今年1月、自衛隊がクウェート国境をわたってイラク入りし、それと同時に報道規制が始まった。1月9日、石破防衛庁長官は報道各社に報道の自粛、イラク現地取材の抑制を申し入れ、その数日後、防衛記者会見の廃止が一方的に通告された。ロサンゼルスタイムス紙によれば、日本人ジャーナリストは自衛隊員の食事といったたわいない質問しかできないというのだ。
月別アーカイブ: 2004年3月
No.621 不良債権問題と”おぜん立て”
今から2年前、私は「銀行は強盗、外資はハイエナ」(小学館文庫)という本を上梓した。過激なタイトルは出版社がつけたものだが、アメリカが他の国に金融規制緩和を強いることによって(日本の金融ビッグバンもその一つ)、アメリカより金利の低い国の国民の預金をアメリカに還流させていること、日本企業が自動車や工作機械などさまざまなものをアメリカに輸出すると日本政府はその貿易黒字分のドルを使って米国債を買っていること、さらに政府が銀行の不良債権を早く処理することを重要政策として掲げているがそれは結果的にアメリカの金融機関をもうけさせることで、日本の納税者にとっては破滅になる、といった内容だった。
No.620 危ない小泉首相の言動
イラクで大量破壊兵器の捜索を行った調査団の団長だったデビッド・ケイ氏がこの1月にアメリカがイラク攻撃を始めた20003年3月、イラクは生物・化学兵器を保有していなかったとアメリカの公聴会で証言し、また旧サダム・フセイン政権がアルカイダと協力関係にあるということについても「証拠は見あたらない」と述べた。つまり、「大量破壊兵器の武装解除」をイラク攻撃の最大の理由に掲げていたアメリカ政府の専門家が、イラクの兵器保有を公の場で否定したのである。
No.619 借金国日本の危険な道筋
政府が2月に発表した昨年10-12月期の国内総生産(GDP)速報によると、実質GDPは年率換算で7%増で、竹中経済財政相は「緩やかにしっかり回復しているという実感を持っている」と評価したという。経済紙は輸出増による国内生産拡大で設備投資増という好循環が生み出され、年内は景気の拡大が続く公算が大きいと報じている。これらは日本国民を大きく欺く報道だと私は思う。少なくとも私が日頃読んでいるイギリスやアメリカの英字新聞や雑誌のほうが、日本政府のとっている行動について、真実をより正確に記している記事が多い。
No.618 「勝ち組」「負け組」
最近あらゆるものを「勝ち組」と「負け組」に分類することがはやっているようだ。集団で行動することを好む日本人が、勝っても負けても一人よりは集団でいるという安心感を持ちたいのであろうか。しかしスポーツやゲームならいざしらず、人々が一つの国のなかで、または一つのコミュニティーのなかで勝ち続けることはありえない。いつか、どんな形にしろ反動は起きるはずである。