2004年 新春の集い講演資料
月別アーカイブ: 2004年1月
No.612 一石二鳥のドル買い介入
前回のOWで2003年に政府・日銀が21兆円という巨額の円売り・ドル買いを外国為替市場で行ったことを取り上げた。これは「外国為替資金特別会計」という一般会計とは異なる政府の別の財布があり、その資金を使って行われる。買ったドル札はそのまま政府の金庫に保管されるのではなく、昨年12月末における外貨準備高6735億2900万ドルのうち、5259億6700万ドルを証券で保持しているという(財務省)。そしてそのほとんどを日本政府は米国債という形で保有している。さらに今月、ドル買い介入の借金予算79兆円枠を使い果たした政府は、保有する米国債のうち5兆円を日銀に売却してさらなる介入原資を調達した。
No.611 円売り介入21兆円は何のため
昨年の大みそかの日経に、政府・日銀が2003年(12月26日まで)に外国為替市場で実施した円売り・ドル買い介入の総額が20兆円を超えたという記事が掲載された。政府の介入は「外国為替資金特別会計」の資金を使って行われるが、ドル買いの場合は政府が3カ月未満の短期国債を発行、つまり借金をしてドルを買う。昨年までの3年間は毎年3兆円から4兆円規模であったために、2003年はその約7倍、正確には20兆9709億2500万円ものドルを財務省は買ったのである。この介入に使う借入枠は79兆円で、借入残高は上限に迫っているという。
No.610 石油依存の見直しを
私が会社を起業した翌年の1973年秋、第四次中東戦争の勃発から第一次オイルショックが起こった。今から30年前のことだが、記憶に残っている人も多いのではないかと思う。物不足の噂によって人々は買いだめに走り、さまざまな生活必需品が不足状態となった。高度成長期に普及した車社会はガソリン不足に直撃され、ガソリンスタンドは給油制限を行い、政府は緊急対策として企業への一律10%の石油、電力供給削減や家庭へのマイカー自粛、広告塔の使用禁止等々を要請したのである。1978年にはイランでの石油労働者ストライキ、79年のイラン革命後の原油の大幅値上げによって第二次オイルショックがもたらされた。日本はそのたびにエネルギー依存の高い社会であることを気づかされたはずであった。しかし1991年の湾岸戦争、そしてこのたびのイラク戦争にもかかわらず、最近はエネルギー危機を喚起する呼びかけが政府からも民間からも聞かれない。
No.609 理解できぬイラク派遣
1995年から送り始めたこのメモも9年目になり、たくさんのコメントをいただくようになった。すべてのメールに返事を書くことができず申し訳なく思いつつ、コメントが反論であっても、私の問題提起に対して耳を傾けていただけることが何よりも嬉しい。重要なことは「疑うこと」であり「考えること」だと思うからだ。昨年コメントをお送りくださった方、またこのメモを読んでくださっている方、どうもありがとうございます。この場をかりて御礼申し上げます。
さて、さまざまなメディアが取り上げている話題であろうから書くことを逡巡(しゅんじゅん)したが、今年最初のこのコラムでやはり書かずにはいられない。自衛隊のイラク派遣についてである。