今回は「砂漠の狐作戦」後も続いている、米国および英国によるイラク攻撃に関する記事をお送りします。昨年12月のイラク爆撃終了後も、ほとんど連日続いている米軍のイラクへの対地攻撃はもはや日常茶飯事となり、世界各国がこれをいつものことと眺めているのは我々の感覚が麻痺してしまったからではないでしょうか。米英のイラク攻撃を「無慈悲な秘密電撃戦」と評する、以下の『インディペンデント』紙の記事は、年明け以降の米英のイラク攻撃の意図を暴露するもので、我々の感覚を正常に戻してくれるものと思います。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。
月別アーカイブ: 1999年3月
No.261 もう後がない日本の金融政策
今回は、2月初めに浮上した日銀による国債引き受け案に関する、シンガポールの『ストレイツ・タイムズ』紙の批評をお送りします。記事の最後にあるリストラ策奨励の結びには同意できないものの、日本が日銀の国債引き受けを考えるほど切羽詰まった状況にあるとする海外紙の指摘を読むことで、日本政府や大蔵省の主張および日本のマスメディアの報道を客観的に分析することができると思います。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。
No.260 日本の不況の原因に関する考察(4)
前回に引き続き、今回も産業革命の終焉について分析する。不況の根本原因は過剰生産にあると私は考えている。
No.259 日本の不況の原因に関する考察(3)
現在日本を襲っている経済の病弊は、人類史上にないまったく新しい2つの災難によってもたらされたと私は考える。こうした災難を今までに経験した国はない。少なくとも、それに気づいた国はなかった。日本の指導者たちも、また彼らが信頼する経済の識者も、この災難を予測しなかったし、もちろん分析も議論もなされていない。日本経済をここまで追いつめている真の原因を認識することができないために、日本の指導者たちも識者たちも、時代遅れで効果のない、それどころかむしろ悪影響を及ぼす措置によって景気を立て直そうとしている。
前回では、日本が直面している2つの災難のうちの1つは、米国が日本に仕掛けている経済戦争であると述べた。今回は、もう1つの災難である、産業革命の終焉について分析する。
No.258 日本の不況の原因に関する考察(2)
広島への原爆投下に関する文献を読んで強く印象に残っていることの1つは、原爆投下されてから数日たった後でも、被爆者が自分たちに何が起こったのかまったくわからなかった点であった。それは世界最初の原爆投下であり、地球上で誰も被爆の経験がなく、何の警告も与えられていなかったためである。戦争や火事、地震など、これまでに経験したり、知っている災難に直面するのと、誰も予測も経験もしたことがない、まったく新しい災難に遭遇することの間には、想像を絶する違いがあるに違いない。
私は現在の日本の経済的な病弊は、人類史上にないまったく新しい2つの災難によってもたらされたと考える。こうした災難を今までに経験した国はない。少なくとも、それに気づいた国はなかった。また経済の識者は、少なくとも日本の指導者が信頼している識者たちは、日本がこれら2つの災難に直面することを予想も、分析も、議論もまったくしていない。その結果、日本の指導者たちも、識者たちも、日本経済がまったく新しい2つの災難に直面していることに気づいていない。それに気づかないまま景気を立て直そうとしているために、時代遅れで効果のない、それどころかむしろ悪影響を及ぼす措置をとっているのである。
今回は日本が直面する2つの災難の1つを取り上げる。
No.257 日本の不況の原因に関する考察(1)
政府自民党は昨年、不況を解決すべく努力しているふりをしながら、日本の負債を71兆円も増加させた。“努力しているふり”というのは、自民党の真の狙いがこの不況を利用して自分の利益および支援者達の利益を増やすことにあると私は考えるからである。彼らの真の狙いは、バブル期に大手銀行が行った博打の負債を納税者に肩代わりさせることであり、さらには税負担を「天下り官僚を雇い、腐敗した政治家に政治献金を行う」裕福な権力者達から、「正直、勤勉、質素」という言葉で形容される一般国民に転嫁することだった。
71兆円がどれほど多額の負債であるか見当もつかないであろう読者のために、より身近な数字に換算しよう。生まれたての赤ん坊も含めた全国民の人数でこれを割ると、国民1人当たり56万8,000円、納税者1人当たりで計算すると177万7,000円にもなる。たった1年間にこれだけの負債を増やしたのである。
日本の高度経済成長期には国と地方を合わせた長期負債は国内総生産(GDP)のわずか5%でしかなかった。すなわち我々の祖父母の代はほとんど無借金の状態で日本の国を次世代に残したといえる。しかし浪費家である今の世代が日本を引継いでから、日本の借金は雪だるま式に増加し、現在の日本の公的債務は560兆円にも達した。GDPの112%、国民1人当たり448万円、納税者1人当たり1,400万円である。
日本政府はこれをどう返済するつもりなのか。政府は法人税、所得税の恒久減税を推し進め、一方では消費税収を福祉目的化する方向で検討している。このことは、政府自民党が自分達が増やした借金を自分達で返済するつもりがないことを言明したに等しい。現在の日本国民は、無借金の国を先達から引継ぎ、それを負債まみれの国にし、さらにはその借金を後世に押し付けた世代として汚名を残すことになるだろう。
日本のGDPに占める公的債務残高の割合は、他の国と比較しても惨澹たるものであり、先進国中最悪である。また日本の財政赤字はGDPの10%にも達しており、ブラジルよりもひどい状態にある。ブラジル経済が破綻寸前であることは周知の通りであるが、ブラジルの状況こそ、これから日本が直面すると思われる状況なので、今後はブラジルの情勢を注視する必要があるだろう。
健全だった経済が腐敗する政治家や官僚の私利私欲によって歪められたことはやりきれないが、さして驚くべきことではない。政府の腐敗はむしろ世の常だからである。それよりも私が最も驚き懸念しているのは、政治家、官僚、いわゆる経済や金融の識者、そしてマスコミの誰一人として、この戦後最悪の不況の原因を理解していないように思えることである。原因を理解していない彼らには、もちろん解決方法もわからない。
私は昨年来かなりの時間を費やして、日本の不況の原因を探ってきた。その結果、何が日本経済を苦しめているのか、またこの苦境を乗り越えるためには何をすべきかについて私なりの結論に達した。不況の原因に関する私の分析、そして私が日本に提案する解決策について、今後数回にわたって説明する予定である。
No.256 在沖米陸軍、降下訓練を嘉手納飛行場で3月6日に実施 ― 日本政府の中止
今回は沖縄米軍のパラシュート降下訓練に関する『琉球新報』からの記事をお送りします。日本は主権国家であるにもかかわらず、自国内における米軍の降下訓練に対して決定権がなく、駐日大使に中止を要請しなければならないという状況に、私はまたもや日本が米国の従属国であると感じました。1972年の沖縄返還前には、こうした降下訓練によって、2人の小学生が死亡するという事件も発生したそうです。自国の問題であるにもかかわらず、日本政府や県民が降下訓練の中止を申し入れたり、反対抗議をしなければならない状況そのものに、日米関係がいかに異常なものであるかが表れていると思います。是非お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。
No.255 バルカン問題:アメリカはコソボの呪縛にとりつかれている
今回はコソボ紛争に対する米国の外交政策を取り上げた2つの記事をお送りします。最初の記事の執筆者である米国陸軍最高の軍人養成機関、陸軍戦争大学校の特別研究員、ハリー・サマーズ2世は、米国のコソボ介入は犯罪以上の悪であると記しています。コソボ自治区のイスラム教徒に肩入れする米国はケニア、タンザニアの米大使館同時爆破テロ事件の首謀者であるラーディンを間接的に支援していると、米国の外交政策の矛盾を指摘しています。
また、2つ目の記事はコソボ問題をアメリカのカリフォルニア州に例えて説明しています。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。