一昨年、私は厚生省が主催する「21世紀のたばこ対策検討会」のメンバーとして会合に出席しました。検討会は禁煙派と喫煙派の対立が最後まで続き、具体的な答申も出ない不毛の会合でした。今回はアジア版『タイム』誌に掲載された記事をお送りします。
月別アーカイブ: 2000年10月
No.420 日米、日本海で救助訓練
今回は『京都新聞』の記事をお送りします。このOur Worldでも何度か取り上げた日米防衛協力の指針(ガイドライン)(OWメモ No. 127~133他)を具体化するための法案が、1999年5月にガイドライン関連法案として成立しました。その関連法案の1つである周辺事態法に基づいて、「後方地域捜索救助活動」の初の訓練が、米軍と自衛隊の間で11月6日から行われることがこの記事で報じられています。私も指摘してきたように、米軍への後方地域支援は、この周辺事態法の目的である「わが国の平和および安全確保」というよりも、日本が米国と敵対中の国に攻撃を受ける可能性が高まると『京都新聞』も指摘しています。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。
No.419 ロシアの危機的状況の原因:改革派がロシア経済にしたこと
今週はロシア経済の危機的状況を分析したロシアの新聞記事をお送りします。西側からの援助を引き出そうと米国やIMFが提示する経済改革の処方箋に従った結果、ロシアがどのような状況に陥ったかを見ることは、米国に盲目的に従う日本の将来を考える上でも参考になると思います。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。
No.418 米国の21世紀の敵
今回は、イギリスの『インディペンデント』紙より、米国が次の世界大戦の準備をしていると示唆する記事をお送りします。冷戦終結後、米国では防衛費が削減されるものと考えられていましたが、逆に、現在、防衛予算の急増が指摘されています。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。
No.417 『アメリカ帝国への報復』(チャルマーズ・ジョンソン著)に対する書評
チャルマーズ・ジョンソンはこのOur Worldシリーズで何度も紹介していますが、今回は彼の新著『アメリカ帝国への報復』(集英社刊)の書評を取り上げます。
今や唯一の超大国となった米国は、民主主義や人権を大義名分にイラクやコソボに介入したり、グローバル化を名目に全世界に米国型の資本主義を押し付けています。ジョンソンは、米国がこうした帝国主義政策に対する報復を受けることになるだろうと警告しています。
本書には、沖縄問題他、日本に対する帝国主義政策の例も多数記されています。以下の『ネイション』誌の書評と合わせて、本書もご一読されることをお勧めします。
No.416 米国が条件を決める自由貿易
9月19日、米国上院は、対中通商関係正常化(PNTR)法案を賛成83、反対15で可決しましたが、今回は、それ以前の5月24日に下院で可決された後、英『オブザーバー』紙に掲載されたウィル・ハットンの記事をお送りします。ハットンは、この法案可決の裏に、中国をWTOに加盟させることでグローバル化を世界に広め、自国企業に利益をもたらしたいという米国の意図が隠されていると指摘しています。中国WTO加盟の第一段階として米中両国の間で結ばれたWTO合意は、米国の決める一方的条件に則った合意だとも述べています。さらに、クリントン大統領がこの法案を可決させることができたのは、米国の金権政治が強く影響しているのです。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。
No.415 チェイニーの天下り
今回は、共和党のブッシュ大統領候補から副大統領候補に指名されたディック・チェイニー氏が、国防長官時代に軍の民営化政策を行い、引退後の天下り先で自分が任期中に行った政策から個人的利益を手にしていたという記事をお送りします。天下りは日本の特異性としてしばしば指摘され、政府と民間部門の癒着の原因だとして米国に批判されますが、その米国にも天下りが存在することをこの記事は指摘しています。
米国で天下りは「回転ドア」と呼ばれ、民間から政府役人に、そしてまた民間へと転じる様を表しています。その代表例がルービン前財務長官で、彼はゴールドマン・サックス社上席パートナーシップ兼共同会長からクリントン政権経済政策担当大統領補佐官、そして財務長官を歴任し、引退後は、金融サービス会社、シティグループの取締役に就任しています。ブッシュ政権時代のワインバーガー国防長官も引退後はフォーブズ社会長に転じました。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。
No.414 過少消費
今回は、何度かこのOur Worldシリーズで紹介したJ. A. ホブソンの論文をお送りします。この論文は大恐慌の後、1933年に『エコノミカ』という雑誌に掲載されたものですが、国内総生産の6割を占める個人消費の低迷に悩む現在の日本の状況にも当てはまるものです。私は以下のホブソンの論文は、日本が現在の景気低迷から抜け出し、国民の幸福を満たせるように経済を立て直す方向性を示してくれていると思います。
日本や欧米では、現在、情報技術産業が非常に盛んですが、情報技術がこれまでの技術革新と特別異なるわけではありません。情報技術も、産業革命以降200年間にわたる、製造や流通の生産性向上のための技術革新の1つに過ぎないのです。我々人間は、手作業で行っていた製造および流通過程を機械化し、次に蒸気や石炭、石油によりその機械の生産性を押し上げました。さらにロボットや工作機械により機械で機械を製造するようになり、そして今度は、コンピュータや通信ネットワークが、人間の知的作業の生産性も向上させ、人間に代わってそれを行うことまで可能になったのです。こうした技術発展の歴史により、日本の生産性は飛躍的に向上し、1990年代の生産性(国民1人当たりの国民総生産)は、1980年代の2倍、1970年代の4倍、1960年代の16倍に増えています。
しかし、これまでの技術革新同様、情報技術は、商品提供能力を大幅に押し上げたものの、人間の需要を増加させることはありませんでした。1990年代の日本の需要は、生産性と同じ速度で増加してはいないのです。つまり、現在の所得分配方法および個人消費の配分に基づく消費需要では、機械化および自由化によって押し上げられた生産・流通能力に追いつかないのです。そして供給が需要を大幅に超過し、製品やサービスを作り過ぎているからこそ、業者間の競争や値引き競争が熾烈化し、その結果、戦後最悪の失業や倒産、自殺、経済的、社会的な弊害につながっているのです。
60年前にホブソンが著した「過少消費」に関する分析およびその処方箋は、現在の日本の状況にも当てはまるものです。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。