No.298 米国の巨富の歴史(3):アスター家の財産の起源

OWメモ『米国の巨富の歴史(1)~(2)』(No.294およびNo.295)でもご紹介した、グスタバス・マイヤーズの著書『History of Great American Fortunes』から、今回は、都市部でどのように富が築き上げられていったかを示すため毛皮商人アスターの例を取り上げます。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。

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No.297 都市生活に適した自転車

 京都在住の私は市内の移動時にはマウンテンバイクを利用し、また友人が訪ねて来た時にも自転車で案内する大の自転車派です(自宅にはマウンテンバイクが5台あります)。以下は、自転車こそ未来の交通手段だとする、ワシントンのシンクタンクの所長、レスター・ブラウンの記事です。交通渋滞、大気汚染の緩和にも自転車が最適だと分析しています。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。

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No.296 ウォール街の内情の暴露本『大破局』

 今回は、モルガン・スタンレーの元社員がウォール街の内情を暴露した『大破局』(徳間書店刊)という本を紹介します。デリバティブについて書かれたこの本は、モルガン・スタンレーをはじめとする投資銀行(証券会社)が行っているデリバティブの多くが、ただの賭博に過ぎず、買い手の無知に付け込むものであることを、素人向けに説明しています。読者も是非一読されることをお勧めします。皆様からのご意見をお待ちしております。

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No.294 米国の巨富の歴史(1)

米国政府は長年にわたって日本政府に対して規制緩和、民営化、グローバル化などを迫り、日本の経済や社会を米国に似せて作り変えようとしてきました。日本の多くの政治家や識者達は過去も現在もその圧力に屈し、中には日本独自のやり方を捨て米国式をとり入れた方が日本の利益になると信じているような指導者もいます。しかし、日本の米国式制度がどう機能しているのか、またそれがほとんど例外なく米国人のために機能してきたという事実を、完全にかつ正しく理解している日本人はいったいどれほどいるのでしょうか。また米国の経済史を学んだ日本の政治指導者や識者が何人いるでしょう。非常に少ないと私は思います。

経済や社会をどのように運営していくか、これ以上米国の圧力や説得に屈服する前に、グスタバス・マイヤーズが書いた『History of Great American Fortunes』(初版1907年)を読むべきです。出版元のランダムハウスは、1937年のモダンライブラリー版に次のように記しています。「マイヤーズのこの本は米国史を記録した文書として、四半世紀以上にわたって攻撃されることはなかった。出典としても、この本は第一級の多くの作家に資料と名声を提供した。事実にはすべて出典が付され、実際の公式記録から直接引用されている。マイヤーズの作品に記された事実に異議を申し立てた者はいまだかつていない。すべての発言が確認・立証済みの証拠で裏付けられている。マイヤーズの関心は、巨額の富がいかなる手段で獲得されたか、またその富がどのような目的のために利用されたかということであり、結論を導くのは読者に委ねられている」  以下は、『History of Great American Fortunes』の序文と、植民地時代から独立革命期の米国経済を取り上げた章から、私が重要と思う箇所を抜き出して編集したものです。私もここではあえて結論は加えず、読者にそれを委ねることにします。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。

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No.293 信頼性を失った東アジア安全保障問題に対する米国諜報部

 日本政策研究所所長のチャルマーズ・ジョンソンによる以下の記事を読み、米国が北朝鮮や中国からの脅威を意図的に煽っているのは、日米防衛ガイドラインを単なる言葉だけではなく実質的なものにするためではないか、つまり戦争を起こして日本をそれに巻き込もうとしているためではないかと思わずにはいられなくなりました。これはNATOに対する米国の影響力を高めるために、ユーゴに空爆を行ったのとまったく同じ理由によるものです。是非お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。

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No.292 日米政治ガイドラインはさらなる日本の対米従属化をもたらす

今回は、4月30日付けの『デイリーヨミウリ』紙に掲載された米国平和研究所のスコット・スナイダー氏の記事に私のコメントを付けてお送りします。スナイダー氏は日本と米国には防衛ガイドラインだけではなく、政治ガイドラインも必要だと主張していますが、私はそれが日本にさらなる対米従属をもたらすと考えます。米国の識者や政治家が日米関係をどのように捉えているかが、この記事からよく読み取れると思います。

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No.291 外資の「日本買い」最高 ― 昨年度の直接投資、1兆円を突破、金融・通信急増

 以下の日経の記事で、日本政府が「新規雇用の創出」を見込んで、より多くの外資を引き付けるために規制緩和を行うと主張しているのを読んで驚きました。現実はおそらく正反対になるでしょう。米国では、大企業は労働者の数を削減しており、1990年代に新規に創出された職はすべて、中小企業で生まれたものであって大企業で生まれたものではないのです。

 欧米の投資家が日本企業を買収する最大の動機は、その従業員を解雇し、少なくなった従業員をさらに働かせて生産性を上げ、より多くの収益を上げることにあります。したがって外資を引き付けることは、日本の失業問題を悪化させるようなものです。

 日本政府は、産業の構造改革のための法制化について外資系企業に助言を求めているようですが、外資系企業は日本の既存の規制のもとで日本企業を破格値で買収した後で、自社の利益率をさらに高めることを狙って特権や保証を含む新しい規制を作るよう働きかけるにちがいありません。

 規制の役割は、不正や悪事を阻止し、それに関する訴訟を未然に防ぐことにあります。反対に規制をなくすということは、米国で見られるような激しく高額で辛辣な訴訟を日本にも呼び込むことになります。日本企業は、契約破棄が利益を生む場合が多いことを法務アドバイザーから教えられるでしょう。企業は契約をした後で、その契約を破り、最初に約束した価格の半分を支払うよう申し出ることができるのです。自民党を後押しすることで、大手法律事務所は成長していきます。特に不動産開発業者は日本に新しい訴訟環境を作り出すでしょう。

 米国は、自国では決して経験したことがない規模の保険、金融分野の規制緩和を日本に強く求めてきましたが、米国自身は保険会社その他の金融機関の外資による所有を長い間禁じていました。日本の保険会社は優良企業で、総じて社会的に責任のある行動をとってきました。しかし外資所有となれば、日本に負うところは何もなく、日本社会の保護に貢献することが自社の利益になるとは決して考えないでしょう。米国では、保険会社は腐敗行動の中心的存在です。概して米国の保険会社は、保険金を支払うことを拒否して保険金請求者に訴訟を起こさせます。米国の法律では税制上の目的から、課税対象収益を低くするために、即座にその賠償額を損失として差し引くことが認められています。企業は節税分を投資に回し、保険加入者が法廷に出る頃には、賠償金の支払に十分な利益を投資で上げることが可能になるわけです。こうして米国の保険会社は労せずに利益を得ているのです。米国保険会社は、日本の法律も同じように書き換えることを要求するでしょう。

 保険を必要としている日本人にとって、外資による所有には良いところなどまったくないのです。皆様からのご意見をお待ちしております。

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