Trump’s failed China trip shows his trade war backfired, and US corporations are desperate
ドナルド・トランプは米国大手企業12社の億万長者CEOらとともに北京を訪問した。中国に要求に応じるよう圧力をかけることができなかったことは、ワシントンが貿易戦争に敗北したことを示している。
by Ben Norton
ドナルド・トランプの5月の北京訪問は現職大統領の中国訪問として2017年以来初めてのことだった。今回の訪中を理解する上で、会談を要請したのは米国側であり北京側から提案したわけではないという点を強調することは重要である。
ここで疑問が生じる。なぜトランプは中国の習近平国家主席との会談をそこまで切望していたのか?
短い答えは、米国経済が深刻な危機に瀕しているからだ。
トランプ政権の最初の任期中に米国が中国に対して開始した攻撃的な貿易戦争を、2025年にはさらにエスカレートさせ、それは見事に裏目に出た。
米国では インフレ率が急速に上昇しており、トランプ関税はインフレの火に油を注ぎ、同時に 脱工業化 とサプライチェーンの機能不全を加速させた。
ワシントンは明らかに脆弱な立場から行動している。外交問題評議会のような米国の主要なシンクタンクでさえ、 北京が「優位に立っている」こと、そしてワシントンが「中国に対する影響力を失った」ことを公に認めている。
トランプは米国企業12社のCEOを中国への訪問に招待
トランプはこれまでも繊細さとは無縁だった。彼は常に「心の中で思っていることを声に出して言う」人物だ。
自身のウェブサイト「トゥルース・ソーシャル」で中国訪問に同行した企業関係者のことを自慢げに語った。米国代表団は、中国で最も影響力のある億万長者の寡頭支配者たちで構成されていた:
―テスラとスペースXのイーロン・マスクは世界で最も裕福な億万長者のオリガルヒで トランプと彼の共和党の同盟者を当選させるために2億8800万ドルを費やした。
―AIバブルに牽引され、現在時価総額5.5兆ドルで世界で最も価値のある企業となったNvidiaのジェンセン・フアン。
―トランプが「ティム・アップル」と呼ぶアップルのティム・クック。
―世界最大の資産運用会社であるブラックロックのラリー・フィンク。
―最大のオルタナティブ資産運用会社であるブラックストーンのスティーブン・シュワルツマンは、 トランプの2024年大統領選挙キャンペーンの主要な資金提供者であった。
―ボーイングCEOのケリー・オルトバーグ。
―カーギルCEOのブライアン・サイクス。
ーシティグループCEOのジェーン・フレイザー。
―GEエアロスペースCEO、ラリー・カルプ。
―ゴールドマン・サックスCEO、デビッド・ソロモン
ーマイクロンCEOのサンジェイ・メロトラ、そして
―クアルコムCEOのクリスティアーノ・アモン。
実際、トランプの中国訪問時、エアフォースワンには億万長者のマスクとファンが同乗していた。

ホワイトハウスの公式写真には、イーロン・マスクとジェンセン・フアンがトランプ大統領とその家族とともにエアフォースワンで中国に到着する様子が写っている。
アメリカ大統領が中国指導部と会談した際、彼の両脇にはこうした企業寡頭支配者たちが控えていた。
それが象徴することは明白だった。これらのCEOたちは事実上、影の政府関係者として扱われたのだ。

ホワイトハウスの公式写真には、中国の習近平国家主席がイーロン・マスク、ジェンセン・フアン、ティム・クック、スティーブン・シュワルツマンといった米国政府関係者や企業幹部と会っている様子が写っている。
これは、米国政府の政策が巨大企業、そしてそれらを経営・投資する富裕層のエリートによって、また彼らのために作られていることを示す最も明確な証拠だった。
これをさらに裏付けるのは、駐中国米国大使のデビッド・パーデューが、以前はリーボックの社長とダラー・ゼネラルのCEOを務めていたという事実である。

ホワイトハウスの公式写真には、中国当局者がイーロン・マスク、ジェンセン・フアン、ティム・クック、スティーブン・シュワルツマンといった米国政府関係者や企業幹部と会っている様子が写っている。
米国の貿易戦争は裏目に出た:Nvidiaの中国市場シェアは95%から0%に
なぜこれらの米国企業幹部はトランプ大統領と共に中国へ渡航することを熱望したのか?答えは簡単だ。彼らは世界最大の市場へのアクセスを確保することに必死なのだ。
中国の人口は14億人で、世界最大の中間層を擁している。ブルッキングス研究所の研究者らは、 2027年には中国の中間層人口が12億人に達し、これは世界の中間層人口全体の4分の1に相当すると推定している。
「中国はすでに世界最大の中間層消費市場を形成しており、主要な多国籍企業にとって優先市場となっている」と研究者らは記している。
米国企業は常に中国の巨大市場への参入を切望してきた。鄧小平が1978年に改革開放政策を開始した後、彼は一部の企業に対し、技術を共有し、中国企業と合弁事業を設立することを条件に、中国の市場への参入を許可した。そのスローガンは「市場(アクセス)と引き換えに技術(移転)を」市场换技术 (shìchǎng huàn jìshù).であった。
トランプ大統領が2018年に中国に対する貿易戦争を開始したことで、両国は経済的な「デカップリング」に向かい始めた。これは緩やかなプロセスではあるが、過去10年間で米中間の貿易と投資は大幅に減少した。
この貿易戦争によって、米大手企業の中には非常に大きな悪影響を受けているところもある。
特に、トランプ大統領の中国訪問にNvidiaのCEOであるジェンセン・フアンが同行したことは、ワシントンの技術封じ込め戦略の明らかな失敗を浮き彫りにした。
中国のAI開発を妨害する目的で、バイデン政権とトランプ政権はともに先端チップの輸出を制限した。
「チップ戦争」として知られるこの技術戦争はNvidiaに大きな打撃を与えた。ファンはかつては 中国の先端AIチップ市場の95%を支配していたNvidiaが、今や市場シェアをゼロにまで落としたことを嘆いた。
米国にAIをはじめとする先端技術を独占させる代わりに、中国は数十億ドルを産業政策に投入し、自国の半導体産業の発展に努めた。
中国は急速な進歩を遂げ、現在では 旧型半導体の世界市場を席巻し、間もなく米国の巨大ハイテク企業に追いつく可能性が高い。
一部の米国企業幹部は、トランプに戦略の見直しを求めている。中国に対する経済戦争と技術戦争という焦土作戦は裏目に出ており、彼らは何らかの包括的な合意を期待していたのだ。
トランプ大統領の訪問は失敗に終わった:中国は関心を示さなかった
しかしワシントンほど北京は関心を示していなかったようだ。
多くの欧米メディアは、 今回の訪問 から得られた 成果はごくわずかだったことを認めている。中には 失敗だったと評したメディアもあった。トランプ氏はほとんど手ぶらで帰国した。
トランプは中国がボーイング社に200機の航空機を発注すると豪語したが、アナリストらは500機の購入を予想していたため、このニュースを受けてボーイング社の株価は実際には4%下落した。
米国政府はNvidiaに対し、同社が開発した2番目に先進的なAIチップであるH200を中国のテクノロジー企業10社に販売することを承認したが、ロイター通信は「これまでのところ、1件も納入されていない」と指摘している。
ロイター通信は、「ドナルド・トランプ米大統領は5月15日に中国を後にしたが、 貿易面での大きな進展はなく、イラン戦争終結に向けた北京からの具体的な支援も得られなかった」と結論付けた。
この結果は容易に予測できた。米国政府は中国の発展を阻止し、同国を孤立させることを目的として、ほぼ10年にわたり貿易と技術をめぐる戦争を繰り広げてきた。
なぜトランプは中国に突然友好的な態度を取り、中国に譲歩をさせて米国に利益をもたらすことができると考えたのか、謎である。
さらに、米国はイランに対して侵略戦争を開始し、世界経済を混乱させ、 史上最大の石油危機を引き起こした。それにもかかわらず今トランプは中国が彼を救済してくれると思っている。これは明らかにばかげている。
言い換えれば、長年中国を攻撃し続けてきたトランプは、今北京が米国経済の救済を助けてくれるこをを希望している。中国が関心を示さなかったのは当然だ。
主導権を握っているのは中国で、米国ではない
2025年4月にトランプが一方的に中国との貿易戦争をエスカレートさせ、最大145%の関税を課すと脅迫した際、北京は米国からの輸出品に比例した関税を課すことでワシントンを驚かせた。
トランプは激怒し、「我々の方が彼らよりもはるかに強力で優れた切り札を持っている」と述べた。米大統領は、 自身の「驚異的な切り札」で「中国を壊滅させることができる」と主張した。
スコット・ベセント財務長官は激怒した。彼はCNBCに出演し、「中国のこのエスカレーションは大きな間違いだと思う。彼らは2のペアで遊んでいる」と述べた。
「中国が関税を引き上げて、我々は何を失うのか?」と、ウォール街の元ヘッジファンドマネージャーであるベセントは言った。「米国は中国が米国に輸出する量の5分の1しか中国に輸出していない。つまり中国にとって不利な状況になる」。
しかし実際はその逆で、中国の方がはるかに有利なカードを握っていた。
その最も明確な例は、北京がワシントンの一方的な関税措置と技術輸出規制に対し、米国へのレアアース供給を遮断することで対応したことである。
これはワシントンで政治的な激震を引き起こした。なぜなら米国企業は中国産のレアアースなしでは製品を製造できないからだ。米国の軍産複合体も、レアアースなしでは兵器システムを製造できない。
中国は多くの重要鉱物の世界的なサプライチェーンを支配している。
この脆弱性を認識した米国政府は、新たなサプライチェーンの構築を目指してきた。マルコ・ルビオ国務長官の下、 国務省は「パックス・シリカ」構想を立ち上げ、今年2月には数十カ国をワシントンで開催された重要鉱物資源閣僚会議に招待した。
しかし、こうした並行ネットワークの構築には何年もかかるため、米国が重要な鉱物資源を確保したいのであれば、中国と友好的な関係を築く以外に選択肢はない。
中国の影響力という点では、トランプの訪問にイーロン・マスクとアップルCEOのティム・クックが同行したことは特に意味深長だった。
ワシントンは10年近くにわたり、米国企業に対し、生産ラインを中国から移転させ、インドなどの国に工場を「友好国移転」することで「リスクを軽減」するよう圧力をかけてきた。
しかし、中国国内の製造業エコシステムの複雑さを考えると、こうしたサプライチェーンを移転することはほぼ不可能であることがわかっている。
アップルはインドでiPhoneを製造しようと試みたが、 多くの問題に直面した。
テスラはまさにその典型例と言えるだろう。同社の電気自動車(EV)の半分以上は、上海にある「ギガファクトリー」で製造されている。
これは、2024年にテスラのCEOであるイーロン・マスクが、中国の競合他社が米国のEVメーカーを「壊滅させる」と警告し、国内貿易障壁の導入を求めたにもかかわらずのこと である。その後まもなく、米国政府(当時ジョー・バイデン政権)は中国製EVに100%の関税を課した。
これらすべては、米国が中国に対して取る政策が極めて偽善的であることを示している。ワシントンは米国企業の利益のために中国に自国の利益を犠牲にすることを求めている。他国の一部の買弁的なエリート層は、自国を犠牲にして私腹を肥やすためにそうするかもしれないが、自国の発展に尽力する中国の指導部はそうはしない。
米国は、もはや中国を思い通りに操ることはできないということを、苦い経験を通して学んでいるのである。