重要な動き{3}についても、今週北京はアラブの石油君主国との石油取引における人民元決済を正式に拡大すると同時に、BRICS諸国およびパートナー国に対し、中国のクロスボーダー銀行間決済システム(CIPS)、つまりデジタル人民元の利用を呼びかけた。

並行して、李成剛商務次官兼中国国際貿易代表は、レアアース輸出規制措置が、中国のグリーン技術製品貿易に与える影響を明確にした。

彼はこう述べた。これらの輸出管理は、何よりも安全保障の向上と結びついている:

グリーン開発は開発理念である(…)安全保障と開発の関係において(…)要するに、安全保障を確保することはより良い開発に不可欠であり、より良い開発は逆により強固な安全保障を保証するのだ。

グローバル・サウス諸国はこれを理解するだろう。しかしペンタゴンは必ずしもそうではない。

半導体や台湾に関する言及は一切なかった

G2直後、習近平は第32回APEC経済リーダーズ会合第1セッションで引き続き脚光を浴び、「アジア太平洋共同体」(概念にすぎない空虚な「インド太平洋」ではない)の利益となる包摂的な経済グローバル化を推進する5項目提案を行った。

習はグローバル・サウス諸国に直接訴えかけた:「多角的貿易体制を守る」ための「共同の努力」を呼びかけ、「開放的な地域経済環境」の構築、「産業・供給網の安定と円滑な流れ」の維持、貿易のデジタル化・グリーン化推進、「普遍的利益をもたらす包摂的発展」の促進を求めた。

これはトランプ2.0の政策とは明確に異なる。

中国は2026年にAPECを、米国は2026年にG20を主催することになっている。今回の韓国でのG2は確かに象徴的な一時停止、あるいはタイムアウトと見なせるかもしれない。しかしトランプが次に何を企んでいるかは、彼自身を含め誰も知らない。

最後に二つの重要な点は、高度な半導体輸出規制に関する米国の譲歩の可能性について、双方が一切言及しなかったことだ。つまり合意は成立しなかった。中国は心配していない。技術予測では、今後2~3年の間、米国からの技術提供は不要と見ている。

台湾問題についても一言も触れられなかった。予測不能な状況だが、おそらく誰かがトランプの耳元で(彼は読まないから)Zhou Boの最新の鋭いコラム{4}の内容を囁いたのかもしれない。

だから挑発やエスカレーションはない。少なくとも現時点では。

Links:

{1} https://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/xw/zyxw/202510/t20251030_11743886.html

{2} https://www.guancha.cn/ShenYi/2025_10_30_795138.shtml

{3} https://sputnikglobe.com/20251029/pepe-escobar-how-asean-keeps-its-centrality-between-china–us-1123037794.html

{4} https://time.com/7327487/trump-us-china-taiwan-war/

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https://strategic-culture.su/news/2025/10/31/trump-xi-and-that-g-2-in-south-korea