No.337 また裏切られた沖縄

1995年9月の少女暴行事件に端を発した、沖縄の米軍普天間飛行場の移設問題について、稲嶺恵一/沖縄県知事がその代替施設の建設候補地を「米軍キャンプ・シュワブ水域内の名護市辺野古沿岸域」にすると、11月21日に発表しました。また政府は12月17日、沖縄県の要望をほぼ全面的に受け入れ、沖縄本島北部地域の経済振興対策費として今後10年間で1,000億円の投入、新たな沖縄振興法の制定、代替施設の使用協定の締結などを実現すると発表しました。名護市では1997年12月、政府の海上ヘリポート建設計画の是非を問う市民投票で、過半数が「反対」の意思表示をした経緯があります。それにも拘らず稲嶺知事が名護市を候補地とすると発表し、また政府が沖縄県の要望を全面的に受け入れることにしたのは、2000年7月に開催される沖縄サミット前に、この問題を解決し米国の機嫌を取りたいためであると私は考えます。

 日本政府の経済振興策と基地移転を結び付けるやり方に対し、以下の記事で、日本政策研究所所長のチャルマーズ・ジョンソン氏は、沖縄県、そして名護市は再び中央政府に裏切られるであろうと予測しています。名護市が市内に基地建設を認め次第、政府はその約束を反故にするであろうと記しています。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。

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No.336 吉川元忠著『マネー敗戦』とそれに対するコメント(2)

前回に続いて、吉川元忠著『マネー敗戦』(文藝春秋刊)からの抜粋をお送りします。このOur Worldでは、「米国はいかにして日本を滅ぼしたか ―― 1985年プラザ合意の教訓とその影響」(No. 64, No. 65)および「日本政府は外貨準備高をいかに浪費したか」(No. 74, No.75)などで、日本から米国に米国債の形で流れた資金が、米国の政策によっていかに目減りしてきたかについて、ニューヨーク在住のエコノミスト、マイケル・ハドソンに依頼して、主に米国からの視点で取り上げてきました。それを読まれた読者数名から推薦された『マネー敗戦』の中で著者の吉川氏は、日本のメディアは、日米貿易摩擦など、貿易やモノの流れにのみ焦点を当ててきましたが、実はその裏で日米マネー戦争ともいうべき事態が進行していたと指摘しています。最後に、ハドソン氏からのコメントも加えてあります。本稿をお読みいただくと同時に、是非本書をお買い求めいただき、ご一読されることをお勧めします。皆様からのご意見をお待ちしております。

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No.335 吉川元忠著『マネー敗戦』とそれに対するコメント(1)

今回と次回の2回に分けて吉川元忠著『マネー敗戦』(文藝春秋刊)からの抜粋をお送りします。このOur Worldでは、「米国はいかにして日本を滅ぼしたか ―― 1985年プラザ合意の教訓とその影響」(No. 64, No. 65)および「日本政府は外貨準備高をいかに浪費したか」(No. 74, No.75)などで、日本から米国に米国債の形で流れた資金が米国の政策によっていかに目減りしてきたかについて、ニューヨーク在住のエコノミスト、マイケル・ハドソンに依頼して、主に米国からの視点で取り上げてきました。それを読まれた読者数名から同様のテーマだとして吉川氏のこの著書を推薦されました。

 日本のメディアは、日米貿易摩擦など、貿易やモノの流れにのみ焦点を当ててきましたが、実はその裏で日米マネー戦争ともいうべき事態が進行していたと筆者である吉川元忠氏は指摘しています。最後に、ハドソン氏からのコメントも加えてあります。本稿をお読みいただくと同時に、是非本書をお買い求めいただき、ご一読されることをお勧めします。皆様からのご意見をお待ちしております。

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No.333 米国の脱工業化の悪夢

米国経済のすべてがうまくいっているかのような報道であふれる昨今、『フィナンシャル・タイムズ』および『フォーブス』の元編集員で東京を拠点に活動しているイーモン・フィングルトンがそれに否定的な著書を出版しました。『In Praise of Hard Industries』というこの本の中で彼は、金融、コンピュータ・ソフト、インターネット・サービスと、産業の脱工業化が進んでいる米国では主要製造業の基盤が崩れ始めているという警告を発しています。今回は、このフィングルトンに対してアマゾン・ドット・コムが行ったインタビューを取り上げます。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。

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No.332 米国の押し付け文明捨て去れ

今回は、エジプトの映画監督、ユーセフ・シャヒーン氏に対するインタビュー記事(『毎日新聞』掲載分)をお送りします。シャヒーン氏は1997年のカンヌ映画祭で、その全功績に対し「50周年記念特別賞」が授与されています。同氏は記事の中で、米国に命じられるまま日本が古来より持っている素晴らしい文化、伝統、習慣を捨て去ろうとしていることに対して非常に危惧しています。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。

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