No.413 負債総額1兆4,788億円、8月では戦後最大

経済企画庁を筆頭に与党自民党やその他政府の要人は、日本の不況が底を打ち、景気が上向くとの発表を繰り返していますが、今回はその発表の裏で、企業倒産の増加、それに伴う負債額が8月としては戦後最大を記録したことを報じる記事と、日本の家計所得が二極化傾向にあるとする分析結果をお送りします。

 私はこのOur WorldシリーズのNo. 351「規制緩和のマイナス効果」(2000年2月15日)で経済企画庁が発表した規制緩和効果に対して、そのマイナス効果を分析し企業倒産による負債額および失業増の影響を紹介しました。それから半年以上たった今、日本政府が、景気は底を打ち回復基調にあるとの発表を行っているにもかかわらず、実状はそれほど変っていないことをこの記事が物語っています。以下の『日本経済新聞』の記事によれば、8月としては企業倒産が戦後2番目、負債総額では戦後最大を記録し、特に中小・零細企業の倒産が増えているのです。

 また、同じく『日本経済新聞』からの記事には、日本の家計所得の伸びに二極化傾向が見られることが指摘されています。世帯数でいうと上位40%にあたる年収800万円以上のサラリーマン世帯主収入は4ヵ月連続で前年比増加を示しているのに対し、下位40%にあたる年収640万円以下の家庭では8ヵ月連続で前年割れが続いているということです。これは、米国型資本主義を盲目的に取り入れてきた日本が、その結果として「二極化」まで招くことになったといえると思います。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。

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No.412 イスラムの脅威に対する正義の戦争で敗北する米国

今回は、テロに対して正義を求める米国が、その報復および対抗措置で正義から遠ざかっていると指摘する記事をお送りします。冷戦後、世界で唯一の超大国となった米国にとって、テロは今や共産主義に代わる新しい敵であり、テロへの対抗が最も広く受入れられている裏には資金や権力を巡る内部闘争があると、この記事は指摘しています。法の支配を求めながら、テロに対しては無制限の措置をとる米国は、自国がどちらの側にあるかを考え直すべきだと筆者は指摘しています。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。

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No.411 ゆりかごから墓場まで、お得意様の生涯価値

今回は、「バイオ技術の世紀に向かうことの代償」(No. 408)でバイオ技術について取り上げたのに続き、同じ筆者、ジェレミー・リフキンの記事をお送りします。今回はネットワーク経済がもたらしうる危険性について、技術そのものを否定するわけではないものの、その使い方によっては、我々の人生体験すべてが消費対象と化す可能性を示唆しています。

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No.410 実体のある国を築いた人

今回は、日本の繁栄を築いた経営者として、また平成以前の日本式経営を実践してきた経営者として、いつも私が挙げている松下幸之助氏と本田宗一郎氏について書かれた米国地方紙のコラムを取り上げます。日本では有名な2人ですが、ここでもう一度、彼らがどのような考え方に基づいて経営を行っていたか思い起こしていただきたいと思います。また社員を人材として扱う米国式の経営方法と比較して、日本企業がどちらを選択すべきか再考していただければ幸いです。皆様からのご意見をお待ちしております。

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No.409 公的支出は非生産的である

今回のOur Worldでは、『ジャパン・タイムズ』紙に紹介された、金子勝氏の視点をご紹介します。金子氏は、政府与党は、金融機関やゼネコンなどの主な政治献金提供者は手厚く支援するものの、規制緩和など弱者に対して冷淡な政策をとっていると指摘しています。これはまさに私と同じ考え方であり、解決策として金子氏が強調する国民の政治への影響力増大も、私がこのOur Worldで繰り返し強調し、呼びかけてきたものと同じです。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。

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No.408 バイオ技術の世紀に向かうことの代償

今回は、環境保護主義者として知られる米国の評論家ジェレミー・リフキンの記事をお送りします。ヒトゲノムの解読に加え、日本でも国産のクローン豚が誕生し、またイギリスでは人のクローン胚培養研究を解禁する法改正の準備が始まるなど、バイオ技術は目まぐるしく進展しています。技術の進歩そのものは良いことでも、そういった技術をどの分野に適用すべきかを、今こそ、広く活発に議論する時期であるとリフキンは指摘しています。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。

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No.407 不明瞭な通話料請求で増える苦情

今回は、米国の長距離電話の請求に対して利用者から寄せられた苦情についての記事をお送りします。この記事によれば、電話会社は一般利用者を混乱させることで収益を上げているといいます。日本でも、米国の要求に屈してNTTの接続料引き下げなどにより電話会社間の競争が激化しようとしていますが、完全な規制撤廃および自由化の行き着く先がこの記事にあげられている状況ではないかと思います。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。

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No.406 イギリスの製造業を滅亡させたのは誰か

今回は、イギリスの製造業に関する分析記事をお送りします。今や製造業の時代は終わったという見方が主流のようですが、製造業がなくなることはあり得ず、むしろ自動車や鉄鋼などの生産増に見られるように、製造業は依然として成長分野であると著者のウィル・ハットン氏は指摘しています。特に先端技術に付随して、製造業でも新たな革新が行われ、古い製品が改良、小型化されています。そんな中、この分野を滅亡に追いやるのは、イギリスの金融の利権であり、政府であるとハットン氏は分析しています。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。

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