No.203 狂った「資本主義」(前編)

 今回は『新潮45』(1998年5月)に掲載された、飯田 経夫氏の論文を2回に分けてご紹介します。飯田 経夫氏はエコノミストの立場から、消費低迷が現代日本の豊かさに起因していると提言し、政府の「減税による内需拡大策」を疑問視しています。また昨年末の金融機関の相次ぐ「大型倒産」により、日本における「金融のシステム不安」が内外に露呈されましたが、飯田氏はこうした金融危機が“資本主義・市場経済に潜む狂気”によるものであると定義付け、“資本主義・市場経済のこわさ”についても触れています。是非お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。

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No.199 愛国心に関する4つの質問とそれに対する回答(1)

8月15日 終戦記念日の深夜、私はテレビ朝日の『ザ・スクープ』という番組に出演しました。テーマは「日本のタブー?愛国心改造論」で、テレビ局から事前に愛国心に関する4つの質問が送られました。今日から4日間、その質問に対して私が用意した回答を皆さんにお送りしたいと思います。

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No.197 日本の不良債権市場を狙う外国人投資家

『日米金融抗争の構図』(No. 192)で、エコノミストのマイケル・ハドソンは、日本の金融機関に不良債権を投売りさせるよう、米国政府が日本政府に圧力をかけていることを指摘し、次のように述べています。

「米国側が日本に要求しているのは、ビッグバンに起因する貯蓄の流出分を日本に戻すために日本が米国に好都合な投資機会を用意すること、つまり日本の資本資産、具体的には破綻した銀行や不動産、企業などを破格の値段で米国企業に売却させることである。米国の金融機関が日本の消費者から集めた貯蓄をやり手の投機家に融資し、その投機家に日本の資産を購入させる。こうして、日本人消費者の貯蓄を使って外国人が日本経済を所有するという構図ができあがるのである」  このハドソンの主張を裏付けるような英文記事を見つけました。『ビジネスウィーク』誌(7/27/98号)”The Slowest Fire Sale of Earth(最も遅い投売り)”と、『デイリーヨミウリ』紙(8/4/98付け)の”Bad Loans a great opportunity for investment adviser(投資アドバイザーにとって不良債権は大きなチャンス)”です。今回はこれをもとにお送りします。

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