No.512 大失業時代

今回はジェレミー・リフキン著『大失業時代』(TBSブリタニカ刊、原題:The End of Work)からの抜粋を取り上げます(邦訳は現在、在庫切れのようです)。リフキンの著書は我々に次のことを教えてくれます。多くの企業は、労働者を機械に置き換えれば、より低コストでより多くのものを生産できるため、利益増につながると考えます。供給が需要を上回れば、需要そのものを作り出そうと試みさえします。しかし、消費者が消費をするためには所得が必要であり、ほとんどの消費者の所得は労働による就労所得であることから、企業が人件費削減のために機械化すればするほど、消費者から消費能力を奪うことになります。したがって、機械化がデフレをもたらし、それによって事業がうまくいかなくなるのです。機械化によって失われた所得に代わるものを消費者である国民に提供する方法を見つけない限り、デフレを解決することはできないでしょう。

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No.511 ヴェルナー氏「聖域なき日銀改革を」への反論

『Voice』誌(2002年1月号:PHP研究所)に、『円の支配者』の著者であるリチャード・ヴェルナー氏と森永卓郎氏との対談記事が掲載されました。日本経済についてのヴェルナー氏の分析には敬意を表すものの、彼がこの対談のなかで提示している「日本の不良債権問題を処理する方法」については、まったく同意ができませんでした。今回はヴェルナー氏の発言とそれに対する私の考えを述べさせていただきます。途中、ニューヨーク在住のエコノミスト、マイケル・ハドソンのコメントも掲載しますので、あわせてお読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。

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No.510 自由市場:理論と実際

今回は『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌(2001年3月号:英語版)に掲載されたマイケル・ポーターの論文「戦略とインターネット(Strategy and Internet)」を読んで感じた私の感想を、論文を抜粋しながらご紹介します。

 

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No.509 インターネットの真の影響について

今週は、経営学の理論家であり、実践家としても知られる、ピーター・ドラッカーのインタビュー記事をお送りします。インターネットが重要なのはその経済に占める規模にあるのではなく、我々の生活に与える影響にあるという点は、私もドラッカーと同じ意見です。またコンピュータやインターネットでできることは、人間がこれまで行ってきたことに過ぎず、人間ができないことは、コンピュータにもできないというドラッカーの見方は、我々が技術を利用する上で忘れてはならないことだと思います。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。

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