No.631 異常な日本の金融政策

 2003年度、約33兆円にものぼるドル買いを行い、また昨年12月27日から今年3月末の3カ月間には15兆円を超えるドル買い介入を行った政府日銀は、4月のドル為替介入実績はゼロだったと発表した。ある経済紙はアメリカ経済が回復し利上げ観測が台頭しているために介入の必要性が薄れていることが背景にあると報じた。

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No.630 「テロとの戦い」は欺瞞

 イラクで邦人人質事件が起きた4月、イラク中部のファルージャでは米軍の激しい攻撃によって700人を超すイラク人が殺された。その多くは女性や子供たちだった。日本のメディアがどの程度このファルージャの攻撃を報道したか分からないが、これは3月末にアメリカの民間人が殺害され、遺体が引き回されるという事件に端を発していた。殺害された民間人といっても米軍の下請けとして警備会社「ブラックウォーターUSA」から非正規戦闘要員として戦争に参加していた元特殊部隊要員であった。米軍はこの4人の遺体を引き回した市民を殺すために猛攻を展開し、日本人が誘拐されたのはその激しい戦闘の3日目だった。

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No.629 人質批判は”的外れ”

朝日新聞社がイラク人質事件について行った緊急世論調査によると、政府の対応を六割が評価し、犯人側からの自衛隊撤退の要求に応じなかった姿勢には73%が「正しかった」と受け止め、この人質事件で「テロに屈しない」として武装勢力の要求を拒んだ政府を自民支持層の八割近くが「評価する」としたという。この電話調査は無作為三段抽出で、有効回答数は820件という。とても日本国民の意識を反映したものではないと思う一方で、日本の主流メディアのイラク報道がこのような数字に反映されるのだということをあらためて感じる。

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No.628 米国企業のための戦争

 イラクでの邦人人質事件、スペイン軍の撤退と、イラクの治安悪化の影響が急速に広まってきた。アメリカではイラク戦争を1960年代に泥沼化したベトナム戦争になぞらえる声も出ているが、日本にとってイラク戦争とベトナム戦争の大きな違いは、イラク戦争は自衛隊をアメリカ国防総省の下部機関である暫定占領局(CPA)の下に派兵し、武器を含む物資や、イラク人を殺害するアメリカ軍兵士を輸送しているなど米軍支援を行っているということだ。1945年、アメリカから2発の原爆を受けて終わった戦争の後で作った「日本国民は武力による威嚇または武力の行使は永久に放棄する」という平和憲法を完全に無視して、日本は侵略戦争に加担したのである。

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No.627 過去を知り明日を解く

日米和親条約調印から今年で150年になることを記念した「日米交流150周年式典」が神奈川県横浜市で開かれ、日米同盟関係は日本の安全確保に加えアジア太平洋地域の平和と安定の礎で、日米は世界を舞台に協力するパートナーであり、共にテロと戦い、大量破壊兵器の拡散に対抗し、開発援助の2大供与国として世界の長期的な安定と繁栄のために協力していると小泉首相は誇らしげに語ったという。

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