今回は、今月1月20日に発足したブッシュ政権で、首席補佐官に就任したアンドリュー・カード氏に関する『ニューヨークタイムズ・サービス』からの記事をお送りします。このOur Worldメモでも何度か紹介している米国の天下り(米国では、役人が政府と私企業の間を行ったり来たりすることをRevolving Door、回転扉といいます)が、新政権にも見られることがこの記事からおわかりになると思います。アンドリュー・カード氏は、ブッシュ政権時代に次席補佐官、運輸長官を務めた後、米国自動車工業会の会長として業界のトップロビイストとして活躍し、その後GMの副社長を経て、今回、新ブッシュ政権の主席補佐官に起用されました。さらに、財務長官に就任が決まったポール・オニールも米アルミ最大手アルコアの会長でした。
『日本経済新聞』などは、米証券ゴールドマン・サックス会長のルービン氏を大統領補佐官、投資銀行ブラックストーン出身のアルトマン氏を財務副長官に起用したクリントン政権第一期と比べると、ウォール街と距離を置いた人選であり、重厚長大型産業界の出身者を重視する傾向が見られるとして評価しているようですが、金融界も重厚長大型の大企業も、国民ではなく企業の利益を代表する可能性が高い点では変わりはないと私は見ています。
特にこの記事で紹介されているカード氏は、米国自動車工業会(AAMA)会長時代、米国の自動車業界を代表して、日本に高圧的な態度をとったことで有名です。彼はAAMA会長時代、次のような発言をしています。「日米自動車協定はすでにその協定期限5年の半ばを越えていますが、この協定に盛り込まれている日本の市場開放努力はその目標の半分にもほど遠い状況です。日本は1995年に二国間協定を締結したにもかかわらず、規制された自動車市場を開放するために十分な行動をとっていません」 カード氏がブッシュ新大統領の首席補佐官として日本にどのような要求をしてくるのか、容易に想像がつくと思います。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。